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第36話 リラックスタイム

社会人になって、ようやくの一人暮らし。


夜も遊び放題だし、休みだってダラダラと寝られる。


本当に自由な生活……だと思ってたけど、現実は違うね。




確かに自由は自由だけど、大変なことが多い。


ご飯を作ったり、洗濯したり、掃除したりを、当たり前だけど自分でやらないといけない。


しかも、仕事が忙しくて、寝て起きて会社に行くの繰り返しの毎日は、自由よりも大変な部分の方が重くのしかかってくる。




お母さん、ホント、いつも大変だったんだなぁ。


ありがとう。




とはいえ、弱音を吐いて実家に帰るわけにもいかない。


ここは頑張りどころ。




ということで、今のところ、唯一の楽しみがお風呂である。


音楽やユーチューブをかけながら、ゆっくりとお風呂に入る。


実家でやると怒られるところだけど、ここが唯一、一人暮らしのいいところだ。




今日も残業で遅くなって、疲れた体をお風呂で癒す。


疲れているから、今日は落ち着いた、ゆっくりとした曲を流しながら、温めのお風呂でゆったり気分。




あー、すごい、いい気持ち。


極楽極楽……。






目を開けると、そこは、なんと病院だった。


慌てる私に、看護師さんが事情を話してくれる。




病院に通報があったそうだ。


お風呂で眠ってしまって、溺れている子がいる、と。




すぐの通報だったから、命に別状はなかったが、あと、10分遅れてたら死んでいたかもしれなかったそうだ。




……一人暮らしは、やっぱり怖いね。


終わり。














■解説

語り部の女の子は一人暮らしである。


さらに、何かの病気だということも考えられるのに、なぜ、「眠ってしまった」と、通報者は「知って」いたのか。


また、なぜ、「すぐに通報」できたのか。


それは、通報者は語り部の女の子のことをずっと見ていたことになる。


つまり、通報者は覗きをしていたということになる。

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