俺たちは、予想外の事態に直面していた。
目の前に立ちはだかる巨大な敵の威圧感は、そこら辺のモブエネミーとは比較にならない。
「なんでボスクラスが…こんな序盤に……」
「
俺の頭は混乱し、どう動けばいいのか浮かばない。
SENETの世界での経験が浅い俺にとって、この状況は完全に予想外だった。
「くそっ……どうすりゃいいんだ!」
焦りで思考が乱れる。
「きゃあ!」
その瞬間、美雪の悲鳴が聞こえた。
「美雪!」
俺は反射的に彼女の方へ向かおうとしたが、判断が遅かった。
化物が彼女に向かって突進している。
「間に合わない……!」
絶望感が俺を包み込む。
だが、その瞬間、凪が疾風のごとく動いた。
彼女は軽やかなリボン状の武器を繰り出し、敵の動きを瞬時に制御し、美雪を守った。
「美雪、下がって!」
凪のリボンはしなやかに敵を絡め取り、その場で動きを封じ込めた。
「賢くん、考えて動いてよ! 一人で勝てるゲームじゃないんだから!」
凪の怒鳴るような声が、俺の焦りを冷静に戻した。
そうだ、これはゲームと同じ。
感情に飲まれれば勝利は遠のく。
チーム全体を動かすためにも、俺が冷静でなければならない。
「そうだ、落ち着け……状況を把握して動くんだ!」
俺は深呼吸をし、両手に構えた武器「ガン・ダガー」を握りしめる。
「凪、美雪! 俺が囮になる。その隙に二人で畳み掛けてくれ!」
俺は指示を飛ばし、すぐに敵に向かって突進した。
「了解!」
凪が即座に応じ、美雪も「やってみます!」と声を震わせながらも答えた。
俺はガン・ダガーを使い、敵の攻撃をかわしながら、その注意を引きつける。
中距離では射撃で牽制し、接近戦では双剣を駆使して立ち回る。
美雪は鋭いレイピア型の武器で、一瞬の隙を突き、複数の敵を貫いていく。
その攻撃は的確で、彼女が少しずつ自信を取り戻しているのがわかる。
凪のリボンも敵の動きを巧みに制御し、連携がどんどん噛み合っていく。
俺たち三人は、互いに補い合いながら戦い、少しずつ優位に立っていく。
「今だ!」
俺が叫ぶと同時に、凪のリボンが敵の動きを封じ、美雪のレイピアが止めの一撃を繰り出す。
二人の力が合わさり、ついに敵の巨大な体が崩れ落ちた。
「やった……!」
俺は息を切らしながらも、達成感に包まれた。
「すごいじゃない、賢くん! あんな強敵にこんなに冷静に対応するなんて……」
凪が感心したように言った。
「いや、俺一人じゃ無理だった。二人がいてくれたから、こうやって戦えたんだよ」
俺は素直に答えた。
「チームプレイって、いいですね……!」
美雪がほっとした表情で、少し微笑みながら言った。