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終章3

 ──石英樹海消失から六年後、教皇国としてエルン・ジーアは再誕した。

 その頂点に君臨するは若き教皇。彼は最後の女神の従者だったという。

 厄災そのものと恐れられた彼女が孤独に過ごした神殿の部屋は一般開放され、三代目が描いた天井画とともに四代目アイリーンと錆の王子ジャスパーの話はエルン・ジーア教皇国だけでなく、リグ・ティーナとイル・ネヴィスでも長く語り継がれた。

 最後の女神の名はアイリーン。

 石英樹海消失後、彼女はリグ・ティーナの錆の王子と寄り添い生きた。

 そして時は緩やかに流れて約五十年弱。最後の女神アイリーン・ヒューズ・リグティーナは齢八十でこの世を去った。

「私たちはきっと魂できちんと繋がっている。天に赦されたとしても、あの人の事だもの。次の人生でもきっと私を見つけ出す。いいえ、私も必ずあの人を探すわ。そして、私と彼のたからもの。今いるあなたたちにも必ず会いたいわ」

今際の際、子どもたちとたくさんの孫に囲われた彼女はそんな言葉を語ったらしい。

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