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第15話 レベルアップと交遊関係

 ≡≡≡≡ステータス ③≡≡≡≡

 ☆プレイモード☆

 恋愛なし(好意値半減)/友情


 ☆交遊 (PL)☆

 ◆エリザ・テイラー : 公爵家令嬢・学生・ルームメイト

 ◆サクラ・C・R : 子爵家令嬢・学生

 ◆リーナ2525 : ショップ 『リーナの万屋』 店長


 ☆交遊 (NPC)☆

 ◆エルリック・クレイモア : 王子

 (好意値)20 (友情値)10


 ◆ジョナス・ストリンガー : 侯爵家次男

 (好意値)5 (友情値)5


 ◆ミシェル・ブロックウッド : 伯爵家長男

 (好意値)10 (友情値)10


 ◆イヅナ・T・J・クルス : 海運王家・男爵家長男

 (好意値)5 (友情値)15


 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡



 ウィンドウを開けてみれば、予想通りだ。交遊関係が急に充実した感じがする。

 俺、ここに名前あるみんなと、実際に会って話しちゃったんだなぁ…… なんだか、しみじみ嬉しい!

 リアルの地下生活だと、家族以外と会うってことが、全然ないもんな。


「プレイヤーとの交流は、『好意値』 とか 『友情』 とかでないのか?」


 俺の質問に、チロルはふさふさのしっぽを軽く揺らして応じる。


【ええ。現実の人の心は測れませんからねw

 あ、でも、イヤになったら、ミュートやブロックはできますよww 突如、会えなくなった人からは、消えたんじゃなければ、嫌われている場合が多いですねwww】


「うわぁ…… それ悲しいよ!」


【ww まあ、こじれるよりはマシだというのが公式見解ですけどねww】


 うーん、確かにそうか…… でもなー。せっかく、実際に会って仲良くなれたんだしな…… できれば、ずっと仲良しでいたい!


「よし! 俺、みんなと仲良くなれるように、がんばる!」


【wwww】


 チロルは、俺の膝にとびのって、顔をペロペロとなめてくれた。大サービスだ!

 ときどき草生やしたりして生意気なワンコだけど、やっぱかわいいなー、チロル!

 おかげで元気でた。


「よっし。次はNPCとの交遊関係だな! …… いやー、しかし。すっごいメンバーだな!? 女の子の夢がつまってるのかな、このキラキラした肩書き!」


 貴族っぽい身分に、王子とか海運王とか…… よくわからんが、なんかスゴそうだよな…… おっと。


 ひとつ、変なところを発見した。


「ねえねえ、チロル!」


「ぅおんっ……!」 【どうかしましたか?】


「なんで、エルリック王子の 『好意値』 が、こんなに高いの? 俺、なんかしたっけ!?」


 プレイモードは確かに 『恋愛なし (好意値半減)』 になっているのにな。しかもエルリック王子は初対面!


 ―― なんか、おかしくないか??


「ぅおんっ」 【あーそれはww】


「なんだ?」


「くぅーん……」 【ヴェリノが、本来サクラさんに発生するはずだったイベントを、奪ったからですww】


「え? 俺、そんなことしてないぞ?」


【wwww イベントNo.102-1『憧れのランチタイム (王子)』 ですよww 】


「ええええっ!? そんな! 本当に本当?」


【しかたないんですよww 条件がそろっちゃったのでww】


 チロルによると 『憧れのランチタイム』 イベントの発生条件その1は 『悪役令嬢からヒロインへの意地悪』 らしい。


「あっ、たしかに、エリザがやりまくってたよな、さっき、サクラに」


【wwww】


 チロルによると、このイベントの本来の発生条件と流れは、こんな感じだった。


 1)悪役令嬢エリザのいじわる

 2)王子が悪役令嬢エリザをたしなめる

 3)「気にしていない」 と健気に優しくふるまうヒロインサクラ

 4)ヒロインサクラへのお詫びに、王子がランチを御馳走する。

 ⇒ 好意値ガン上げ


「あーっ、俺、王子の代わりにエリザ怒っちゃった!? ええ? これいいの!? 俺、まさか、やっちゃいけないことを……!?」


【まあww エリザさんもサクラさんも 『友人モブ受け入れOK』 の2周めプレイヤーですからww 基本イベントと流れが変わるのは、むしろ歓迎のはずですよw w マンネリ防止ww 】


「うーん。たしかに。だったらいいけどなあ…… でもサクラにしてみたら、王子の好意値も欲しかったかもなあ……」


 俺だったら…… 納得いかない、かもしれない。

 たとえば経験値大幅アップのメダルスライムを狙っていたのに、横からほかのプレイヤーが倒しちゃったりしたら……

 ひとことくらい、物申したくなっちゃうかも、しれない……!


「うーん。俺、どうしよう……」


 頭を抱える、俺である。

 サクラの優しさに甘えるだけじゃ、仲良し大作戦は進まない気もするし……


【気にしなくていいと思いますけどww どうしても気になるななら、とりあえずww 謝ってみたらどうですか?ww】


 チロルが俺の鼻をペロペロしながら、めちゃくちゃテキトーな提案をしてくれた。


【謝れば、きっと許してくれますよ】


「いやいやいや…… 俺、じつは、もっと恋愛関係ないとこで、やりなおしたほうが良くない? 食いっぱぐれないように、レストランの見習い店員あたりから……」


【やれやれ、仕方ないですねぇww】


 チロルは、俺の膝から飛び降りると、しっぽを振って 「ぅぉん!」 と元気よく吠えたのだった。


【大丈夫ですよww 彼女らは酸いも甘いも噛み分けた、猛者もさたちですww

 不測の事態が起こることは了承済み…… いえ、むしろそれを期待して、MPLマルチプレイヤープレイをしているんですってばww】

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