───春
雲一つない晴天の下に広がる、お花畑。
そして、桜の木から落ちる桜の花びらが光り輝くと、1人の《季節》が生まれた。
【春】
それが、彼女の名前だ。
春が生まれると、花も小鳥たちも元気になる。
「ふぁ~。小鳥さんおはよう~」
小鳥と挨拶を交わした後、春はお花畑を探索し始めた。
すると、春は小さな白い何かを見つけた。
春は白くて丸い何かを見つめていると、小さな目が現れた。
「あなたは?」
春はもふもふとしたそれに、名前を尋ねた。
「僕は、冬!」
白いモフモフの名前は、四季の一つである【冬】だと名乗った。
【冬】と【春】は出会うことのない存在同士だったが、この時はどうやら何かが違ったらしい。
「初めまして、私は春! よろしくね!」
「こちらこそ!」
春と冬は、互いに握手を交わし、2人は互いの温度差を実感し驚いた。
「冷たい!」
「春は温かいね! でも、このくらいの温度だと、まだ大丈夫!」
そう、冬は暑さに弱い。
そのため、春の温度はまだ余裕を保てるが、【夏】になると、身体が耐え切れなくなり、溶けてしまう。
「次の冬まで、私と待てる?」
春は冬のことを心配そうに、声をかけた。
すると冬は、笑顔で頷いた。
「うん! 春となら大丈夫! でも…」
冬は、何かを思い出したかのように、
「僕、探し物をしているんだ」
春に悩み事を打ち上げた冬。
「探し物?」
「うん。僕にとって大切なお宝なんだ」
冬は、春にそう言うと春は冬のお宝を探す決意をした。
「私も手伝うよ!」
「いいの?」
冬は、申し訳なさそうにすると、春は首を縦に振った。
「勿論! あなたのお宝探しに行こう!」
春は冬の手を繋ぎ、お花畑を走ったのだった。
───これから四季を巡りながら、冬の宝物を探しに歩く春。そんな2人の出会いと別れの物語。