サラに連れられて俺たちは女湯ののれんをくぐる。
俺は男なんだけど、ハッキリいってもう今さらだ。
クラリスのバッグに入れられたまま俺も脱衣場に入ると、そこには一周回って懐かしい日本風の脱衣場が広がっている。
「ここで服を脱ぐんすよ。脱いだ服はこのかごの中に入れるっす」
クラリスとアンナに説明しながら、サラはスルスルと服を脱いでいく。
彼女の腰は思ったよりくびれていて、やっぱりそこは年頃の女の子なんだなと思うぜ。
ついでに膨らみかけの先でほんのり薄いピンク色に色づくつぼみも小さくて、これはこれで可愛らしい。
「どうしたっすか、ボクのことそんなにジーッと見つめて~」
「クカ」
なんでだろう、モジモジするサラの頬も心なしかほんのり染まってるように見える。
「それじゃあわたしたちも脱ごっか」
「そうだな」
続いてクラリスたち二人も服を脱ぐと、サラにはないグラマラスなボディーが露わになった。
うひょー、やっぱクラリスたちのおっぱいたまんないぜ!
「クカーッ!」
露わになったその胸に飛び込むと、クラリスはにっこりと笑う。
「よしよし、これから一緒に入ろうね~」
そしてクラリスが浴室に繋がる扉を開けると、硫黄の匂いと共に白い湯煙が漂ってきた。
「むっ、なんか変な匂いがするな」
「硫黄の臭いがしない温泉なんて温泉じゃないっすよ、アンナさん」
硫黄の匂いに顔をしかめるアンナに一言言ったところで、サラは身体を流し始める。
お湯に濡れた褐色の素肌が瑞々しく見えて美味しそうだぜ。
「こうやって身体を流してから温泉に入るのがマナーっす」
「へー、そうなんだ~」
見よう見まねで身体を流すクラリスたち二人。
やっぱエルフ美少女は何をやっても絵になるなあ。
「ところでサラ、髪を結っているのはなぜだ?」
「あーこれっすか? お湯に濡れると髪がべったり首筋にまとわりついて嫌なんすよね~。アンナさんは必要ないと思うっすけど、クラリスさんは髪が長いからまとめた方がいいっすよ」
「そうなんだね。教えてくれてありがとう、サラちゃん」
サラのアドバイスでクラリスも金髪を頭の後ろでまとめる。
普段とは違う髪型が、クラリスをより艶っぽく見せる。
そしていよいよ三人が温泉の湯船に浸かった。
もちろん俺もクラリスに抱えられて一緒だぜ。
「は~、気持ちいいね~」
「ああ、すごくいい気分だ」
「クカァ~」
この温泉、温かいだけでなくありがたい薬効成分まで身に浸透していくようだ。
「仕事終わりの温泉は格別っすよね~。それにしてもっ」
続いてサラが目を付けたのは、お湯に浮かぶクラリスのたわわな果実。
「ここまで大きいとお胸も浮くんすね~」
「あ、ホントだ~。こんなに重いのになんでだろうねー」
クラリスがもにゅもにゅと自分のおっぱいを揉むたび、俺の顔にもその柔らかさが伝わってくる。
ああ、至福だぜ。
「そのお胸、ボクにも少し分けてくれないっすか!?」
「ひゃっ!? そんな強く掴まれたら痛いよ~!」
嫉妬に狂ったのか、サラがクラリスのおっぱいを乱暴に揉みしだく。
「全く、胸一つでそんな一喜一憂することもないだろ。――それにしても実にいい湯だ。毎日入りたいくらいだよ」
「それもそうっすね~。それよりクラリスさん、ボクもダイナきゅんを抱いてもいいっすか?」
「どうぞ~」
クラリスから俺を受けとるなり、サラがむぎゅーっと抱きしめて頬擦りまでしてきた。
「あーーー、本当にダイナきゅんは可愛いっすね~~~!! それになんかハンサムにも見えるっす! ああ、そんな目で見られたらボク妊娠しちゃうかもっす!!」
「……クケ?」
サラの暴走した言動に、俺だけじゃなくクラリスとアンナも目が点になる。
「あ……もちろん冗談っすよ冗談!」
なんだろう、サラのヤバそうな一面が垣間見えたような気がするぜ……。
それはともかくとして、温泉を心行くまで堪能したクラリスたちは浴室から出たところで浴衣っぽい服装に着替える。
アンナだけはサラに教えてもらっても自分で着ることができなかったから、クラリスが代わりに着付けた。
それから中の売店でこんな体験をすることに。
「これってミルクだよね?」
「白いのはそうだと思うが、茶色いのもあるぞ」
売店に並んでいるのは、牛乳瓶に詰められた白い牛乳と茶色いコーヒー牛乳らしきもの。
「おばちゃん、コーヒーミルクを四本くださいっす!」
本当にコーヒー牛乳だった!
「はいよ~」
受付のおばちゃんからコーヒーミルクを受け取ったサラが、瓶を開けてぐいっと一気に飲み干す。
「プハーっ! やっぱり温泉上がりにはこの一本が格別なんすよ~! ほら、アンナさんたちもどうぞっす」
「それではお言葉に甘えよう」
サラに促されてコーヒーミルクを飲むなり、アンナとクラリスの目の色が変わった。
「何だこれは、ほろ苦さの中に香り高さが……!」
「これすっごく美味しいね! ――ダイナもどうぞ」
「クカッ」
俺が開けた口にクラリスがコーヒーミルクを流し込んでくれる。
ぷふーっ、やっぱり風呂上がりはこれだよな!
こうして俺たちはこの温泉宿でゆっくりと疲れを取るのだった。