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2-4: The Path to Strength (強さへの道)

黒磯風磨に勝利したことで、俺の存在は一気に注目を浴びた。


寮や校内では、「まさか風磨が負けるなんて」という囁き声が至るところから聞こえてくる。

正直なところ、そんな視線を浴びるのは心地よくない。

俺が戦う理由は注目されたいわけじゃない。

俺はただ、妹の葉奈を助けるためにここにいるんだ。


だが、次の日。

学校の食堂でランチを取っていると、近づいてきた二人組がいた。


「すごいじゃん! あいつに勝つなんて! ね、美雪!」

「ええ、私も驚きました。まさか、あの風磨くんに勝つなんて……!」


水上凪みなかみ なぎ遠野美雪とおの みゆき

二人は俺と同じクラスの、いわば同級生だ。


「いや、正直、かなりすっきりしたよ!」


水上凪が興奮気味に言う。

その表情は勝気で、まるで自分が勝ったかのように嬉しそうだ。


「凪ちゃん、風磨くんのこと苦手ですもんね」


遠野美雪は苦笑しながら、少しおっとりとした口調で俺に話しかける。


「苦手じゃない! 嫌いなの!」


と、水上凪は腕を組み、ぷいっと顔を背ける。


「いや、俺は別に……ただ必死だっただけだよ」


と、俺は少し照れくさそうに返すほかない。


「そう言うけどさ、あいつ、ピーターパン部隊を目指してるんだよ? そんなやつに勝つなんて、やっぱりすごいって!」


水上凪が腕を組みながら、勝気な目で俺を見つめる。


「ピーターパン部隊……?」


俺は、初めて聞くその名前に戸惑いを隠せなかった。


「えっ、知らないの? ピーターパン部隊って、SENETの中でも選りすぐりのプレイヤーが集まる精鋭部隊なのよ!」


水上凪が驚いた表情で続けた。


「ま、知らなくても無理ないか。転校してきたばっかだもんね」


「彼らは特別な訓練を受けていて、任務も通常のプレイヤーとは違うんです。とても優秀な人たちばかりですから、憧れる人も多いんですよ」


とm遠野美雪がにこやかに説明してくれた。


「……ふーん、そんなのがあるのか」


俺は曖昧に返した。


「まあ、賢くんならいつかピーターパン部隊にだって行けるかもね!」


水上凪がふっと笑ってから、冗談半分にそう言ってきた。


「私も、賢くんには可能性を感じます!」


遠野美雪は、どこか本気でそう言っているようだった。


俺は二人の様子に少し照れながらも、この学校での生活が少しずつ形を成してきているのを感じていた。


しかし、その矢先に学校内に大きな警報音が鳴り響く。


「何だ……?」


「これは……」

遠野美雪が一瞬戸惑うような表情を見せた。

が、すぐに真剣な顔つきになり、俺に向き直る。


「賢くん、急いでください! ゲームが……SENETが始まります!」


「SENETが……?!」


俺は状況が飲み込めないまま、反射的に駆け出していた。


「ちょっと、待ってよ!」


水上凪の声が後ろから聞こえてくるが、俺は止まらなかった。


「葉奈……!」


妹の顔が浮かび、俺の足はさらに速くなる。

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