死屍累々と転がるグレイウルフ共の亡骸。
「しかしこれ、どうするのだ?」
「このまま放置しても腐らせるだけだし、かといって持ち帰るにも多すぎる……」
頭を悩ませるロックとマルスの間に、俺は割り込んでみる。
「クカッ」
「どうしたんだい君?」
「こういうときはダイナに任せてください。ね、ダイナ」
「クケッ」
クラリスの目配せを受けて、俺は
「まさか収容スキルを使えるなんて!」
「すごいニャ!」
へへっ、どんなもんだい。
マルスたちの前で自慢げに胸を張るのもそこそこに、俺たちはまたすぐに馬車で進み出す。
日が少し傾きかけた頃、無限草原までの中継地となるハラハラ村にたどり着いた。
木の枝を組み合わせただけの簡素な村の囲いを通過すると、早速出迎えてくれたのは真っ白なひげをたくわえたじいさんだ。
「もしや我々の依頼を受けてくださった冒険者たちですかな?」
「はい。我々こそがギルドからレッドドラゴンの討伐に参ったマルスです。あなたたちがギルドに依頼を通したんですね」
マルスが問いかけると、白ひげのじいさんは重々しくうなづく。
「いかにもですじゃ。わしはこの村の村長をやっているファリンと申します。こんなところでもあれですので、どうぞこちらへ」
それからファリンと名乗った村長が俺たちを案内したのは、村の中で比較的大きな民家だった。
「どうぞお上がりください」
俺たちが中に上がると、村長は重々しく語り出す。
「あなたがたに依頼をしたのは他でもありません、最近どこからかやってきたレッドドラゴンが暴れて大変困窮しているのです。このハラハラ村は牧畜で生計を立てているのですが、レッドドラゴンに草原を焼かれて家畜の維持に困っている状態でして……」
「なるほど……」
「それは深刻だな」
村長の語る村の事情を、マルスとアンナはあごをなでて重大さを噛みしめているようだ。
その一方ですくっと立ち上がったのはチャオである。
「ミーたちに任せるニャ! レッドドラゴンをやっつけて、必ずこの村を助けてみせるニャ! なにせミーたちには勇者マルスがいるニャ!」
「ほう……」
「そういうことです。どうか我々にお任せください」
「うむ。頼みましたぞ勇者マルスご一行様」
マルスと握手をしたところで、村長が俺の入ってるクラリスのバッグに目を向けた。
「それにしても先ほどからそちらのバッグがゴソゴソと動いておりますが」
「あーこれですか? 出ておいで、ダイナ」
クラリスに促されてバッグから出てみると、村長が目を見開く。
「ど、ドラゴン……!」
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ、村長さん。ダイナはわたしの使い魔です、とってもお利口な子なのでご安心ください」
「ほう、まさかエルフの娘がドラゴンの子供を使い魔に……」
白いひげをなでて感心する村長の前で、俺は愛嬌を振り撒くことにした。
「クカカッ」
小首をかしげて尻尾をフリフリ。
これなら俺が無害だって分かってくれるだろ。
思った通りそんな俺を村長は微笑ましそうに見てくれている。
とにもかくにも俺たちは一晩村長の家に泊めてもらうことになった。
部屋割りはクラリスとアンナ、サラとチャオ、男であるマルスとロック、こんな感じでそれぞれ一部屋ずつ貸してもらえることに。
「やっぱりアンナちゃんと二人だと安心するな~」
「勇者一行と一緒にいてずっと気張ってたからな、お前は」
簡素なベッドに座って一息つくクラリスの肩に、アンナは手を添えて彼女を労う。
俺も混ぜてくれよー!
「クカッ!」
その豊満なおっぱいに飛び込んだ俺を、クラリスはいつものように受け入れてくれる。
「そうだね、ダイナも一緒にいてくれるよね。――よーっし、明日から頑張るぞ~!」
頬を叩いて気合いを入れ直したクラリス。
するとちょうどよくたらいが届けられて、そこへお湯が注がれた。
「早速身体をきれいにしようよ。ほらアンナちゃんも脱いで脱いで」
「服ぐらい自分で脱げるんだが」
「そう言わないのっ」
アンナの服を脱がせてから自分も服を脱ぎ捨てたクラリスは、俺もいれた三人でお湯に浸かる。
「やはりこの二人が一番落ち着くな」
「二人じゃないよ、ダイナもいるでしょ?」
「クカッ」
「それもそうだな。失礼した」
「それじゃあ身体をきれいにしようね~」
クラリスはまずアンナの身体をきれいにし始めた。
アンナも白くてきれいな肌してるよな~。スタイル抜群だし、クラリスとはまた違った意味で目が離せないぜ。
だけどやっぱりクラリスが一番だよな、あの圧倒的な巨乳は正義だ!
「えへへ、ダイナもちゃんときれいにするからね~」
続いてクラリスは俺の身体もきれいにしてくれる。
ああ、やっぱりクラリスに身体をきれいにしてもらえて幸せだぜ~。
そうして俺たちは仲睦まじく身体を清めて、明日に備えるのだった。