「翔! お前、本当に俺らのことが分からないのかよ!」
秋月一馬が拳を振り上げ、喉が裂けそうな声で叫ぶ。その言葉は戦場の喧騒を貫き、結城翔へと真っ直ぐ届いた――かのように思えた。
だが、翔は冷笑を浮かべ、軽蔑の色を浮かべた目で一馬を見下ろし、冷たく呟いた。
「何を分かれって? お前の負け犬みたいな遠吠えの意味が分からないな」
「お前……本当に、俺たちのことを覚えてないのか!?」
一馬は怒りと悲しみを滲ませながら叫ぶ。拳を握り締め、今にも翔へと殴りかかりそうだった。
「俺たちが一緒に過ごした時間を、お前が覚えてないなんて、そんなわけねえだろ!」
一馬の迫力に、周囲のプレイヤーたちが息を飲む。だが、翔は微動だにせず、肩をすくめるだけだった。
「さあな。この体の持ち主の過去なんて興味ない」
冷たい言葉が突き刺さる。
その瞬間、翔の銃口が一馬を正確に狙い、引き金が引かれる。
パンッ!
銃声が響く。一馬の肩に赤い閃光が走る。
「ぐっ……!」
銃弾が一馬の肩を貫き、彼の体が砂の上に崩れ落ちた。
「一馬!」
三輪蓮が叫び、駆け寄ろうとするが、翔はさらに銃を構え直し、冷淡な声で制した。
「次はお前か?」
その冷酷な一言に、蓮の動きが止まる。それでも蓮は睨むように翔を見つめた。
「……本当にお前なんだな、結城翔」
蓮の静かな声が、かえって痛切に響いた。
「なにが言いたいんだ?」
翔が眉をひそめ、銃を傾ける。
「お前さ、俺たちと一緒に、バカやってたじゃねえか……!」
蓮の声が震える。彼の瞳に映るのは、かつての結城翔との思い出。
「俺たちは、くだらないことで笑って、何もかも無駄にして、それでも……一緒だっただろ!」
「……なんの話だ?」
翔はあくまで冷たいままだった。
「俺たちのことは、どうでもいいってのか!」
蓮の声が悲しみに揺れる。その言葉にも、翔は冷笑を崩さない。
「どうでもいい……それが正解だな」
無機質な声が戦場の空気を切り裂いた。
「翔! お前、本当にそれでいいのか!」
蓮は叫びながらガン・ダガーを構える。だが、翔はあくまで冷酷で無感情だった。
「終わりにするぞ」
翔が再び銃を構えたその瞬間、蓮は覚悟を決めて前に出た。
カッ!
突然、戦場全体が眩い閃光に包まれる。
「……なに!?」
翔が動きを止め、視線を上げる。
目に映ったのは、夜空を切り裂くような光の筋――それはまるで流星のように、戦場へと降下してきていた。
「新しい敵か……?」
蓮が息を呑みながら呟く。しかし、違う。
その光が放つ気配は、神徒たちのものとは異なっていた。
ドゴォォォォン!!
轟音と共に砂塵が巻き上がり、戦場に大きな衝撃波が広がる。
「な、なんだ……!?」
一般プレイヤーたちが怯えたように後ずさる。
「援軍……なのか?」
俺はガン・ダガーを構えたまま、降り立った光の中の影を睨んだ。
疲弊する戦場――希望か、さらなる試練か
「……くそ、俺たち……もう持たねえぞ……」
どこからともなく、一般プレイヤーの疲れ切った声が聞こえる。
俺はハッとして周囲を見渡した。
満身創痍の仲間たちが、互いに支え合いながら、傷ついた体を引きずるように立っている。
「もう戦えないよ……こんなの、無理だ……」
膝をつき、動けなくなったプレイヤーもいた。
「ここまで戦ったのに、まだ終わらないのか……?」
誰かが呟く。その言葉が、戦場全体に広がる絶望感を象徴していた。
流星の希望――降り立つ存在
砂塵が晴れていくと、そこには数名の影が立っていた。
彼らは静かに戦場を見渡し、ゆっくりと前に進み出る。
その歩みには、確固たる意志と圧倒的な気配が宿っていた。
「……なんだ、あいつら……!」
俺は呟くように言いながら、ガン・ダガーを握る手に力を込めた。
戦場に新たな緊張が走る。