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第62話 白仙の秘湯

「白仙の秘湯って?」


 疑問で首をもきゅっとかしげたクラリスに、ソフィーが説明をする。


「この里にある山の麓に湧く、聖なる温泉のことです」

「温泉!? 入りたい入りたーい!!」


 温泉と聞いて大はしゃぎなクラリスをよそに、ソフィーはどこか不安げな顔。


「しかしあそこは里でも限られた人たちしか立ち入れない場所、そんな秘湯にクラリスさんたちを案内してもよろしいのでしょうか……?」

「気にすることはない、クラリス殿たちは我ら海の巫女一族の恩人じゃ。ならば我々も相応の感謝を示さねばなるまい」

「重ね重ね感謝する、長老様」


 懐の大きい長老様に、片ひざをついて感謝を示すアンナ。


 そういえばお風呂に入るのも久しぶりだな、屋敷を出発する前日に入ったきりだぜ。


「クグルルルル……!」

「ダイナも楽しみだよね~」


 当然だぜクラリス! お風呂はクラリスたちのきれいな裸を眺めながらゆっくり暖まれる、最高の空間だからな!


 俺とクラリスが浮き足立ってるそばで、ソフィーも納得してくれたようで。


「――分かりました。それでは長老様の命でクラリスさんたちを白仙の秘湯に案内します」


 こうして俺たちはソフィーの案内で白仙の秘湯に向かうことに。


「さっきは山の麓にあると言っていたが、もしや向こうに見えるあの山のことか?」

「その通りでございます、アンナさん」

「え~! あんなに遠いの~!?」


 遥か遠くにそびえる山へ行くと聞いて、不満を漏らしたのはクラリスだ。


「わがまま言うな、と言いたいところだがクラリスもかなり疲労がたまっているだろうからな……」


 さっき大がかりな転移魔法を使ったばかりのクラリスを気遣うアンナに、ソフィーがこんなことを提案する。


「このようなこともあろうかと、我々巫女一族に秘伝の術がございます」


「「秘伝の術?」」


 クラリスとアンナがハモったところで、ソフィーはゆったりと舞を踊り始めた。


「ふあ~、見ていて心が安らぐ躍りだね~」

「……待て、向こうから何かが来るぞ!?」


 アンナの指差した先で、青いベールのようなものがこっちに向かってくるのが俺にも見える。


 目を凝らしてみるとそれは半透明な熱帯魚、コミューンフィッシュの大群だった。


「里のコミューンフィッシュをあらかた呼び寄せました。これに乗っていけば楽に山の麓まで行けます」

「乗るって?」

「こうするんです」


 コミューンフィッシュの大群に戸惑うクラリスの前で、ソフィーはひょいっと大群に飛び乗る。


 まるで空飛ぶ絨毯だ。


「さあ、お三方もどうぞ」

「う、うん」

「すまない」


 ソフィーが差しのべた手をとって俺たちもコミューンフィッシュの絨毯に上がると、不思議なことに足場が安定している。


「なんか不思議な感じだね~!」


 そう感動しながら腕を広げるクラリスを見てると、腐敗した世界と巨大昆虫が出てくる古い映画を思い出すぜ。


「それでは頼みますよ、白仙の秘湯に連れていってください」


 ソフィーの呼び掛けに応じるように、コミューンフィッシュたちは俺たちを乗せて空中を滑るように進み始める。


「わたしたちホントに空飛んでる~!」

「魚の群れに乗って空を行くなど、やはり不思議な感覚だな……」


 コミューンフィッシュの絨毯に進行を任せていると、目下に日本の田園地帯さながらの棚田が一面に広がって見えた。


 そういえば祖先が東方の島国から来たって言ってたな、だから元日本人の俺にはどこか懐かしく見えるんだ。


「クグルルルル……」

「この里もすっごくきれいだよね、ダイナ」


 そんな俺の頭にクラリスが手をポンと置いてくれる。


 へへっ、クラリスの素手もすべすべで気持ちいいや。


 棚田地帯を抜けて山を迂回するように越えると、コミューンフィッシュたちがある一点で止まって下降し始める。


「どうやら着いたみたいですね」


 ソフィーの言う通り降りた先に広がっていたのは、濃い湯煙が立ち込める乳白色の温泉だった。


 これが白仙の秘湯……!


「ここが白仙の秘湯なんだね~!」

「名前に違わず白く美しい湯だ」


 感心する二人のエルフ娘をよそに、俺は鎧をスキルで脱いで早速乳白色の湯に飛び込んだ。


「クガア!」

「きゃあっ!?」


 勢いよく飛び込んだ拍子の盛大な水しぶきに、クラリスたちがすっとんきょうな声をあげる。


 おっと、いけね。


 ……でも本当にいい湯だな、さっきまでの疲れが一瞬で吹き飛ぶようだぜ。


「クルルルルル……」

「なんか気持ち良さそう~。それじゃあわたしもっ」


 そう言うや否や、クラリスがいそいそと服を脱ぎ始めた。


 待ってました、美少女エルフの生着替え!


「待て、私も入るぞ」


 続けて服を脱ぎ出すアンナ。


 その一方でソフィーはおろおろとしている。


「はわわわわ、エルフのお二人はお外で服を脱ぐことに抵抗はないんですか~!?」

「んー、だってここにはわたしたちしかいないんだよ~?」

「下賎な輩の目などどこにもないのだ、何をためらう必要がある?」


 そう説明するクラリスとアンナはすっかり生まれたままの姿になっていた。


 ――あれ、もくもくと立ち込める湯気のせいで大事なところがよく見えねえ。


 とはいえ二人の瑞々しい白い肌と豊満なおっぱいは健在だ。


 足から順にお湯に浸るクラリスが、心底気持ち良さそうな声をあげる。


「ん~。この温泉すっごく気持ちいいよ~!」

「この前の温泉宿も良かったが、こちらは湯がミルクのように滑らかでいい」


 少し遅れて全身を浸らせたアンナも、石造りのへりに両腕をかけてうっとりとした表情だ。


「クガァ!」

「ひゃんっ。もーダイナってば~」


 勢いよくそのたわわなおっぱいに飛び込んだ俺に、クラリスが嬉しそうに嬌声を出す。

 やっぱクラリスのおっぱいは最高だぜ!


「――ダイナは相変わらず生意気だ、私も混ぜろ」

「アンナちゃんまで~! 二人ともしょうがないな~」


 アンナもクラリスに抱きついたことで、俺の顔が二人のおっぱいに挟まれることに。


 ああ、幸せ。


「……なんだか遠慮していた自分が馬鹿みたいですね」


 ため息をついてから巫女服を脱ぎ始めるソフィー。

 そういやソフィーの裸は見たことないな!


 服を脱いで全裸になったソフィーの姿に、俺の目は釘付けになる。


 ソフィーの素肌も白くて瑞々しそうで、細身ながらも均整のとれた身体のラインもきれい。

 おっぱいはまあクラリスたちにはさすがに敵わないけど、手のひらがあれば収まるであろうこの大きさもまたいいかもな。


「……どうしてそんなジロジロ見てるのですか」


 おっぱいを手で隠したソフィーにジト目を向けられたものだから、俺は渋々目を背ける。


 そうして美少女三人に囲まれながら俺もこの極楽みたいな温泉を堪能するのだった。

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