本日。とあるホテルで、生き物たちの婚活パーティーが開かれていた。そして、そこへやってきたのは、一匹のカタツムリだった。しかし、そのカタツムリは今日の朝、目が覚めると背中の殻がなくなっていたのだった。つるんとした背中。そんな状態で、受付にやってきた。
「お名前は?」
受付の黒ヒョウが言った。
「カタノツムオです」
カタツムリは、答えた。
「種別は?」
カタツムリは、正直にこう言った。
「カタツムリです」
しかし、受付の黒ヒョウは戸惑っていた。
「カタツムリ、、?」
「はい」
「ナメクジ、ですよね?」
「いや、カタツムリです、、」
「殻はどこへ?」
「朝起きると、なくなってました」
「そうですか、、お気の毒に、、」
そして、黒ヒョウは言った。
「こちら、名札です。是非、いいお相手を見つけてくださいね」
ツムオは、名札を首からかけ、会場へ入った。会場へ入ると、様々な生き物がいた。そして、司会のカラスが話し始めた。
「それでは、男性陣はそちらに並べられている椅子にお座りください。女性陣は、順番に5分ずつ男性と話をしていただきます。そして、最終的に気に入った相手に投票していただきます。今回は、男性5人女性5人なので、合計25分です。それでは、スタート!」
すると、ツムオの前にバッタがやってきた。
「こんにちは」
ツムオは挨拶をした。
「こんにちは」
バッタもそう返した。
「お綺麗ですね」
ツムオは、そう言った。すると、バッタはこう返した。
「ありがとうございます。ナメクジさん」
ツムオは、少し悲しそうにこう言った。
「いえ、カタツムリなんです、、」
すると、バッタは言った。
「そうなんですか! 大変失礼しました!」
続けてバッタはこう聞いた。
「殻はどこへ?」
「朝起きるとなくなってまして、、」
ツムオはそう言った。そして、ツムオはバッタに言った。
「あなたは、ショウリョウバッタですよね?」
すると、バッタは言った。
「失礼ね! 違うわよ!」
「え?」
「私は、ショウリョウバッタモドキよ!」
「分かるかあ!」
そんな会話をし、5分が経った。
次にやってきたのは、アナグマだった。
(やばい、、カタツムリの天敵だ、、)
「こ、こんにちは」
ツムオは、怯えながら言った。
「こんにちは」
そして、ツムオは聞いた。
「僕のこと美味しそうだとか、思ってませんよね、、?」
すると、アナグマは言った。
「え? そりゃそうでしょ! 私、ナメクジは食べませんよ」
ツムオは、悲しそうにこう言った。
「カタツムリなんです、、」
「えー!?」
アナグマは、驚いた。
「食べますか?」
ツムオはそう聞いた。
「いえ、結構です、、」
そんな感じで5分が経った。
次にやってきたのは、カメムシだった。
「こんにちは」
ツムオは挨拶をした。
「こんにちは」
カメムシもそう返した。すると、カメムシが言った。
「私、あまりモテなくて、、」
自信のなさそうな態度に、ツムオは少し応援したくなった。すると、カメムシが言った。
「多分、背中のホクロが原因だと思うの」
しかし、ツムオは思った。
(臭いじゃないかな、、)
そして、カメムシが言った。
「ナメクジさんは、モテますか?」
しかし、ツムオは言った。
「カタツムリです!」
そして、5分が経った。
次にやってきたのは、オウムだった。
「こんにちは」
ツムオは挨拶をした。
「コンニチハ!」
オウムはそう言った。
「お名前は?」
ツムオは聞いた。
「ボク、ピーちゃん!」
オウムはそう言った。
「第一印象はどうですか?」
ツムオが聞くと、オウムは言った。
「エサ、チョーダイ!」
「いや、第一印象は、、?」
しかし、オウムは言った。
「ピーちゃん! クッサーイ!」
ツムオは、会話を諦めた。
そして、5分が経った。
次にやってきたのは、ナメクジだった。
「こんにちは」
ツムオはそう言った。
「こんにちは」
ナメクジもそう返した。すると、ナメクジが言った。
「同じ種類だから気が合いそうですね」
しかし、ツムオは言った。
「いや、実は僕ナメクジじゃないんです、、」
「え?」
ナメクジは、驚いていた。
「今日朝起きたら殻がなくなってて、、」
「カタツムリなんですか?」
「そうなんです、、」
すると、ナメクジが言った。
「でも、私今のあなた凄くタイプよ」
「え?」
そして、ナメクジは言った。
「もし良かったら、私に投票してくれないかしら?」
「ほんとに、、?」
ツムオは、信じられなかった。しかし、ナメクジは言った。
「あなたは私のことどう思う?」
「凄く綺麗だと思います、、」
ツムオは正直にそう答えた。
「じゃあ、決まりね」
こうして、お互いに好意を寄せた2人は、数年後、結婚生活を送っていた。
「あー、気持ちよかったー」
ツムオは、お風呂から上がりリビングへ向かった。すると、妻のナメクジが言った。
「あなたちょっと太ったんじゃない?」
「そうかなあ」
「最近手伝いもしてくれないし、怠けてるんじゃない?」
すると、インターホンが鳴った。
「はーい」
妻が玄関へ向かった。そして、戻ってきた妻は、背中に大きな殻を携えていた。
「あなた、これ、、」
「え?」
それは、ツムオのなくした殻だった。
「見つかったみたい」
「そうか」
「久しぶりにつけてみたら?」
「そうだな」
ツムオは、殻を背負ってみた。
「あれ? 入らない、、」
「ほんと?」
「やっぱり、太ったからだ」
すると、妻のナメクジは言った。
「そっか、、でも、どうしてそんなに太っちゃったの?」
すると、ツムオは妻にこう言った。
「幸せ太りだよ」
しかし、その言葉を聞き妻は言った。
「幸せなのは、あなただけよ」