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1-2: A Desperate Decision(絶望の決断)

目の前に倒れている少女――名前すら知らないが、彼女は深い傷を負い、今にも消え入りそうなほど弱っている。


息は浅く、何かを言おうとしているが、その声は届かない。


ここがどこなのか、何が起こっているのか、まったく理解できない。


「ここは……どこなんだ……?」


頭が混乱している。俺はただのゲーマーだった。


学校に通い、妹の葉奈はなと一緒にゲームを楽しむ、それが日常だった。


なのに今、俺はなぜこんな戦場にいるんだ?


周りの状況はゲームそのものだが、彼女が感じている痛みは現実だ。


遠くで爆発音が響き、地面が揺れる。


怪物たちが蠢きながらこちらに向かってくる。


その無言の恐怖が全身を襲う。


「くそ……どうすればいいんだ……!」


逃げたい気持ちはあるが、彼女を見捨てるわけにはいかない。


無力感に押しつぶされそうになり、足が動かない。


だが、自分だけ助かる選択肢は、どうしても選べない。


その時、視界の端に銃が転がっているのが見えた。


「……これだ!」


俺はゲームで何度もこの瞬間を経験してきた。

銃を手にし、ランカーになった記憶が頭をよぎる。


これはゲームじゃない――現実だ。

でも、今俺が頼れるのは、ゲームで磨いた技術しかない。


「やるしかない……!」


銃を手に取ると、体が自然に動いた。


ピークして敵の動きを確認。

クロスヘア《十字照準》を置く位置を瞬時に計算する。


震える手で引き金を引くと、銃声が響き、一体の怪物が吹き飛んだ。


「……当たった!」


驚きとともに、現実での命中感覚が確信に変わった。


ゲームで培った技術が、この現実でも通用する。


俺の中で何かが弾けた。


「これなら……やれるかもしれない……!」


俺は再び銃を構え、次々と現れる怪物に弾丸を撃ち込んでいく。


培った技術のおかげで、恐怖は次第に冷静さへと変わり、俺の手は自然に動き出す。


「くそっ! あと何体だ!」


次々と怪物が倒れ、俺の意識は次第にクリアになっていく。


手に伝わる銃の感触は、もうゲームのそれと何も変わらない。


俺は少女を守りながら、次の動きを冷静に考える。


「絶対に……生きて帰るぞ……葉奈はなのもとに……」


この異世界が何なのか、まだわからない。


しかし、今やるべきことははっきりしている。


目の前で傷ついている彼女を守り抜き、家に帰る。


それが俺の使命だ。


「覚悟を決めるんだ、灰島賢……ッ!」


俺はもう一度銃を構え、次の敵に立ち向かった。

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