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第8話 エルフ乙女の極上サービス

 エルフの二人に連れられてギルドを出た俺は、続いて食べ物の香ばしい香りが漂う市場に来ていた。


「はー、お仕事の後だからお腹空いちゃったよ~」

「全く、クラリスは相変わらず食いしん坊だな」


 賑やかな市場で空きっ腹をさすりながら歩くクラリスを、アンナは微笑ましそうに見つめている。


 二人とも仲がいいよな、前世で友達ゼロだった俺にしてみれば羨ましい限りだぜ。


 ま、今は俺もそんな二人の使い魔だけどな。


 クラリスのボストンバッグの中でふんすと鼻を鳴らしてると、いつの間にかここにまで香ばしく焼けた肉の香りが漂ってくる。


 顔を出してみると、二人が串焼き肉を分けあっているところだった。


「あれ、もしかしてダイナもお腹空いてるのー?」


 串焼き肉を美味しそうに頬張るクラリスを見てたら、こっちまで腹が減ってきたぜ。


 ここに至るまでずいぶんと狩りはしてきたけど、やっぱ調理された肉の誘惑には勝てそうにない。


「クカッ!」


 物欲しそうに見つめると、クラリスはにっこり微笑んで俺の前に串焼き肉を差し出してくれた。


「はい、あーんだよダイナ」

「クケッ!」


 差し出された串焼き肉にかぶりつくと、途端に口の中が灼熱に包まれてしまう。


「カカカッ!?」


 熱っつう!! なんだこのくそ熱い肉はぁ!

 ……いや、今の俺が猫舌なだけか。

 だって人外だもの。


「はわわっ、もしかして熱かった!? ごめんねダイナ!」


 悶絶する俺を見てわたわたと取り乱したクラリスだけど、すぐに謝って今度は串焼き肉に息を吹きかけて冷ましてくれる。


「ふー、ふー。これでどうかなあ?」


 美少女エルフのふーふー、いただきましたあ!

 俺にはこれだけでご褒美ものだぜ!


 再び串焼き肉にかぶりついた俺は、熱さでハフハフとしながらもなんと肉を堪能できた。


 旨い、旨すぎる!! なんだこれは、今まで食ってきた生肉とはまるで別物だぜ!


「どう、美味しい?」

「クカッ」


 にっこりと笑みを浮かべるクラリスの問いに、俺はこくんとうなづく。


「まだまだお肉はたくさんあるからね~」

「クケケッ!」


 自分の食事もそこそこにクラリスは俺に次々と串焼き肉を差し出してくれた。


「これではまるで親鳥と雛だな」


 ふっと息を吐きつつアンナも、そんな俺とクラリスをそばで見守ってくれている。


 こうして可愛い女の子に飼われるのもいいもんだな。


 ひとしきり食べたら、なんだか意識がボンヤリとしてきた。


 あれ……?


「あれ、ダイナ?」

「もしかしたら眠くなったのでは?」


 クラリスとアンナに見つめられながら、俺はうとうとと目を閉じた……。



 ――俺がまだ人間だった頃の話。


 その頃の俺は陰気なオタクで、クラスメートに話しかけるなんて勇気もなかった。


 そんな俺にも一つだけ心の拠り所があった、ネット小説だ。


 スマホでアクセスするだけで、ネット小説は俺を夢の世界に連れていってくれる。


 そんな俺が特に気に入っていたのは、異世界転生モノだ。


 異世界に転生した主人公が、あるものは天から授けられたとてつもないチート能力で無双、またあるものでは元からの知識を活用して異世界で活躍していく。


 クラスに居場所がなかった俺にとっては、そんな主人公たちがとても眩しくて、特に何作かは書籍まで買って応援していた。


 だけどそれも長くは続かなかった。書籍になったばかりのお気に入り作品を買いに行こうとした俺は、不幸にも交通事故に遭ってしまったのだ。


 その時俺は藁にもすがる思いで願ったよ、異世界に転生できますように、と。


 ――どうやらその願いは叶ったようだ。


 ちび恐竜という人外としてではあるけど、俺は確かに異世界で転生した。

 しかもエルフの美少女二人に拾われもした。


 これはもう俺の夢といわずしてなんという!?


 ありがとうございます神様……。



 ゴソゴソとした物音で重たいまぶたを開けると、俺はいつの間にか質素なベッドの上にいた。


 あれ、ここは?

 なんか部屋の中にいるみたいだけど。


「あ、ダイナ。起こしちゃったかなあ?」


 すくっと立ち上がるとクラリスが声をかけてきた、お湯を張った大きなたらいの前で服を脱ぎながら。


「クカァ!?」


 思いもしなかったクラリスのあられもない姿に、俺はすっとんきょうな声をあげてしまう。


 ボディーラインに沿った白いコルセットのような下着の上からでもはち切れんばかりに存在感を主張する、豊満なバスト。


 ぷくっと膨れたお尻を包む、ふんわりとしたドロワーズ。


 クラリスの無垢な下着姿に、鼻の血圧が急上昇するのを感じた。


「どうしたのダイナ、顔が赤いよ~?」


 おもむろに俺の顔に手を伸ばすクラリス。


 やべえ、女子の下着姿なんて初めてで免疫がないぜ……!


「何をやっている、早くしないと湯が冷めるぞ」


 そんな俺に構うクラリスにアンナが呼びかける、あちらはもう全裸で。


 クラリスほどではないが、それでも形よく膨らんだバストに、その先端でツンと尖る桜色のつぼみ。

 それに腰から尻にかけてのラインが、いかにも曲線美って感じで思わず見とれてしまう。


 女子の全裸、まさかそんなものを拝めるなんて……!


「はーい」


 アンナに返事をすると、クラリスも下着を脱ぎ捨てる。


 シミ一つないみずみずしく白い素肌に、抱けたら気持ち良さそうな肉付きのいい肢体。

 たわわな果実を思わせる胸の膨らみで、ほんのりと色づく小さなつぼみ。

 そして脚と脚の間に広がるデルタ地帯には、まっすぐな一本筋が。


 のおおおおおお、マジで目の前に女子の裸がああああああ!!


「ク、クカァ……」


 頭の中が真っ白になって硬直してたら、クラリスが俺を抱き上げる。


「ダイナも一緒に入ろうね~」


 そうして俺は裸の美少女二人に身体を洗われることになった。


 お湯で濡らしたタオルでゴシゴシと身体を拭かれて、これがまた気持ちいい。


「どう、気持ちいい?」

「クカァ」


 ああ、全裸の美少女エルフに挟まれた上に身体まで洗ってもらえるなんてどんな天国だよ。

 俺って前世でそんなに徳を積んでたっけ……?


「クラリス、ダイナばかりでなく私の身体も拭いてくれないか」

「はいはい。ちょっと待ってて」


 続いてクラリスはアンナの色白な素肌を拭き始める。


「ああ、やはり仕事の後の湯浴みは気持ちがいいものだ」

「そうだね。わたしたち二人が一緒だからこんなに気持ちいいんだよ~」


 にこやかに笑ってお互いの身体を拭き合う二人を見て、俺はどこか尊いものを感じた。


 百合ものなんて興味の範囲外だったけど、これを見てるとその良さも分かる気がする。

 するとクラリスが俺を抱き上げた。


「ダイナってば本当に可愛いね~」


 聖母のような笑みを向けるクラリスの巨乳に、俺の顔が埋められる。


 こんなことが許されるのも人外転生の特権だよな……?


「ダイナばかりズルいぞ、私も入れろ!」


 するとアンナもクラリスに抱きついて、俺は二人のおっぱいで挟まれてしまう。


 アンナのおっぱいも張りがあって気持ちいいなあ。

 ってかおっぱいサンドイッチなんて、ネット小説でもなかなか見ないぞ!?


 あ、ヤバい。俺の股間が暴君になっちまう。

 こんな時に息子をおったてたら、純粋無垢な乙女たちをドン引きさせちまう!


 静まれ、暴君に変貌しつつある俺の息子よ……!


 二人の洗いっこに挟まれながら息子が暴君になるのをこらえる俺は、こうして異世界での長かった初日を終えることになったのであった。

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