セレスティアル・アーク
トラツグミが明人の前で跪く。
「明人様、ロシア区にホシヒメたちが到着したようです」
明人は頷く。
「ようやく役者が揃ったってことだな。準備は整った、最後の戦いを始めようじゃないか」
帝都アルメール 行政区・執務室
床に放置されたPDAが、突如として映像を再生する。その映像には、メルギウスとアルメールが映っていた。
「帝都竜神が私に何の用ですか」
メルギウスの態度に、アルメールが顔を綻ばせる。
「そうお堅くしなくてもいい。ほんのちょっとした提案だよ」
その言葉により表情を固くする。
「始祖凶竜を誑かしたあなたに呼ばれると言うだけでも我々凶竜としては警戒するものでね」
「まあそう言うな。これを見てくれ」
アルメールは小さなカプセルを取り出す。
「これはE-ウィルス。生体の生命力に呼び掛け、その真の力を引き出すものさ」
「それが何か」
「これは種の優位性が露骨に現れるものでね。凶竜の正しさを証明するにはぴったりだと思わないかい?」
「……」
「なるほど、それが答えか」
アルメールが手をあげると、メルギウスは巨大な布で胴体を封じられる。そして本棚の脇から少女が現れる。
「えへへ、役に立った?立ったよね?」
「もちろんだ、レベン。メルギウス、今から君にはパーシュパタの復活に尽力してもらう」
メルギウスは縛られたまま、抵抗しようといきりたつ。
「なんだと……何をする気だ!」
「そうだな、全部話してやろう。パーシュパタがなぜアルマと戦ったのか、それはな、パーシュパタ自体が俺と王龍が作った竜だからだよ」
「何……!?」
「封印のために作った大灯台も俺の手製だ。つまりは、君たち凶竜そのものが、俺たちの都合のままに動いているのさ」
「バカな……」
アルメールは立ち上がり、近寄る。
「お疲れ様、メルギウス」
そしてメルギウスの顔を掴むと、彼はそのまま意識を失う。
「あとは俺の好きなように動いてもらうとしよう、友よ」
そこで映像は途切れた。
―――……―――……―――
我が王よ。我らが……望むほどの……力は見られませんでしたが、無事に……計画は終了しました……。ええ、その他の報告はアルメールよりお受けください……私は虚空の森林にて待機します。ご武運を……我が王よ。