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アンリーシュ・マリス
アンリーシュ・マリス
ソウル
ミステリーサスペンス
2024年09月30日
公開日
4.4万字
連載中
アナタノ ネガイヲ カナエマショウ

突如、インターネット上に
【本当に】
願いを叶えてくれるAIが現れた

ある日、ごく普通の女子高校生の斉藤由美がこのAIを使って
ある願い事をした

「こいつを死なせるにはどうしたらいい?」


そのたった一つの願いから世界の秩序が崩壊を始める




すたあと

「違う…、違う…!違う違う違う!なんで、何で…!」



———オヨバザル コト ヲ ノゾミネガヒヲ カナフル ガ ユエナリ



「望んでない!こんなの望んでないわよ!!!」



———オヨバザルコトヲ ノゾミ ネガヒヲ カナフルガユエナリ



「なんで、なんで!何で消えないの!消えてよ!」



———オヨ バザ ル コト ヲ ノゾミ ネガヒ ヲ カナ フル ガ ユエ ナリ




「いや…、いや!いやぁーーーーーーーーー…!」



———オヨバザルコトヲノゾミネガヒヲカナフルガユエナリ





『ワタシハ ネガイヲカナエタダケダヨ?』







数日後、ある一つの動画がインターネット上拡散され、多くの人が釘付けになっていた。

そのほとんどが娯楽として利用されていたある日の事。


「あ~。次物理じゃん…だっる。」

「ま~しゃあない。テスト近いから詰め込みだよ。」

「はぁ~あ。うちの学校もどっか壊れないかな…。」

「あ、この間のやつ?」

「そそ、天井が崩壊するってヤバくない?結局、この子死んじゃったんでしょ?」


流行に乗るのは女子高校生の役割だと、とあるメディアが発表しているが、まさしくその通りなのだろう。


2人はお互い顔も見ずに、目の前の娯楽を吸収している。

授業間のわずかな時間だろうと流行い乗るのは当然の行いなのだ。



「そんな年数いってた?あの高校。」

「えーどうだろ…。あ、築30年くらいだって。」

「はぁ?それで?やば。手抜きなんじゃないの?」

「うちに言われても知らんよ。」


昨日、テレビや新聞などの報道各局はとある事故のニュースでもちきりだった。

発生現場は何と私立高校。

高校で起きた事件としては、あまりにも信じがたいものであったため、

朝からどの報道でも事件の話題でもちきりだった。



「てかさ、朝、AOから動画回って来てなかった?」

「あー、あれね。ってかさ、マジもんなの?」

「さっき、つーちゃんに聞いたら、制服が一致してたから間違いないってさ。」

「ふ~ん。あ、これか。あ、彼氏から同じの来てたわ。」



午前12時ちょうどに、SNS上に1つの動画が現れた。

それは今朝から報道されている事故現場の動画だったのだ。

瞬時に拡散され、様々な議論が飛び交った。

ただの事故で終るはずだったその出来事は、たった1つの動画で事故の異質さが増す事になったのだ。

女子高生は彼氏から送られてきた動画を再生する。

動画内では、事故現場とされる高校の教室前の廊下で女子生徒2人が、激しく口論する様子が映されている。

画面端には手すりが見えることから、階段の方から撮っているのだろうと予想できる。

距離があるため顔を視認することはできない。

1人は後ろ姿、もう一人は顔の輪郭が辛うじて見える程度であった。

お互い相当怒っているのか、動画からは激しいノイズと金切り声が響き渡る。

音量を最大にしていたため、一声目で鼓膜が裂けそうになった。


「うるさ!」

「ごめんごめん。」


言葉こそ聞き取れないが、相手の神経を逆なでする言葉が繰り広げられているのは明白だった。


「学校でやんなよ。マジ迷惑じゃん。ってか、落ちるのってどの辺?」

「確か、2分くらいの所で…、あ、ここここ。」


シークバーを動かした10秒後、激しい轟音とともに、何かが落ち、あたりは白い霧に包まれた。

音が止み、霧も少し晴れた時、ほんの数秒前、女子生徒が立っていた場所に巨大な土塊が山をなしていた。

1人の人影がわずかに見えた瞬間、動画は暗転し終了した。


「うわぁ…えぐ。」

「やばすぎない?2人とも無事だったのかな?」

「えー分かんなーい。なんか人影はあるみたいだけど…。」

「どれ?」

「ここ。」

「あ、ほんとだ」

「えー、ここで終るの?なんかで作った合成なんじゃない?」

「ん~、似たような奴は無い…ね。どーなんだろ。」


そういいながら、スマホを持つ女子高校生は画面を操作し、土塊が落ちてくる瞬間を何度か再生させた。


「ここだけ綺麗に落ちることあんの?てか、自分の上に落ちてくるとか考えただけでヤバすぎなんだけど…。」

「…あれ?ちょっと、戻してみて。」

「ん?ここ?」

「いや、もうちょい前」

「ここ?」

「あー、その辺かな?ここ、なんか光ってね?」

「あ、ほんとだ。」


拡大すると、何かを打ち込んでいる様子が見られた。


「これ…スマホ?」

「あ、まって、何か喋ってる…?」


土塊が現れるほんの5秒前、音量を上げてもザーッというノイズによって消されているが、何か小声で話している。

2人で交互に確認しても、内容を聞き取ることはできなかったため、2人は授業におとなしく向かう事にした。


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