戦場に突然現れた光の中から、20名の精鋭が姿を現した。
統一された白銀の装備が、砂埃に覆われた戦場の中で異様な存在感を放っている。
俺は目の前に現れた彼らに腰を抜かしかけた。
「ヴァレンティナ・シュミット、現着。これより戦場を制圧する」
その先頭に立つのは、銀髪の女性。
一歩踏み出す彼女の目は鋭く、まるで全てを見透かしているかのようだった。
「ヴァレンティナ……シュミット……?」
三輪蓮が呟くと、
「ヴァレンティナって、あの世界ランク7位の……イニシエーターズか……!?」
隣にいた秋月一馬も驚きの声を上げた。
そして彼女の後方には、三人の女戦士が並んでいた。
「フレイヤ、サーラ、イーダ」
「はっ」
「命令だ。状況を好転させなさい」
「了解」
ヴァレンティナの命に、フレイヤ、サーラ、イーダと呼ばれた三名は、静かに頷く。
そんな彼女たちを見つけた緋野翠が、目を輝かせながら手を振る。
「あ! 戦乙女〈ヴァルキリー〉の三人! 久しぶり~!」
彼女の無邪気な声に、フレイヤとイーダはわずかに顔をしかめた。
「……また騒がしいのが来たな」
フレイヤが小さく呟き、イーダはそっと視線を逸らす。
だが、サーラだけは豪快に笑いながら手を振り返した。
「翠! 相変わらず元気そうだな!」
「えへへ~! もちろん!」
「翠、雑魚は任せておけ。でかいのは頼んだよ」
サーラが言うと、
「いいの~?」
翠は小首をかしげながらニヤリと笑う。
「ああ、相性ってもんがある。な、フレイヤ?」
サーラが尋ねると、フレイヤは「構わん」と短く答え、すぐに視線を前へ戻した。
「私たちが受けた命令は、状況を好転させろだ。達成できるならなんでもいい」
「さっすがフレイヤ。合理的で助かる――……ってなわけで、翠、いいってよー!」
サーラはまた緋野に手を振った。
「ふっふーん♪ じゃあ、あの毒々な神徒、もらっちゃうねー♪」
翠はガトリングを構え、ダグモに照準を合わせる。
「私を忘れんなっての!!」
雷燦華が燃え上がる炎の翼を広げ、翠の隣に並んだ。
「あらあらダグモ。モテモテじゃない」
「……嬉しくない」
「嘘言っちゃって。興奮して、汁が漏れてるわよ」
ダグモの服の裾から毒々しい汁が漏れていた。
「で、私の相手は――……」
特級神徒のひとり、セラフィナが城壁を見下ろす。
「私が相手をしよう」
すると、ヴァレンティナが静かに前へ進みでた。
「へえ……あなたじゃ相性悪いんじゃない?」
セラフィナは挑発的な笑みとともに、周囲に無数の剣を浮かべる。
「おまえごときに、相性など考える必要もない」
ヴァレンティナは剣を手に取り、わずかに口角を上げた。
「そう……言うわね」
鋭い視線が交差し、二人の間に緊張が走る。
「ちょっと待て、残る一体はどうする?」
俺が問いかけると、ヴァレンティナがちらりとこちらを振り返った。
「少し遅れているが、もっとすごいのが来る」
その言葉に、俺は眉をひそめる。「それは誰だ?」
ヴァレンティナは薄く微笑みながら静かに答えた。
「私の同期のイニシエーターズで――世界で一番、矢神を愛した男だ」