オーク共を全て倒した直後、俺は強烈な空腹を感じた。
「クルルルル……クガアアア!!」
「ダイナ!?」
クラリスのすっとんきょうな声も聞き流し、俺はオークの死体を貪り始める。
称号【
そして最後の一体をも骨まで食らいつくした時、頭の中でお馴染みのアナウンスが流れた。
【レベルが16に上がりました。レベル条件を満たしたことにより、スキル
おお!? なんかすごいことになってそうだ!
早速ステータスオープン!
個体名:ダイナ
種族:リトルレックス
レベル:16
体力:170/170
筋力:210
耐久:158
知力:150
抵抗:134
瞬発:160
スキル:
UP↑【
UP↑【
称号:
UP↑【
New【
どっひゃー!! 俺めちゃくちゃ強くなってないか!?
ハンパじゃない能力値の上昇もさることながら、今までのスキルも順当にアップグレードしてやがる。
そして新しく獲得した称号、
問題は
「……クカ」
「どーしたの? そんなにわたしの顔を見つめて、何かついてるの?」
キョトンとした顔のクラリスを前に、俺はブンブンと首を振る。
――いやいや、なんで今クラリスを見たんだ俺は!?
そりゃあ確かにクラリスはすげー可愛いし、できることならすぐにでも俺のモノにしたいくらいだ。
アンナだってスタイル抜群だし、硬派だけど性格もいいから……正直こちらも好みである。
……だけど彼女ら自身はそれを望んでいるか?
望まない形で子供を押しつけるだなんて、男として最低のことだと俺は思う。
「んー、ダイナってば変なの~」
「それよりも服を着ようクラリス。いい加減素肌を晒してるのも肌寒くなってきた」
「そうだね」
アンナの提案でクラリスも服を着替え直す。
そんな二人を見てたら、今まで知り得なかった彼女たちの情報がその頭上に浮かび上がってきた。
個体名:クラリス・グリーン
種族:エルフ
レベル:24
体力:160/160
筋力:40
耐久:80
知力:300
抵抗:350
瞬発:80
個体名:アンナ・スパーダ
種族:エルフ
レベル:25
体力:180/180
筋力:200
耐久:110
知力:100
抵抗:120
瞬発:300
なるほど、これが【
クラリスは見た目どおり魔法寄りのステータスで、最大値が三百超えという今まで見た中ではかなりのもの。
一方のアンナは物理寄りの速攻型なのか、物理面と機動力を中心に比較的高いレベルでまとまっている。
それに二人とも地味に俺よりもレベルが上。
さっきまでの強くなった歓喜がちょっと薄れてしまうぜ。
まあ生まれてまだ三日四日なんだからこんなものか。
「なんだダイナ? 私たちをそんなじろじろと見て」
「どうしたんだろうねー?」
「まあいい。オークを倒したことだし、町へ帰ろう。……その前に素材の回収だな」
そう言うとアンナは俺が食べ残したオークの牙を切り取り、それを終えたところで俺たちは町へ帰るのだった。
「――さすがはクラリス様にアンナ様。これだけのオークを討伐してくるとは思いませんでしたよ、ええ」
カウンターで山盛りにしたオークの牙に、受付嬢のリコッタさんは若干顔をひきつらせている。
「いや、私とクラリスだけではここまでの数は狩れなかった。今回の功労者は紛れもなくダイナだ」
そう告げるなりアンナが俺をカウンターに上げた。
「クカッ?」
「あれ、その子心なしか前よりも大きくなってません……?」
眼鏡を指で上げ下げして俺を見つめるリコッタさん。
言われてみれば確かに、今の俺は周りとの比較から小型犬から中型犬サイズになっていることが分かる。
急激なレベルアップで、身体も大きくなったっていうのか……?
それでも俺が身につけてる防具は全然キツくなってない。
確か成長に合わせてサイズも大きくなっていく魔法がかけられてるんだっけか、これ。
「――ともあれ依頼達成お疲れ様です」
「これからも頑張ります」
「今後ともよろしく頼む」
腕を柔らかく構えるクラリスと恭しく頭を下げるアンナの前で、リコッタさんがいつものように二人のカードにスタンプを添える。
こうして俺たちはまた順調に実績を積み重ねたんだ。