――だが。
予算会議、当日。
私は信じられない光景を前に、ただ呆然と立ち尽くしていた。
(――嘘……でしょう……?)
棄権、ゼロ。
反対、ゼロ。
出席者の全員が、手をまっすぐ上にあげている。
お気に入りの青い花柄のペンが、手から滑り落ちてかつんと軽い音を立てた。
進行役の生徒会長がおもむろに口を開く。
「――では、賛成多数により、今回の予算案を可決いたします」