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2-6: Breaking Point (限界点)

俺たちは、予想外の事態に直面していた。


目の前に立ちはだかる巨大な敵の威圧感は、そこら辺のモブエネミーとは比較にならない。


「なんでボスクラスが…こんな序盤に……」


美雪みゆきが小さな声でつぶやき、怯えた様子を見せる。


けんくん、後ろ! こっちにも来てる!」


なぎの鋭い声が響く。振り返ると、さらに別の敵が迫っていた。


俺の頭は混乱し、どう動けばいいのか浮かばない。

SENETの世界での経験が浅い俺にとって、この状況は完全に予想外だった。


「くそっ……どうすりゃいいんだ!」


焦りで思考が乱れる。


「きゃあ!」


その瞬間、美雪の悲鳴が聞こえた。


「美雪!」


俺は反射的に彼女の方へ向かおうとしたが、判断が遅かった。

化物が彼女に向かって突進している。


「間に合わない……!」


絶望感が俺を包み込む。


だが、その瞬間、凪が疾風のごとく動いた。

彼女は軽やかなリボン状の武器を繰り出し、敵の動きを瞬時に制御し、美雪を守った。


「美雪、下がって!」


凪のリボンはしなやかに敵を絡め取り、その場で動きを封じ込めた。


「賢くん、考えて動いてよ! 一人で勝てるゲームじゃないんだから!」


凪の怒鳴るような声が、俺の焦りを冷静に戻した。

そうだ、これはゲームと同じ。

感情に飲まれれば勝利は遠のく。

チーム全体を動かすためにも、俺が冷静でなければならない。


「そうだ、落ち着け……状況を把握して動くんだ!」


俺は深呼吸をし、両手に構えた武器「ガン・ダガー」を握りしめる。


「凪、美雪! 俺が囮になる。その隙に二人で畳み掛けてくれ!」


俺は指示を飛ばし、すぐに敵に向かって突進した。


「了解!」


凪が即座に応じ、美雪も「やってみます!」と声を震わせながらも答えた。


俺はガン・ダガーを使い、敵の攻撃をかわしながら、その注意を引きつける。

中距離では射撃で牽制し、接近戦では双剣を駆使して立ち回る。


美雪は鋭いレイピア型の武器で、一瞬の隙を突き、複数の敵を貫いていく。

その攻撃は的確で、彼女が少しずつ自信を取り戻しているのがわかる。


凪のリボンも敵の動きを巧みに制御し、連携がどんどん噛み合っていく。

俺たち三人は、互いに補い合いながら戦い、少しずつ優位に立っていく。


「今だ!」


俺が叫ぶと同時に、凪のリボンが敵の動きを封じ、美雪のレイピアが止めの一撃を繰り出す。

二人の力が合わさり、ついに敵の巨大な体が崩れ落ちた。


「やった……!」


俺は息を切らしながらも、達成感に包まれた。


「すごいじゃない、賢くん! あんな強敵にこんなに冷静に対応するなんて……」


凪が感心したように言った。


「いや、俺一人じゃ無理だった。二人がいてくれたから、こうやって戦えたんだよ」


俺は素直に答えた。


「チームプレイって、いいですね……!」


美雪がほっとした表情で、少し微笑みながら言った。

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