───冬
秋が終わると、1年の最後を知らせる季節がやってくる。
それが【冬】。
そう、そこに彼の大切な【宝物】がある。
*
春と冬は、冬の生まれた季節へと辿り着き、冬は春の肩から飛び降り、雪が積もっている地上へと駆け回った。
「僕の季節! やっと辿り着いたんだ!」
嬉しそうに駆け回る冬に、春はそっと笑みを浮かべた。
そして、冬は【宝物】について語り始めた。
「春に言っておきたかったことがあるんだ」
「ん~?」
「僕の宝物についてなんだけど、僕の宝物は
冬の真実を聞いた春。
探していたはずの【宝物】が存在しないのにも関わらず、春を騙していた冬に彼女は、手を差し伸べた。
「別に気にしていないよ」
「えっ?」
「冬と一緒に居て、楽しかった。だから、騙されていたこと気にしていないよ? 記憶がないなら、私といた時間を、新しい記憶にしたらどうかな?」
春は冬に提案すると、冬は涙を流しながら、春の手を握った。
「それって……」
「そう! 新しい記憶を【宝物】にして、本物にさせようよ!」
春の言葉に冬は、手で涙を拭った
「宝物を本物にさせるには、何か私たちの記憶を
「それなら!」
冬は何かを思いついたのか、春に耳打ちした。春は冬の提案に乗り、宝物を作り始めたのであった。