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第3話 好物はバナナ

名だたる企業や名家が複数籍を置くこの町には、その手の上流階級の子女が通う学院が存在する。


その名も藤花学院、かつては女学院であったが時代の流れを受けて近年共学となった歴史ある由緒正しい学院である。


ソレは学院と銘打ってこそいるものの、実質は社交界の予行演習場であり学院に通う子女は微笑の仮面を常に纏いながら、他者を緩やかに蹴り落して自身だけが這い上がる方法を学ぶ伏魔殿……。



「というわけで!そのクレープ屋さんが絶品なのですわ!」


「あらあら、そうなのですね」


「そう言うお店、お父様や家令が行くことを許可してくれませんから……羨ましいですわ」



学院に複数存在する個室、お茶会から秘密の会合まで用途が多目的に設けられた部屋の中の一室。


その中にて、見目麗しい少女達が朗らかな空気の中談笑していた。


最近見つけたクレープ屋さんが絶品だったと熱弁を振るっているのは、実は黒い地毛を金髪に染めている縦ロールお嬢様こと春日井 麗。


一代で成り上がった父親の娘と言う、これ以上ないぐらい判りやすい成り上がりお嬢様であるがそんな彼女の言葉に、集まった良家の乙女達は心から朗らかに接している。



「それは大変ですわねぇ、そう言えば最近習い事の調子はどうですの?」


「順調ですわ、これも今思うと無理筋な習い事の量を減らすようお母様に直談判してくだった麗さんのおかげです。その節は本当にお世話になりました」


「いいってことよですわ! だってお友達ですもの!」



クレープ屋にも気軽に出かけられないと上品にぼやいた乙女の言葉に麗は言葉を返しつつ、前に彼女が習い事の多重タスクに潰れそうになっていた事を、彼女の父親のもとに突撃後直談判して無理やり解決したことを思い出して問いかける。


すると問い掛けられた女性は、あれからは自身の母も思いなおし無理のないスケジュールを組むようにしてくれたと嬉しそうに伝え、その嬉しそうな様子に麗は心から嬉しそうにしながらはしたなくも親指を立てて応じた。


麗は自身が産まれた時に母を亡くし、そして幼少期には多忙な父に代わって自分を育て愛してくれた祖父母も不慮の事故で亡くしている。


だからこそ学友が家族間の問題で、生きている家族とぎくしゃくしている事が我慢ならず首を突っ込み結構な騒動の末に解決をしたという過去があったりする。



「麗さん、貴方そうやっていつも誰かの困りごとに嘴突っ込んでは、何とかしちゃいますからねぇ」


「貴女もそうやって助けられたからこそ……ここにいるのではありませんか?最初の方こそ麗さんの事成り上がりの猿女とまで揶揄してらっしゃったのに」


「む、昔の事ほじくり返すのはやめてくださいませ!」



口元を手で隠し上品に微笑む学友……松芝 明美(まつしば あけみ)の言葉に、吊り目がちの勝ち気そうな少女こと加賀 乙女(かが おとめ)は顔を真っ赤にして叫ぶ。


話題の種に上がった少女……乙女は、中学高校エスカレーター制のこの学院にて麗と初遭遇した際には成り上がりの小市民の山猿娘などと、麗の事をバカにする勢力の筆頭に位置していた。


そんな彼女が何故今では麗達と仲良く談笑するに至ったか、それにはそんなに深刻ではないが子供が背負うには少々重たいかつて学院で起きた事件が関係している。


何があったかと言えば話は単純、その気質から敵を作りやすい性格をしていた乙女を、彼女が親友だと思っていた友人が裏切り陰湿な苛めを始めたのだ。


そしてその陰湿さに、自身をバカにしていた相手とは言え我慢ならなくなった麗がお嬢様にあるまじき実力行使を執行、なんやかんやの末にこうやって一緒にお茶をする仲となったのである。



共通して言えることは、良い事か悪い事かはさておき他者を蹴落とし自身の価値を高める事を良しとする社会において、麗の在り方は異質でありながらも稀有な在り方で。


平たく言うと、麗は正真正銘由緒正しい名家のお嬢様型からおもしれー女的な扱いをされながらも、裏表のない頼り甲斐のある面白い友人と言う扱いをされていた。



「そうですわ!今日の放課後爺やにお車出してもらってクレープ食べにいきません?」


「まぁ、私市井のクレープ屋さんなんて初めてですの。お母様にお伺い立ててみますわ!」


「ま、まぁワタクシもそういう下賤なお店にお付き合いしてもよろしくってよ」



麗の提案に明美は両手をぽんと合わせて花開いたかのような笑顔で応じ、乙女もまたそっぽを向きながら素直になれない言葉を織り交ぜて了承の意を示した。


その後彼女達の保護者へのお伺いも問題なく許可が下り、麗が社交ダンスの授業でパートナー役のイケメン貴公子の足をうっかり踏んづけたりした後の放課後の事。


麗の爺やの車で郊外の自然公園へと向かった少女達は、麗おススメのクレープ屋の屋台で買ったクレープを興味深そうに見ている。



「家のシェフが作ってくれたこともありますけど、クレープってこうやって作っていたのですね」


「松芝さんは食べた事ありますの?ワタクシは 初めてでしてよ」



色とりどりのフルーツが散りばめられたクレープを手に取り、上品に少しずつ齧っていく明美の様子を見ながらそうやって食べるのですね、などと呟いた乙女もチョコソースがかけられたクレープを一口食べる。


そのように学友達がお嬢様として上品にクレープを味わう中、麗は大きな口を開けてバナナクレープをパクリパクリと食べていく。



「ちょっと麗さん、学院に通う女子とあろうものがはしたなくってよ?」


「クレープはこうやってかっ食らうのが美味なんですわ!」


「まぁ、麗さんったら」



良家の婦女子としてはしたない麗の食べ方に乙女が苦言を呈し、そんな麗に対して明美が上品に微笑むという微笑ましい日常のひと時。


しかしその日常は、唐突に崩される事となる。



「ケームケムケムケム!マジカルゴリラに爆砕された兄、イモムシ怪人に代わってこのケムシ怪人様がこの公園を占拠してやるでケム!」


「ぎゃー!?怪人だーー!!」


「逃げろーーー!」


「なぜじゃ、なぜこの公園を狙うのじゃぁ~~~!」



突如現れたケムシ怪人、それは自然公園中央広場に陣取るように仁王立ちすると自然公園の侵略を宣言。


日常を謳歌していた家族連れやカップルが逃げ惑い、イモムシ怪人によって齎された被害から丹精込めて手入れする事で景観を取り戻す事に成功した管理人のお爺さんが膝をつき慟哭するという混乱の最中、麗は変身してすぐに立ち向かおうとするが友人たちが傍にいる事を思い出す。


魔法少女はみだりに正体を明かしてはならないのだ、その割に麗は家族や最寄りのラーメン屋の店主などに正体バレしているが、それでも野放図に正体をバラしたりするとコンコンからお説教をされてしまうのである。

故に麗がとった行動、それは。



「ちょっとお花摘み行ってまいりますわ!お二方はすぐに避難してくださいまし!」


「ちょ、ちょっと麗さん!?」



即座に麗はおトイレ直行宣言、突然の友人の発言に乙女が驚きの声をあげるのにも関わらず麗は自然公園の中にある公衆トイレの中へ飛び込み、個室の中に入り込む。



「コンコン!ロンロン!変身しますわ!」


「合点じゃ、こっちは逃げ遅れた市民が巻き込まれないよう結界を張りにいっておくのじゃ」


「変身補助は任せるのである!」



バリアフリーに対応した広い個室の中で麗は一息入れて気合を入れると、高らかに宣言するように叫ぶ。



「マジカルパワー!メイクアップですわぁーー!!」



麗の叫びと共にトイレの中に魔法少女パワーによって齎された虹色の光が弾けるように満ち溢れ、光と共に麗が身に纏っていた学院の制服がゆっくりと解けるように消えていく。


少女の大事なところはひと際強い光で隠されているのでお子様も安心だ。


そして虹色の光が織物のように麗の体へと纏わりつき、フリルのついたドレスの形状に光が形成された瞬間青色を基調としたリボンのついたドレスへと変化、麗の縦ロールを根本から止めていた髪留めもまた華やかな宝石のついたリボンへと変化し、最後に足元の靴が可愛らしいシューズへと変化して変身は終了する。



「マジカルウララ、推参!ですわー!」



そしてキメポーズ、誰も見ていないトイレの中であるがこればかりは外せない麗のこだわりである。



「よっしゃ!ちゃっちゃとケムシ怪人おしばきに行きますわよロンロン!」


「合点承知なのであるー」



トイレの扉を壊さない程度に勢いよく跳ね開けた麗はそのまま、ロケットがごとき勢いで公衆トイレを飛び出していく。


その際、学友の明美が目を見開いて驚愕していたが麗はケムシ怪人のもとへ急行する事を急いでいた余りその事を見落としていた。


ちなみにロンロンは気付いていたが、まぁいいかと軽く流したのは内緒なのである。



「ケームケムケム!討ち死にした兄に代わりこのケムシ怪人様が公園の覇者ァァァンッ!?」


「だらっしゃぁぁ!ですわー!」



暴れまわるケムシ怪人に対し、情け容赦ないマジカルウララの飛び蹴りが直撃し勢いよく吹っ飛ぶケムシ怪人。


今回は麗も公園に配慮し、噴水がない方向へ向けて蹴り飛ばしたので施設崩壊は発生していない。



「き、貴様はマジカルゴリラ!我が兄であるイモムシ怪人を無惨に爆裂四散した怨敵!」


「誰がマジカルゴリラじゃい!わたくしはマジカルウララですわ!!」



自身を蹴り飛ばした存在が何者か気付いたケムシ怪人、兄の仇である魔法少女であるマジカルゴリラ……じゃなくてマジカルウララに対して怨嗟を叫ぶ。


一方ゴリラ呼ばわりされたマジカルウララは怒りの咆哮と共に叫び返すと、一足飛びでケムシ怪人の懐に飛び込み怪人の恐らく鳩尾と思しき場所へ鋭い勢いの肘打ちを叩き込む。



「ぐふぅっ!?」


「乱暴な理由で皆様方の憩いの場を壊す所業、断じて許しませんわ! これ以上公園を破壊させたりしないのですわ!」



肘打ちの衝撃に呻き前屈みになったケムシ怪人に対し、バックステップで距離を取ったマジカルウララは踏み込みながら下げられたケムシ怪人の顔面へ飛び膝蹴りを叩き込む。



「この前の公園の施設崩壊、半分以上が魔法少女のお嬢ちゃんが原因だった気がするんじゃが……」


呆然とつぶやいている管理人のお爺さんの声が聞こえた気がしたが、気のせいという事にしてマジカルウララは戦闘を続行する。


しかしこのままでは兄と同じように一方的に殺られてしまうと確信したケムシ怪人、何か打開策はないかと視線を巡らせたところで一般市民の避難を誘導している二人の少女に目をつける。



「いかんマジカルウララ!ケムシ怪人を止めよ!」



一般市民へ被害が及ばぬよう結界を張っていたコンコンがケムシ怪人の意図に気付いて叫ぶが、その叫びに対してマジカルウララが反応するよりもケムシ怪人の動きが早かった。


ケムシ怪人は自身の体から伸びている毛の束を伸ばすと、避難誘導をしていた二人の少女を絡めとりマジカルウララに対して盾にするように配置したのである。



「きゃぁ?!」

「ぐっ、この卑怯な怪人め。恥を知りなさい!」


ケムシ怪人に囚われたのは麗の友人、明美と乙女である。

突然の事態に明美はうろたえ、乙女はケムシ怪人に対してキッと睨みつけながら罵倒している。



「ケームケムケム!貴様が碌に遠距離技がないのは知っているでケム!」


「くっ……!」



ケムシ怪人の凶行に攻めあぐねるマジカルウララ。


いつもなら瓦礫やら岩石をこういう時は投げつけるのだが、前回のイモムシ怪人の時の被害を反省して戦っていたせいで投擲できそうなモノが近場にない。



「くっ、まずいのであるよゴリラ!」



訂正、足元に一つ投げれそうで手ごろなサイズのマスコットがいた。


マジカルウララは自身をゴリラ呼びした不埒なマスコットを片手で鷲掴みしながら持ち上げると、野球の投手のように片足を高く上げながら大きく振りかぶる。



「え、ちょ、ちょっと待つのである!待って!お願い待って?!」


「マジカル剛速球、食らいやがれですわぁぁぁーーーーー!!!」



必死に命乞いじみた懇願を叫ぶマスコットことロンロン、だがしかしマジカルウララは友人を救うため……そしてさりげなくゴリラ呼ばわりしてきた不埒なマスコットに制裁を加える為。


全力を込めたマスコット投擲をケムシ怪人の顔面めがけて敢行、まさか魔法少女が自身のマスコットを武器のように扱うと欠片も思っていなかったケムシ怪人は、人質を盾にする事も忘れ呆然としたまま顔面に剛速球マスコットを受けて大きくのけぞり、衝撃で人質を離してしまった。



「お二人とも、今のうちに逃げて下さいませ!」


「ありがとうございます、マジカルウララ!」


「か、感謝してあげるから有難く思いなさいよね!」



ケムシ怪人に直撃し、どこかへ吹っ飛んで行ったロンロンを省みる事なくマジカルウララは解放された人質二人に今すぐこの場から離れるよう指示を出し、二人の少女はその指示を受けて口々に魔法少女への感謝の言葉を述べながら避難に成功した。


そしてそれは、ケムシ怪人の命脈が尽きた合図に他ならなかった。



「お友達とのお出かけを邪魔するのみならず、わたくしのお友達にまで危害を加えようだなんて……ぜぇったいに、許せませんわ!」


「な、なにを……ヲワーーーー!?」



見物客に聞こえないよう小声でブツブツと呟くが、呟いているうちに怒りのボルテージが跳ね上がったマジカルウララは、ロンロンが着弾した衝撃でよろめいていたケムシ怪人をがっしと両腕でつかむと、怒りの咆哮と共にはるか上空へ放り投げる。



何故彼女が唐突に怪人を上空へ放り投げたのか?


上空へ追撃して飛び上がり、ジャンプキックでとどめを刺す為? 否である。


上空から落ちてきた怪人のどてっぱらに渾身のアッパーカットを叩き込むため? それも否である。


彼女の目的,ソレは何か。



「とぅっ!ですわー!」



勢いよく両足で地面を飛び上がり、空中でもがくケムシ怪人をマジカルウララは両腕と両足でケムシ怪人の頭が地面を向く形でがっちりとホールドする。



「あ、あれはまさか……パイルドライバーの構え?!」


「嘘だろオイ、魔法少女だろマジカルゴリラ」


「ゴリラだし、しょうがねえ……」



戦いの行方を見守っていた市民達が口々に叫ぶ、マジで魔法少女なのにその技使うのかと半ばドン引き気味なのは言うまでもないが……。

そう、それはまさしく。



「マジカルパイルドライバー!ですわぁぁぁぁぁ!!」


「ぐわぁぁーーーーーーーー!?」



上空から魔法少女パワーで加速しながら地面に脳天を叩きつけられるケムシ怪人。


辛うじてスプラッタな事態こそ防げていたが、地面への着弾と同時に全身に叩き込まれた魔法少女パワーにケムシ怪人は為すすべなく爆発四散。


哀れにもケムシ怪人は、兄であるイモムシ怪人が命を散らした自然公園で兄の後を追う形で成敗されるのであった。



「大勝利ですわ!おーっほっほっほっほ!」



前回の反省を踏まえ、今回の被害はケムシ怪人を叩きつけた事で石畳が砕けた程度で済んだことにマジカルウララはご満悦。


腰に手を当て高らかに勝利の高笑いを上げるのであった。





しかし勝利と引き換えに失われたモノも確かに存在した。



「つーん、なのである」


「ろ、ロンロン……?その、機嫌直してくださいません?」


「つーーーーん、なのである」



自分をゴリラ呼ばわりしたマスコットへの折檻、人質に取られた友人を救出する為の行為と言う一石二鳥の為に投擲武器として運用されたマスコット、ロンロンの機嫌を直すのに麗は少しだけ時間を要するのであったとさ。




一方その頃、とある由緒正しいお屋敷の一室。


松芝 明美は両親にも内緒で家人に用意させたとある一室で、法悦の吐息を漏らしていた。


彼女の視線の先にあるもの、それはマジカルウララがケムシ怪人をパイルドライバーで地面に叩きつけた瞬間の決定的シーンの写真、それも大判ポスター並のサイズに引き伸ばされたものである。



「マジカルウララ様、今日も逞しくて素敵でしたわ……」



うっとりとした表情のまま大判ポスターに明美はしなだれがかり、写真のマジカルウララに頬ずりをしている。


何を隠そう、彼女は今回に限らずマジカルウララが活躍した決定的シーンの写真をすべて集めている、筋金入りの狂信的ファンであった。


更に今回は彼女にとって望外の喜びがあるのだから、自身を見失うぐらい恍惚とした表情を浮かべている。



「まさか、もしかするとそうだとは思っていましたが、麗さんがマジカルウララ様だったなんて……うふふ、これもまた運命なのでしょうか」



ぎくしゃくしていた家族間のわだかまりを解いてくれた頼りになる、憧れのお友達が狂信的に信奉している魔法少女であったと知ったのだから彼女の喜びは天井知らずであった。


余談であるが、この時この瞬間麗はロンロンのご機嫌取りをしながら謎の悪寒に襲われたらしい。






【マスコット達による解説劇場~藤花学院について~】

「コンコンと」


「ロンロンの」


「「マスコット解説劇場―」」



「えー、と言うわけで今回も始まった解説劇場3回目なのである」


「こやつ、煮卵ドカ盛のラーメンで簡単に機嫌直しよった。今日は藤花学院とやらについてかの?」


「そうなのである、ゴリラ……じゃなくてウララが通ってる共学性の名家御用達な学院なのである」


「確かあの学院、始まりは大正だか明治時代までさかのぼれるんじゃったか?」


「そうらしいのである、まぁ時代の流れで名前が微妙に変遷してるらしいのであるよ」



「基本的には一般的な中学高校一貫の学校と変わらぬらしいのう」


「そうらしいのである、一般的な学問教養プラス社交的な……いわゆる上流社会向けの案件について教育があるらしいのである」


「基本的に儂らが目撃されたら面倒な事になるからのう、直接見れてないから何とも言えぬが」


「社交ダンスやマナーや帝王学とかやってるらしいのである」


「……ソレ、ウララ大丈夫なのかのう?」


「なんでも赤点スレスレで、いつも友達に助けてもらってるらしいのである」


「どこに出しても恥ずかしいポンコツお嬢様じゃのう」



「しかしそんな学院、結構ドロドロした裏事情とかトラブルありそうで窮屈そうじゃの」


「実際ウララが巻き込まれたり、いつものノリで首突っ込んで解決したトラブル幾つかあるらしいのであるよ? アケミやオトメなんてそれで助けられた判りやすい実例らしいのである」


「なんかあのアケミとか言う娘、ウララを見る目怪しくて不安になるんじゃが……」


「我輩的にはオトメの方も拗らせた感情もってそうに見えるのであるよ」


「……この辺りは触れずにおこうかの」


「せやな、なのである」


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