俺の趣味は読書だ。暇な時は読書で時間を潰して_
などの甘美なモノではなくホンモノの人間だ。
キッカケは友達で作家になった情報を知ったこと。
そのことで作家…改め本に興味を持った。
それから色々なことに使っていた端金を本だけに費やした。
それまでしていた課金も無駄な菓子代も辞めた。
最初は我慢するのも辛かったがそうして浮いた金で買った本は
非常に愛着が湧くものだった。そんなことだから3周以上し
文章内に残された伏線も考察し今後の展開も予想した。
この話はあぁだこうだと色々な感想を呟くこともあった。
そして、それだけでなく投稿サイトにもハマった。
才能がないから投稿することはなかったが読むだけで満喫出来た。
感想を送った相手から返信が来る時は凄く嬉しかったし
応援している作家さんが最新話を更新する度に嬉しくなった。
そんな生活を過ごしていたことで俺は「スキル」を手に入れた。
と言っても名前だけで日常生活で寧ろ邪魔になるものだった。
それを言うなら手に入れた。ではなく手に入れてしまっただろうか。
それは「今後の展開を先読み出来る」と言うもの。
全くの意味のないスキルだが簡単に説明するなら
「恋愛の大事な場面で今後、どう動いて行くんだろう?」
と普通の読者なら期待に胸を膨らませる話の展開を
「あ、こういう展開ってことはこんな感じに進んで行くんだな」
と読めるようになってしまったのだ。差し詰め、醍醐味を奪われた。
醍醐味、なんてものじゃない。小説好きになってしまったのだから
それは趣味を否定されたものだ。こんな理不尽なことがあるだろうか?
まるで狂ったようにその趣味に縛られた所為で_。
この物語はそんなスキルを持って