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2人の宝物

 春と冬の2人は、冬の記憶を新たに作るために、を作っていた。


 冬が終わるその日まで、2人は1から色々模索しながら宝物を作った。


───そして、冬が終わるまで、残り5分。


 冬は春に、別れの挨拶をした。


「春。そろそろお別れだね」


「そうだね…。どうだった? 私と色んな季節を巡ってきたけど、楽しかった?」


 春は冬に問うと、冬は首を縦に振った。


「うん。楽しかったよ! 初めての出来事ばかりで、楽しかった!」


 冬は今にも泣きそうになるのを何とか我慢し、笑顔を春に見せた。


 だが、次第に冬は目に涙を浮かべた。


「冬……。また会えるよ。そんな気がする」


「うん。ねぇ、春。僕のこと忘れないでね。僕も春のこと覚えてるから」


 涙を溢す冬を抱きしめる春。小さな手を春の背中に回す冬。


 別れが名残惜しそうにする2人。


 しかし、冬の季節が終えようとしていた。


 「そろそろ時間だ…。僕たちの宝物。大切にしてね」


「勿論! またね」


 2人は別れの挨拶をし、冬の身体が自然と雪の様に空へと、帰っていった。



 しばらくして、新たな春がやって来てた。


 春は冬と作った宝物を、2人が出会ったあの場所に植えた。


 四季が何度も巡ることにより、2人の宝物はすくすくと芽を出し、やがていろんな色の花が咲いた。


 その花は、枯れることなく1年中咲いている。


【ネメシア】


 本来出会うことのない季節が、地球温暖化により、出会ってしまった。


 だが、この出会いがあったことは事実。


 春と冬の宝探しはここで終わるが、その代わり2人の思い出は【過去の思い出】として残り続けることとなる。












───ネメシアが、咲き続ける間までは。


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