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2-3: Trial by Combat (戦いの試練)

「先にゲートをくぐった方の勝ちだ」


黒磯風磨くろいそふうまとの対決が始まった。


俺たちは訓練用のSENETを通じて戦闘フィールドに降り立った。

静かな緊張が辺りを包む。

俺は両手に握ったガン・ダガーを構え、風磨に向かい合った。


一方、風磨は巨大な両手剣を肩に担ぎ、その重量をものともせずに立っている。


「今頃、観戦ブースには野次馬が集ってるぜ」


黒磯が挑発的な笑みを浮かべた。


俺は、手に汗を握りながら頷く。


大丈夫。ゲームに関していえば、修羅場はいくらでもくぐってきた。


「まあ、すぐ終わらせてやるよ」


黒磯が冷たく言い放つ。


自分に言い聞かせる。

ここでの勝敗は俺には関係ない。

俺がここにいる理由はただ一つ、妹の葉奈はなを救うためだ。

それ以外のことは、どうでもいい。


「黒磯、俺の経験値になってもらうぜ」


その言葉に、黒磯が一瞬驚いたような表情を見せた。

が、すぐに不敵な笑みを浮かべる。


「はっ! 抜かせ!」


黒磯が一気に距離を詰めてきた。

その動きは驚くほど速い。

彼の重厚な両手剣が、信じられない速さで振り下ろされ、俺のガン・ダガーを砕こうとする。


俺は何とか双剣モードで防御したが、その衝撃が全身に走り、体が揺れる。


「ぐっ……!」


「おいおい!なんだそのビビリ方は! 俺ぁ赤ちゃんを相手にしてんのか!」


黒磯が嘲笑するように叫ぶ。


「これが本番なら、もう死んでるぞ! 転校生ッ!!」


黒磯の猛攻に俺は必死に耐えるが、そのスピードと破壊力に翻弄され続ける。


「くそっ……」


次々と繰り出される正確な攻撃に、俺はただ受け身に回るしかない。

黒磯の両手剣が俺の腹部に深々とめり込み、俺の体は吹き飛んで地面に叩きつけられる。

息が詰まり、視界がぼやけたが、それでも立ち上がろうと足に力を入れる。


「まだ立つのか? そろそろねんねの時間じゃねえのか⁉」


黒磯が冷たく言い放つ。


「……諦めるわけにはいかないんだ」


俺は歯を食いしばり、再び立ち上がる。

gray_sageとして戦ってきたゲームの世界が頭に浮かぶ。

今も同じだ。

相手の動きを読み、次の手を考え、最善の一手を打つ。

それはここでも――SENETでも通用するはずだ。


「終わりだ! 子守唄代わりに、受け取れよッ!」


黒磯の両手剣が再び迫る。

だが、俺は冷静に彼の動きを観察する。次の攻撃は見極めた……!


「ここだ……!」


俺は黒磯の攻撃をかわし、ガン・ダガーの双剣モードでカウンターを放つ。

黒磯の顔が一瞬驚きに変わる。

その隙に、俺の一撃が彼の腹に命中した。


だが黒磯は簡単には倒れない。


「はっ! ずいぶんと寝つきが悪ぃじゃねえか……‼」


黒磯が息を整えながら呟く。

しかし、俺も負けるわけにはいかない。

黒磯のリズムはつかんできた。

俺は、次の一手で勝負を決めることを心に決めた。


「これで終わりだ!」


俺は全力で黒磯に向かって突撃する。

ガン・ダガーを拳銃モードに切り替え、黒磯の両手剣の攻撃を巧みにかわしながら、決定的な一撃を放つ。


黒磯の体がぐらりと崩れ、その場に倒れ込む。


「待て……まだ勝負は……」


「待たないさ」


俺は息を整えて言った。


「勝利条件は、ゲートをくぐることだろ?」


俺はゲートに向かって駆け出した。


勝負は、俺の勝ちだった。

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