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第59話 有名レストラン

女は人気の映画を一人で観に行ったときに、同じく一人で来た男と話が盛り上がった。

何度か、一緒に出掛けるようになった頃、二人は付き合うようになる。


男は実業家で、なかなか会えなかったが、いつもデートの時は高級な場所に連れて行ってくれるので女は満足していた。


あるとき、男が女にあるレストランに誘ってきた。

それはエンゲージレストランと噂されていて、一緒に行けば二人は結ばれるのだという。

噂を聞いて、ずっと興味を持っていたと男が話す。

だから、初めては君と行きたいと言われた女は、OKと即決した。


そして、次のデートの日。

男と一緒に女はそのレストランへ行った。

女は高級レストランに若干、緊張していたがそれを悟られないように平静を装う。


席に着くと、男はウェイターにコースを注文する。

ウェイターは間もなく、二人の前のグラスに白ワインを注ぐ。

二人は軽く乾杯して、グラスのワインを飲み干した。


そのワインで酔ったのか、女は緊張がほどよく解れ、料理を楽しむ。

その料理が美味しいのもあり、女のワインも進んだ。


すると女がふと、こんなことを言った。


「どうして白ワインなのかしら? 周りは赤ワインみたいだけど」

「僕は赤よりも白が好きなんだよ。でも、確かにこの料理には赤が合いそうだ」


男はそういうとウェイターを呼び、女の方にと赤ワインを注文した。

女はそんな男の気配りと、高級レストランにすっかり気を良くする。


そして、女は最高のひと時を過ごした。


終わり。














■解説

男はこのレストランに初めて来たはずなのに、ウェイターが男が「白ワインの方が好き」と知っている。

(コースを頼んだ後に、何も言わずに白ワインを持ってきたことから)

ということは、男はこのレストランは初めてではなく、常連。

つまり、男は何股もかけていて、色々な女性をこのレストランに連れてきている可能性が高い。

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