■アダマンタイト鉱山跡地・入口
ダンジョンの入口は普段は入場管理する衛兵がいる程度だが、今は多くの人がピリピリとした空気を放ちながら入口を警戒している。
ギルドの出張所テントで立ち上がっていて、多くの冒険者が報告を行ったりしていた。
「ジュリアンさん! こっちです」
テントでの受付をしていた、エミリアさんが手を振って俺を呼んでくる。
バタバタと動いているのか、顔に疲労の色が強いエミリアさんの元へいき、俺は状況確認をはじめた。
「だいたいのことはアーヴィンからも聞いているけど、どれだけのモンスターがどこまで進行しているんだ?」
「多くのスカウトの冒険者に協力してもらって調査網を作っていますが、モンスターの集団は地底湖階層まで来ているとのことです。狭い坑道階層で進行速度は下がるでしょうが、逆に押し負ける可能性や坑道階層のモンスターが押し出されてきたら坑道階層の崩落なども考えられます。お疲れかもしれませんが、急いで地底湖階層まで潜っていただきたいです」
坑道階層の道が崩落したらダンジョンは封鎖状態になる。
ダンジョン自身には自己再生能力があるらしく、しばらくしたらもとに戻るがその間ダンジョンから資源の回収ができなくなるのでイーヴェリヒトへの経済的影響は計り知れない。
「わかった。すぐに行く」
俺がそういって、離れようとしたら俺の手をエミリアさんが握ってきた。
やわらかい手の感触にドキッとする。
「無理はしないでくださいね。ジュリアンさんはまだまだ未来があるんですから……」
眉根を下げて、不安げな瞳を俺に向けたエミリアさんがそう語ってくる。
突発的な事故で死んでしまい、異世界に来た俺だったがここで死んだらどうなるかなんてわからない。
「頼りになる仲間もいるので、大丈夫!」
俺は空いた手でサムズアップをすると、受付から離れていった。
■アダマンタイト鉱山跡地・鉱山階層
前衛として俺とセリーヌとリサ、中衛としてエリカ、後衛にはこっちで合流したレイナというフォーメーションでダンジョンを進む。
もっとも、一緒に”鋼の守護者”と”ブレイジングスピリッツに”セレスティアルガーディアンズ”も一緒に行動していた。
先輩冒険者達と一緒なので気はだいぶ楽である。
「ザコばかりなのだ」
グレートソードを振り回せるような広さがないので、パンチやキックでジャイアントバットをセリーヌが倒していった。
その様子をみていたレイナが俺に近づいて声をかけてくる。
「ジュリアンはあーいうんがこのみなん?」
「連れてきてはいるし、奴隷を名乗っているが、契約はしてないぞ……」
レイナのじとーッとした目がみているのはセリーヌのブルンブルンと揺れる爆乳だ。
ペタンとしているレイナの真逆の存在なので気にはなるのだろう。
リサもなかなかの巨乳なのだが、セリーヌには負けるしビキニアーマーで戦っているのだから、目立つのは仕方なかった。
「ウチを置いてけぼりにして、楽しんできたようで何よりや」
「置いてけぼりって、街に残るっていったのはレイナじゃないか……」
理不尽な言い分ではあったが、俺は戦闘に集中する。
襲い掛かってくるモンスターの数が多く、血の気が多いように感じた。
「アイアンゴーレムは先行しているパーティが排除してくれるようだから、ザコを狩っていくぞ」
「せっかくなので、温存をしていきながらいきませんとね」
エリカは弓ではなくショートソードでジャイアントバットを斬っていく。
矢を温存するため、それほど得意ではないようだが訓練も兼ねて今回は使うようにしたようだ。
ジャイアントバットを倒した後、そのまま下の階層へと進む。
地底湖階層でモンスターの集団とぶつかるだろう。
「地底湖へ急ごう!」
「「「了解!」」」
今の戦力でできる限りのことをするだけだ。