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第27話

◇◇◇◇◇

 報告書

 【依頼名】アンロック洞窟の魔物の討伐

 【詳細】アンロック洞窟に突然現れた骸骨の魔物(名前は不明)を退治しました。骸骨は防御力が高く通常の攻撃は弾かれたものの、聖水をふりかけた武器なら難なく攻撃が入りました。洞窟内にそれ以外の魔物は出現しておらず、今後これまで通り鉱石の採掘作業を行えるものと思われます。

 【使用した道具】 聖水二つ(礼拝堂で入手)

 【被害状況】 リディア 打撲(数日で完治)

       アーノルド様 筋肉痛(数日で完治)

 【レベル変遷】 リディア レベル0→5

         アーノルド様 レベル0 

 【その他】 特になし

 【記載者】 リディア

◇◇◇◇◇


 骸骨の魔物との戦闘から約一週間。


 二人とも体のあちこちが痛くて動けず、アンバー酒場で休ませてもらっていた。思っていた以上に疲労がたまっていて、王都に戻ってくるまで時間がかかってしまった。


 リディアは宿屋で依頼完了の報告書を書き上げると、主人であるグラハムに手渡した。


「いやぁ、正直言って二人に倒せるとは思ってませんでしたよ……とにかく無事で何よりです。そうそう。これ、昨日アンバー酒場のフォートさんから届いた報酬です」


と言って、グラハムは光り輝く盾と胸当てをテーブルの上に置いた。


「アーノルド様の言いつけ通り、リディア様にぴったりのサイズに仕上げてあるそうですよ」


「えっ!?」


 驚いてリディアがアーノルドの方を振り返る。


「今回はリディアがいなければ勝つことができなかったからね。ぜひ使ってほしいんだ」

「い……いいんですか?」

「もちろん」


 リディアが報酬の品に触れてみる。アンロック洞窟で採れる鉱石を使用した最高級の盾……つるつるとした手触りで薄くて堅い。


 持ち上げてみるとそこまで重さを感じない。

 胸当ても同様だ。鎧だと重くなり動きにくくなるだろうから、というアーノルドの配慮もありがたかった。


 ちゃんと女性が装備するのを前提に作ってもらったことがわかる。購入するとなると相当な金額のはず……。



「ありがとうございます、大切に使いますね」

 そう言ってリディアは嬉しそうに笑った。


「お二方、依頼はまだまだたくさんありますから、どんどん引き受けてください! そしてうちの宿もどんどん利用してください!」


 グラハムも嬉しそうだった。



 二人は宿を出た後、城へと向かう。


 シスターへの魔物討伐の報告と、リディアがレベル5になったので勇者の間で報酬をもらうためである。道中、リディアがアーノルドに話しかける。


「アーノルド様、礼拝堂に行く前に勇者の間へ寄ってもよろしいですか? 通り道ですし、報酬をもらうだけですからすぐに済みますので」


「そうだね。リディアの後に勇者の間の担当をしているのが誰かも見てみたい気がするね」


「ああ、レイチェルさんですね。元気にしてるでしょうか」


 リディアが勇者の間の仕事を引き継ぎをした相手は、レイチェルという若い女性だった。


 女性兵士を雇ったという話は聞いていなかったので、恐らく民間から採用した者なのだろう。おっとりとした口調と優しいまなざしが好印象だったのを覚えている。


 時間がなかったので急ぎ足で引き継ぎを終わらせたけど、その後うまくやっていけているのだろうか。


 あの長ったらしい勇者の規則も一人一人に丁寧に伝えられているかしら。あっ……ガルシアみたいな凶悪犯が勇者になりたいってやってきたときの対処の方法を伝えるのを忘れていたけど……とリディアの考えがどんどん脱線していく。



「……どうしたの?」


「へっ、いや、何でもございません。それよりアーノルド様、レベル5になると薬草の詰め合わせがもらえるんですよ……それがですね、何と……」


 そんな世間話をしながら歩いていると、あっという間に勇者の間に到着した。



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