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第八話

「あ、あの!」

金髪縦ロールが大きめの声で蒼月を止める。


「なんだー?まだなんか用かー?」


「あの、えっと」

金髪縦ロール歯切れの悪いが悪くなる。


「ここまでの護衛。感謝しますわ。ありがとうございます」

金髪縦ロールは頭を下げる。


蒼月はそこまで感謝されるとは思っていなかったので、少し照れ臭くなり頬を掻く。

アバターとは言え、かなり美人なアバターだ。

作り込みを頑張ったんだろう。

お礼を言われて悪い気はしない。


「別にいいって。困った時はお互い様だろ!」


「そ、それで烏滸がましいかとは思うですが、良かったら・・・」


「よかったら?」


「お友達になっていただけませんか!!」

金髪縦ロールは恥ずかしそうに頬を赤らめる。


「ははは、そんな事か!いいよ!友達なろっか」

蒼月はUIを操作して、フレンドタブをタッチする。


「えーと、名前はっと」

ここまで一緒に行動したが名前聞いてなかったなと思い、金髪縦ロールのほうを見ると金髪縦ロールは首を傾げる。


蒼月は不覚にも金髪縦ロールの仕草に、可愛さを覚える。

その気持ちを隠すかのように俯き名前を確認する。

「名前モンブランで合ってる?」


「はい!私の名前ですの!」


「おっけー、送った!」


「来ました!こんな感じで来ますのね!」

モンブランは嬉しそうにフレンド申請のポップアップに表示されている許可をタッチする。


「改めてよろしくな!呼び方とかなんかある?」


「いえ、ございません!お好きにどうぞ!」


「んじゃ、お嬢だな!」


「お嬢!?モンブランに全然掠ってもないじゃないですか!」


「だってモンとかブランとかってなんか違うし、お嬢が一番しっくりくるって」


「ま、まぁ呼びやすいように呼んでもらえれば良いですわ。えーと、そうげつ様??」


「いいや、あいるだ。」


「蒼月様ですね!よろしくお願いします!」


「んじゃ、俺そろそろ森の方に戻るわ!レベル上げたいしな!」

蒼月はモンブランに手を振り、森に戻っていく。


「はい!また!」

モンブランは蒼月の姿がみえなくなるまで手を振る。


蒼月の姿が見えなくなったことを確認すると急に笑い出す。

「ふふふ」

モンブランは体をフルフルと震わせている。


「私にも・・・。私にもついに・・・。ついにお友達ができましたわぁぁぁぁ!」

モンブランの声に驚き、周りにいた人は少し引いている。


モンブランはそんなこと気にも止めず。

上機嫌でオウサカの雑踏に消えていく。


森に戻った蒼月はモンブランから模倣コピーした破裂炎球ブラストボールで餓鬼を倒す。

雷撃だと19発だったが、破裂炎球ブラストボールなら10発で倒せるようだ。

つまり、モンブランはあの時あれだけ破裂炎球ブラストボールを放っていたが一回も当たってなかったということだ。


「お嬢、ノーコンだったんだなぁ」

倒す時間が半分になったので、レベリングが捗った。


しかも破裂炎球ブラストボールの良いところは命中すると敵が仰反るところだ。

おかげさまで接近されることがなくなった。


集中力もほぼ必要ない作業のようなものだ。

緊迫するほど必要としなくなったので、軽い気持ちで2時間くらい狩りをしていた。

おかげさまでもう7レベルである。


蒼月

Lv7

HP 190/190


【VIT 5】

【STR 5】

【DEX 5】

【AGI 22】

【LUK 5】

【PSY 31】


装備

頭 【追放者の頭巾】

体 【追放者の服】

右手 【サイキックリング】

左手 【サイキックリング】

靴 【追放者の草鞋】

装飾品

【無し】

【無し】

【無し】


超能力

模倣Lv1(電撃操作エレクトロキネシス破裂炎球ブラストボール


「だいぶステータスも上がってきたな!」

そろそろ装飾品やら、装備も変えたいが餓鬼からは何もドロップしない。

LUKが高ければもう少しドロップ品が出ていたのかもしれない


「んー、そろそろ餓鬼とは別のところに行ってみたいな!とりあえず一回街に物売りに行くか!」

高いAGIのおかげでオウサカまですぐに戻ることが出来た。


餓鬼から出たETCアイテムを雑貨屋に売りだす。

初めに買った丸薬は全く減っていない。

破裂炎球ブラストボール様様である。

だが所詮は最弱のあやかし大した金額にはならない。


「んー、困ったなぁ。」

蒼月は攻略掲示板や攻略サイトを一度も見ていないので餓鬼よりも強いあやかしがどこに湧いてくるかをしらない。


マップを開き、街のマップではなく周辺のマップに切り替える。

「いつも餓鬼を狩ってるのがこの辺だろ?なら・・・」

と蒼月はマップを指差しながら考える。


「ねぇ、何か探してる?」

蒼月は声の方へ振り向くと小柄の男の子?が蒼月を見ていた。


「あぁ、そうなんだよ。餓鬼より強いあやかしってどこにいるのかなって思ってさ」


「教える?」


「え?」


「教える?」

少年は端的に話を進めていく。


「教えてくれるのか?」

蒼月が少年の手をとって確認すると、少年はコクリと頷く。


「まじか!助かる!ならもう早速行っちゃおうぜ!」


「分かった」

少年が先導し、蒼月はそれに追従する形でオウサカを後にする。


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