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2-2: Newcomer's Impact (新参者の衝撃)

編入試験は、訓練用のSENETで行われた。


どうやら、この学校は本格的にプレイヤーの養成に特化しているようだ。


SENETでは、個人の専用の武器と、フィールドで拾える武器を駆使して戦うことになる。


専用の武器は意志の力で動き、特殊な能力を使える。

だが、砕かれたらそのゲーム中は使えなくなる。


俺の武器はガン・ダガー。

拳銃と双剣が融合した、ユニークな武器だ。

中距離の射撃攻撃と、近接戦の双剣を自在に切り替えられるのが特徴で、この戦闘スタイルは俺の得意とするところだ。

状況に応じて柔軟に戦う、それが俺の強みだ。


どうやら、個人資質や性格から専用武器は生成されるらしい。


一度ゲームが始まれば、クリアするか、ゲーム内で死亡するまでログアウトは不可能。そういう厳しい条件の中での戦いになる。


「まあ、変わったゲームではあるな」


肝心の試験は、驚くほど順調に進んだ。


射撃訓練では、的を一発で仕留め、全弾命中。

訓練官の驚いた顔が、頭に焼き付いている。

障害物レースでも、歴代の最高記録に近い速さで駆け抜け、気がつけばゴールしていた。

試験中、俺は体が自然と動き、頭が先に勝手に次の手を考えていた。


「……俺、結構やれるじゃん」


実際に自分の成績を見ると、トップクラスだ。周りの生徒たちが驚いた表情で俺を見ているのが分かる。


「おい、あいつが例の転校生か?」


「すごい成績だったらしいぞ。BOT相手とはいえ、あそこまで圧倒するとはな」


「ひょっとして、ピーターパン部隊狙ってるんじゃねぇか?」


背中に突き刺さるような視線と囁き声。

どうやら俺の成績は、すでに噂になっているらしい。

昨日転校してきたばかりなのに、もう注目されるとは思ってもいなかった。


そして、視線が集まる中、廊下を歩くのが少し辛くなってきた。


「おい、転校生」


その時、不意に前から声がかかった。


「お前、なんかすごい成績らしいじゃねぇか」


振り返ると、昨日肩がぶつかったあの少年がいた。

鋭い目つきで俺を睨んでくる。

俺が軽く流そうとすると、周りの生徒たちがざわざわと動き出した。


「うわ、黒磯だ……!」


「見ろよ、風磨が転校生に絡んでるぞ……」


黒磯風磨くろいそ ふうま――どうやら、この学校では相当な有名人らしい。

不機嫌そうな顔で、俺を上から見下ろしている。

その圧倒的な威圧感に、俺は少し身構えた。


「編入試験、大した成績だったらしいな。でも、SENETはそんなに甘くねぇぞ」


黒磯風磨は挑発的に言い放ち、俺の前に立ちはだかる。

その場の空気がピリつき、周りの生徒たちが興味津々で注目しているのが感じ取れる。


「おい、無視してんじゃねぇよ」


「ナンパならお断りだ」


俺は冷静に返したつもりだったが、風磨の癪に障ったらしい。


「お前、転校してきたばかりで俺たちを舐めてんのか? BOT相手にいい成績出したからって、勘違いしてんじゃねぇぞ」


風磨の挑発に、俺の胸中で何かが燃え上がった。

挑まれて逃げるようなタマじゃない。


「……分かった。やるよ」


俺は静かに答えた。


風磨の口元に、ニヤリと笑みが浮かぶ。


「そうこなくちゃな。今すぐやろうぜ」


風磨が低く呟いた。「後悔すんなよ」


俺はその言葉を無視し、ただ自分の中で決意を固めた。この勝負で負けても構わない。俺が本当に守りたいのは、プライドなんかじゃない。――SENETの世界に囚われた葉奈はなの命だ。


そのためなら、いくらでも場数を踏んでやる。腕を磨くために、どんな挑戦も受ける。


「やってやるよ」


俺は覚悟を決めた。

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