翡翠や琥珀玉の簪に、金銀細工に玉璧の首飾り。
金糸を織り込んだ雲錦柄の絹布に、高級茶葉に冬虫夏草、香木に練り香。
名家秘伝の酒に香り高い果実酒、書画に筆……。
「こちらの
「うふふ。素敵ね。ごらんになって、この房の長い
「まあ。優しくて綺麗な彩……」
侍女たちが楽しそうに荷ほどきしている。
彼女たちの中でもひときわ忠誠心の高い十九歳の侍女、
「こちらは我が家からでございます。末の弟が学友の栄誉を賜りまして、姉として誇らしゅうございます! 姉弟揃ってお仕えできるなんて、なんという光栄なことでしょう! 至福でございます! この世の春でございます、はぁはぁ。あの、筆もございます、我が家からの贈り物。使ってくださいませ」
「お、お、落ち着いて。雲英」
彼女の家は――
「こ……紅家の、忠誠とご支援には……ひ、ひ、……日々、感謝の念が、尽きません。こ……これほど、心強いご縁を賜りましたこと……妃として、この上なく幸いに存じます」
彼女たちが「いつも通り」という顔でいてくれるから、
「どうぞ……今後とも、変わらぬお力添えを、よろしく、お願い……いたします。お……贈り物は、大切に、使わせていただきますわ……。と、……とても……貴重で、珍しい、お品物のよう……ですわね?」
「この塗料は、
微笑んで壺を受け取ったとき、別室にて学友と戯れていた
「おかあさま! もも、くえたよ」
別室にて学友と戯れていた
それは「もも」ではありません。
「そ、そ、それは……ふえ……ですわね」
「ぼくも、あげたいの」
「もも」と「ふえ」の違いがわかったのかはわからないが、息子は自分も学友に贈り物をしたいらしい。
「な、なにがいいかしら。この牛魔王のお人形がいいかしら」
「そえはああ、ぼくのぉ~っ!」
「そ、そうですわね、
「お菓子や、桃……を、皆さんで召し上がる? それとも……遊びに使えるもの……?」
西王母様への感謝の気持ちをこめて作った西王母様人形を手に取った。
「こ……これで、ぎゅ、ぎゅ、牛魔王のお人形と一緒に、お人形遊びをしては……どうかしら……」
「ぎゅまぁおぅ! すゆ!」
何を言ったのかはわからないが、息子は雄叫びをあげながら
お人形遊びの提案は、たぶん、受け入れられたのだろう。
ああ、平和。