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第52話 海のドラゴン

 おお。久々のレベルアップ、しかも一気に2も上がったぜ!


 それと魚人殺しサハギンスレイヤーか、大体想像つくけどどんなのか確認しよう。


New【魚人殺しサハギンスレイヤー】→サハギン種族の上位種を倒した者に授けられし称号。サハギン種族に対し威圧と特攻発生。


 やっぱりこの前の竜王殺しドラゴンスレイヤーのサハギンバージョンだった。


 確かにサハギン・マッチョを倒した途端他のサハギン共が寄ってこなくなってる。


 それにこいつを食えばさらにスキルを盗れそうな気がするんだ。


 そう思ってサハギン・マッチョの腕肉を食いちぎって飲み込むと、思った通りいつものアナウンスが頭に流れる。


【サハギン・マッチョを捕食したことにより、スキル肉体改造ビルドアップを獲得しました】


 よし、思った通りだぜ。


New肉体改造ビルドアップ→全身の筋肉をみなぎらせて身体能力などを強化する補助スキル。筋力と耐久中アップ


 おお、これはよさそうなスキルが手に入ったぜ。肉弾戦主体の俺にはピッタリだ!


 サハギン・マッチョの亡骸を無限収容ブラックボックスで収容したところで、アンナが呼び掛けてくる。


「おい! なぜサハギンがこっちばかりにやってくる!?」

「クカ?」


 アンナの方に目を向けると、俺から離れていった分のサハギン共がみんな彼女の方に向かってた。


 悪いなアンナ、サハギン共は任せた!


「ダイナ! そんな先走ってどうするつもりだ!?」


 アンナに呼び止められるのも聞かず、俺はどす黒く変色した波打ち際に足を踏み入れる。


 生命感知ライフセンサーが奥にドでかい反応を知らせてるんだ、そいつがオシアノスで間違いない。


 すると今度は正面から水の弾丸がものすごい勢いで飛んできた。


「クカッ!?」


 おわっと、危ねっ!


 すんでのところで水の弾丸をかわすと、水面から巨大な海蛇のようなやつが水面から身をもたげた。


「パギャアアア!!」


 なんだあいつは!? 初めて見るぞ!


 早速鑑定だ。


個体名:――

種族名:シードレイク

レベル:45

体力:2000/2000

筋力:950

耐久:700

知力:1200

抵抗:800

瞬発:500


 うげ、こいつめちゃくちゃ強いじゃねえか!


 だけどなんでだろう、そんなシードレイクが俺にビビってるように見える。


「パギャアアア!!」


 奴の放つ水鉄砲も狙いが散漫でかわすのも容易い。


 まあスキル遊泳スイミングのおかげで水に足が取られないってのもあるだろうけど。


 もしかして俺の称号竜王殺しドラゴンスレイヤーが効果を発揮してるのか?


竜王殺しドラゴンスレイヤーの効果により、大恐竜モードに入ります】


 すると今度は頭のアナウンスと共に俺の身体が白く光り出して、次の瞬間に俺はあの大恐竜の姿になっていた。


 よく分からないけどナイスタイミングだぜ!


「グギャオオオオオオオ!!」


 俺の咆哮でシードレイクが震え上がったように見える。


 あっちがビビってるうちに勝負を決めてやるぜ!


 そう決めた俺はシードレイクに向かって突っ走る。


「パギャアアアアアアア!!」


 シードレイクが水鉄砲を乱射するけど、まっすぐ進む俺に掠りもしない。


 やっぱり狙いが的外れだ、これはいける!


 シードレイクの懐に潜り込んだところで、俺は必殺のスキルを念じた。


 破砕咬牙クラッシュバイト


 白く光る極太の牙で俺は、シードレイクの喉元に食らいつく。


「パギャアアア!?」


 喉を食らいつかれたシードレイクは苦し紛れに細長い身体で俺の身体に巻きついてくるけど、ここは新しいスキルで!


 肉体改造ビルドアップ


 念じた途端に全身の筋肉がドクン!と脈打ち、巻きついてくるシードレイクを真っ向からはね除ける。


 そして俺はシードレイクの首を噛み砕いてトドメを刺した。


【経験値が上限を突破。レベルが37に上がりました】


 またまたレベルアップきたーー!!

 しかも一気に3レベも上がったぜ!


 ここは巨大化した状態でステータスを確認してみよう。


個体名:ダイナ

種族名:タイラントレックス

レベル:37

体力:1235/1800

筋力:1500

耐久:1200

知力:500

抵抗:900

瞬発:300


 おいおい、このステータス今倒したシードレイクよりもめちゃくちゃ強いじゃねえか!


 ウキウキ気分で足元に転がるシードレイクの肉も一噛みで食いちぎると、またアナウンスが流れた。


【シードレイクを捕食したことによりスキル竜伝舞踊ドラゴンダンスを獲得しました】


New【竜伝舞踊ドラゴンダンス】→竜族に伝わる威風堂々とした踊りで能力を上げる。筋力と瞬発中アップ


 新しいスキルも独特でなかなか使えそうだぜ。


 シードレイクの亡骸も無限収容ブラックボックスで収容した時だった、俺の足に何かが絡みつくのを感じた。


 足元で見覚えのあるタコ足が見えかくれするかと思えば、それは急に俺の足を引っ張る。


「グルウウ!?」


 思わぬ方向にかかった力で、俺は引き倒されてしまう。


「ダイナ!」


 アンナの呼び掛けでどうにか意識を取り戻した俺の前に立ちふさがっていたのは、いつぞやの巨大なタコの魔物だった。

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