≡≡≡≡ステータス ①≡≡≡≡
☆プレイヤー名☆ ヴェリノ・ブラック
☆職業☆ 学生
☆HP / MP☆ 30 / 10
☆所持金☆ 450マル
☆装備☆ 制服 /学生バッグ / 普通の靴 /ー /ー /ー
☆ジョブスキル☆
・勉強 lv.1
☆一般スキル☆
・掃除 lv.2
・料理 lv.1
・飼育 lv.2 ペット数:1
・買い物 lv.3
・おしゃれ lv.1
・外出 lv.3 商店街、小運河 (舟)
・魔法 lv.1 プチファイア
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エリザが 「じゃね、お先に」 とログアウトしてしまったあと。
俺は、ステータス画面をガン見しつつ、うめいていた。
「ううう……」
「ぅおんっぅおんっ」
「うううう…… チロルー! 何回見ても、所持金が寂しいよお!」
【wwww】
ステータス画面を何回見ても、結果は同じ。
450マルの男・俺。
そんな悲しい俺のほっぺをチロルは、優秀なガイド犬らしく、ペロッとして慰めてくれる…… のはいいけど、なんで草生やすんだろうな。
「これは…… なんとしても、王子に昼食たかるしかないよね!?」
【さあww どうでしょうww】
「よし、決めた。明日から、作戦を実行する……!」
すなわち。
① 王子からランチをごちそうになる
② ただし、好意値を上げぬよう、さりげなくガンガンと悪口を浴びせていく
という、アレである。
「ふーはっはっは! エリザも顔負けの悪役令嬢に、もとい、ガチの悪女に、俺はなる!」
【まww がんばってくださいww】
「けどなあ…… NPC 相手とはいえ、理由もなくディスるのって、嫌なんだよなあ……」
【だったら、やめればww】
「いや…… 気にしたからって金は増えないもんね!」
そう。思い切って、やってしまおう!
YES 悪役、NO 壁ドン!
―― さて。
今後の方針が決まったら、次はジョブスキルを確認。
「お、『買い物』 レベルが1上がってる!」
【ある程度レベルが上がると、お使いを頼まれたり、NPCと買い物に行けるようになりますw 頑張ってくださいねww】
「お使いはいいけどさ。NPCと買い物って…… 好意値上がるんじゃ?」
【まww そうでしょうねww】
「全力回避、不可避!」
【wwww】
≡≡≡≡ステータス ②≡≡≡≡
☆持ち物☆
制服★ 学生バッグ★ 普通の靴★
潮干狩り基本セット
Pブラシ Pトリミングセット(バリカン付) Pフリスビー
P骨カルガム
B『犬種別☆おしゃれカット集』
☆称号☆
◆潮干狩り初心者 ◆なりそこないライフセーバー ◆企画初心者 ◆生き物ふれあい初心者
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「おー! 持ち物、一気に増えたなぁー!」
【私のものばかりですけどねww】
「いい飼い主になりたいもんな!」
チロルを抱き上げて背中をポンポンしてやると、お返しとばかりに鼻をペロペロされた。くすぐったいな、もー! あざとかわいいやつめ!
だが…… 悪くない (しみじみ)
【持ち物で 『P』 がつくのはペット用品で 『B』 が本です】
「よしよし、買ったものは全部、ちゃんとあるみたいだな!」
エリザからもらったフリスビーも、もちろんOK。
これでいっぱい、チロルと遊んであげるんだ!
「なんか……満足かも……!」
現実の家では、スペースに限りがあるから、モノはできるだけ持たないように教えられている。
けど、ゲームの世界では、アイテムは一定数まで
……現実世界にも、こんなバッグがあればいいのになぁ……!
さて、次は称号だ。
「お! 『生き物ふれあい初心者』 ってのが増えてる!」
【この称号のマスタークラスが、隠れジョブ 『テイマー』 出現の要件の1つになっていますよww】
チロルがしっぽを、わさわさと振った。
おれがペットショップ行って 『テイマー』 に憧れたのをもう察知しているとは…… チロル、できる子!
「マスタークラスか…… 何百匹とふれあえば、そこまでいくのかな……」
【それは、やってみてのお楽しみですww 】
「うー…… かかるお金も、ハンパなさそう…… だ、だめだめ! お金のことばかり考えない、俺!」
【wwww いざとなれば、課金という手もありますよww】
「それはヤダ」
ガイド犬ってじつは、課金へのガイドだったのかな…… ありえる。けどまあ、いいや。もふもふだし。
俺はチロルの背中に顔を埋める。
ふううう…… 癒されるぅぅ……
「なあなあチロルぅぅ…… なんか、バイトとか、ないの?」
「ぅおん、ぅおんっ!」 【あなたのレベルでは、まだ、どれも無理ですww】
「くぅっ…… ゲームのなかが、せちがらい……」
【唯一できるのは、広告視聴くらいですかねwww】
「…… うん、それいこう!」
【ご協力、ありがとうございますww】
それから俺は、現実世界での夕食時間まで、ひたすら広告を見続けたのだった ――