目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
第12話

 ――だが。


 予算会議、当日。

 私は信じられない光景を前に、ただ呆然と立ち尽くしていた。


(――嘘……でしょう……?)


 棄権、ゼロ。

 反対、ゼロ。

 出席者の全員が、手をまっすぐ上にあげている。


 お気に入りの青い花柄のペンが、手から滑り落ちてかつんと軽い音を立てた。

 進行役の生徒会長がおもむろに口を開く。


「――では、賛成多数により、今回の予算案を可決いたします」


コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?