あ,アーノルド様だ!」
「アーノルド様、お元気ですか?」
「また、うちの店にお立ち寄りくださいね!」
城下町を歩いているリディアとアーノルドにすれ違う人々が笑顔で声をかけてくる。
その一つ一つに笑顔で手を振るアーノルドは、まさに次期国王にふさわしい立ち振る舞いであった。
「アーノルド様、本当に民から慕われていらっしゃいますね」
街の人々がアーノルドを見かけるだけで笑顔になっていくその光景を見て、リディアも思わず嬉しくなって言った。
「そうだね、こんな素敵な民がいる国に生まれて僕は本当に幸せだよ」
アーノルドは左手首に輝く腕輪を見つめながら続けた。
「だからこそサタンを倒してこの国を、この人たちを守りたい。そう思うんだ」
ああ、絶対にこの方を死なせてはならない。何としてでも私が守り抜かなければ。国王からも直々に言われたのだ。
「支えてやってくれないか」と。その期待に応えなければ。リディアは強くそう思った。
「さて、リディア。そのためにまずは何をすればいいかな」
「そうですね、魔物退治のために必要な武器と防具を揃えましょうか。陛下から必要な資金は頂いておりますので」
二人はまず街の武器屋に向かうことにした。