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第25話 レベルアップとお買い物の成果(2)

 ≡≡≡≡ステータス ①≡≡≡≡


 ☆プレイヤー名☆ ヴェリノ・ブラック


 ☆職業☆ 学生


 ☆HP / MP☆ 30 / 10


 ☆所持金☆  450マル


 ☆装備☆ 制服 /学生バッグ / 普通の靴 /ー /ー /ー


 ☆ジョブスキル☆

 ・勉強 lv.1


 ☆一般スキル☆

 ・掃除 lv.2

 ・料理 lv.1

 ・飼育 lv.2 ペット数:1

 ・買い物 lv.3

 ・おしゃれ lv.1

 ・外出 lv.3 商店街、小運河 (舟)

 ・魔法 lv.1 プチファイア


 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡


 エリザが 「じゃね、お先に」 とログアウトしてしまったあと。

 俺は、ステータス画面をガン見しつつ、うめいていた。


「ううう……」


「ぅおんっぅおんっ」


「うううう…… チロルー! 何回見ても、所持金が寂しいよお!」


【wwww】


 ステータス画面を何回見ても、結果は同じ。

 450マルの男・俺。

 そんな悲しい俺のほっぺをチロルは、優秀なガイド犬らしく、ペロッとして慰めてくれる…… のはいいけど、なんで草生やすんだろうな。


「これは…… なんとしても、王子に昼食たかるしかないよね!?」


【さあww どうでしょうww】


「よし、決めた。明日から、作戦を実行する……!」


 すなわち。

 ① 王子からランチをごちそうになる

 ② ただし、好意値を上げぬよう、さりげなくガンガンと悪口を浴びせていく

 という、アレである。


「ふーはっはっは! エリザも顔負けの悪役令嬢に、もとい、ガチの悪女に、俺はなる!」


【まww がんばってくださいww】


「けどなあ…… NPC 相手とはいえ、理由もなくディスるのって、嫌なんだよなあ……」


【だったら、やめればww】


「いや…… 気にしたからって金は増えないもんね!」


 そう。思い切って、やってしまおう!

 YES 悪役、NO 壁ドン!


 ―― さて。

 今後の方針が決まったら、次はジョブスキルを確認。


「お、『買い物』 レベルが1上がってる!」


【ある程度レベルが上がると、お使いを頼まれたり、NPCと買い物に行けるようになりますw 頑張ってくださいねww】


「お使いはいいけどさ。NPCと買い物って…… 好意値上がるんじゃ?」


【まww そうでしょうねww】


「全力回避、不可避!」


【wwww】


 さらなる決意を固めつつ、俺はウィンドウをスライドさせて次の画面を見る。



 ≡≡≡≡ステータス ②≡≡≡≡


 ☆持ち物☆

 制服★ 学生バッグ★ 普通の靴★

 潮干狩り基本セット


 Pブラシ Pトリミングセット(バリカン付) Pフリスビー

 P骨カルガム 


 B『犬種別☆おしゃれカット集』



 ☆称号☆

 ◆潮干狩り初心者 ◆なりそこないライフセーバー ◆企画初心者 ◆生き物ふれあい初心者


 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡



「おー! 持ち物、一気に増えたなぁー!」


【私のものばかりですけどねww】


「いい飼い主になりたいもんな!」


 チロルを抱き上げて背中をポンポンしてやると、お返しとばかりに鼻をペロペロされた。くすぐったいな、もー! あざとかわいいやつめ!

 だが…… 悪くない (しみじみ)


【持ち物で 『P』 がつくのはペット用品で 『B』 が本です】


「よしよし、買ったものは全部、ちゃんとあるみたいだな!」


 エリザからもらったフリスビーも、もちろんOK。

 これでいっぱい、チロルと遊んであげるんだ!


「なんか……満足かも……!」


 現実の家では、スペースに限りがあるから、モノはできるだけ持たないように教えられている。

 けど、ゲームの世界では、アイテムは一定数までバッグアイテムボックスに収納可能だから、モノを多少増やしても怒られないし、困らない。

 ……現実世界にも、こんなバッグがあればいいのになぁ……!



 さて、次は称号だ。


「お! 『生き物ふれあい初心者』 ってのが増えてる!」


【この称号のマスタークラスが、隠れジョブ 『テイマー』 出現の要件の1つになっていますよww】


 チロルがしっぽを、わさわさと振った。

 おれがペットショップ行って 『テイマー』 に憧れたのをもう察知しているとは…… チロル、できる子!


「マスタークラスか…… 何百匹とふれあえば、そこまでいくのかな……」


【それは、やってみてのお楽しみですww 】


「うー…… かかるお金も、ハンパなさそう…… だ、だめだめ! お金のことばかり考えない、俺!」


【wwww いざとなれば、課金という手もありますよww】


「それはヤダ」


 ガイド犬ってじつは、課金へのガイドだったのかな…… ありえる。けどまあ、いいや。もふもふだし。


 俺はチロルの背中に顔を埋める。

 ふううう…… 癒されるぅぅ……


「なあなあチロルぅぅ…… なんか、バイトとか、ないの?」


「ぅおん、ぅおんっ!」 【あなたのレベルでは、まだ、どれも無理ですww】


「くぅっ…… ゲームのなかが、せちがらい……」


【唯一できるのは、広告視聴くらいですかねwww】


「…… うん、それいこう!」


【ご協力、ありがとうございますww】


 それから俺は、現実世界での夕食時間まで、ひたすら広告を見続けたのだった ――

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