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四季の宝探し
桃井桜花
文芸・その他童話
2024年09月28日
公開日
4,055文字
完結
───当たり前のように季節があり、その季節ごとに風景が変わっていく。

 そして、季節は4つの四季に分かれている。

【春】

【夏】

【秋】

【冬】

 季節も人間の様に、様々な生活を送っているのをご存じだろうか?

 これは、決して共に同じ季節を過ごせない【春】と【冬】が出会い、2人だけの【宝物】を探しに、季節を共にする物語。

春の訪れ

───春


 雲一つない晴天の下に広がる、お花畑。


 そして、桜の木から落ちる桜の花びらが光り輝くと、1人の《季節》が生まれた。


【春】


 それが、彼女の名前だ。


 春が生まれると、花も小鳥たちも元気になる。


「ふぁ~。小鳥さんおはよう~」


 小鳥と挨拶を交わした後、春はお花畑を探索し始めた。


 すると、春は小さな白い何かを見つけた。


 春は白くて丸い何かを見つめていると、小さな目が現れた。


「あなたは?」


 春はもふもふとしたそれに、名前を尋ねた。


「僕は、冬!」


 白いモフモフの名前は、四季の一つである【冬】だと名乗った。


 【冬】と【春】は出会うことのない存在同士だったが、この時はどうやら何かが違ったらしい。


「初めまして、私は春! よろしくね!」


「こちらこそ!」


 春と冬は、互いに握手を交わし、2人は互いの温度差を実感し驚いた。


「冷たい!」


「春は温かいね! でも、このくらいの温度だと、まだ大丈夫!」


 そう、冬は暑さに弱い。


 そのため、春の温度はまだ余裕を保てるが、【夏】になると、身体が耐え切れなくなり、溶けてしまう。


「次の冬まで、私と待てる?」


 春は冬のことを心配そうに、声をかけた。


 すると冬は、笑顔で頷いた。


「うん! 春となら大丈夫! でも…」


 冬は、何かを思い出したかのように、うつむいた。


「僕、探し物をしているんだ」


 春に悩み事を打ち上げた冬。


「探し物?」


「うん。僕にとって大切なお宝なんだ」


 冬は、春にそう言うと春は冬のお宝を探す決意をした。


「私も手伝うよ!」


「いいの?」


 冬は、申し訳なさそうにすると、春は首を縦に振った。


「勿論! あなたのお宝探しに行こう!」


 春は冬の手を繋ぎ、お花畑を走ったのだった。














───これから四季を巡りながら、冬の宝物を探しに歩く春。そんな2人の出会いと別れの物語。

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