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第74話 ころちゃん視点 宰相の息子の手紙を持って国王のところに走ったら騎士団長に捕まってしまいました

サーヤは悲鳴を上げて泡を吹いて倒れた。


ガマ君はその声にびっくりしたのか、口に咥えていた手紙を思わず落としてしまったみたいだ。


「なんだこれは?」


「カーラ様へのお手紙だぞ」

騎士達は宛名を見て慌て出した。

慌てて騎士達が手紙を取り上げてくれた。こんな怪しい手紙は直ちに誰か身分の高いものがこの手紙を検めてくれるだろう。それを見ればベンヤミンが書いた手紙だと判るはずだ。

すぐに何らかの手がうたれるだろう。俺はほっと安心した。


「おい、これを持って来たガマガエルはどこに行った?」

「そういえば、いないぞ」

騎士達が慌てて探し出す。


「それよりもカーラ様とサーヤ様の介抱を早くしろ」

騎士や侍女達がカーラとサーヤの介抱を始める。

俺はその隙に逃げ出した。

宰相の反乱がいつ起こるか判らない危急の時、俺はカーラに抱きつかれる訳にいかなかったのだ。


俺は屋根裏になんとか上がると、精力的に情報を集めることにしたのだ。


まず、カーラの部屋に行った。

カーラはベッドに運び込まれて気絶したままだった。

何故、さっさと起こして手紙を読ませないんだ?

俺は王国の対応の遅さに驚いた。

というか、ガマガエルなんかに手紙を運ばせたベンヤミンが悪いのだが……。


そうか手紙は既に国王か誰か身分の高いものに届けられているんだろうか?


それなら良いのだが……俺は周りを見渡した。


あった!

わざわざガマ君が持って来た手紙は机の上に無造作に置かれていたのだ。


何故すぐ見ないんだ? 

周りの侍女が中身を確認すれば良いだけだと思った時に、サーヤがガマ君に気絶させられたのを思い出した。カーラの侍女はもうメイドのフェナしかいなかった。なんとも間の悪いことだ。


騎士達が確認すれば良いのにとも思った。あの手紙を見さえすれば、王国が危機的な状況だと判るはずなのに……何をしているんだ?


俺が手紙を書いても良いが、時間は切迫しているのだ。

一刻も早く手を打たないといけない。


せっかく宰相の息子のベンヤミンの密告書類があるのだ。

これを有効活用するしかないだろう。


俺がカーラに抱きしめられても人間化出来るならばこのままカーラを起こして中身を読ませれば良かったのだが、カーラが喜んで俺を抱きしめなどしたら、3日くらい人間に戻れなくなってしまう。そうしたら宰相が攻め込んできた時に俺は剣士として戦えない。

残りわずかなのだ。そんなリスクはおかしたくなかった。


俺は思いっきってその手紙を国王、ないし、その側近に届けることにしたのだ。


下にはフェナが詰めていたが、フェナ一人ならなんとかなるだろう。


俺は屋根裏の隙間から一気にカーラのベッドに飛び降りたのだ。


うまく着地した。


「えっ、ころちゃん!」

フェナが俺を見つけて驚きの声を上げた。


俺はそれに構わず、一気に机の上のベンヤミンの書いた手紙のところに行くと口にくわえたのだ。


「ちょっと、ころちゃん、それはカーラ様の手紙よ」

フェナが俺に向かって伸ばした手をかいくぐって俺は扉に向かったのだ。


「誰か、ころちゃんを捕まえて」

「どうした?」

フェナの悲鳴を聞いたのだろう。扉が開いてレイが入ってきた。


俺はレイの股の間を一気に駆け抜けたのだ。


「ころちゃんがカーラ様宛の手紙を咥えて逃げ出したのよ」

フェナの悲鳴が聞こえる。

俺は止まることなく、国王の部屋に向かって走ったのだ。


「待てえーーーー」

騎士達が俺を追い出した時は俺は大分先を走っていた。


「どうした?」

「カーラ様の犬を捕まえろ。カーラ様への手紙を持っているぞ」

レイの声に騎士達がわらわらと現れたのだ。


目の前に現れた騎士を躱す。

本当に人間だったら、こんなことせずにそのまま話すことも出来たし、獣化する動物がクマとか虎なら相手を威圧することも出来たのに!

何故いつも追いかけっこしなければいけないのだ?

本当に俺は獣人としてつくづく出来ない奴だと思い知らされた。


でも、今は走るしかない。

俺は騎士達に飛びかかられたが、ステップを躱して避ける。

騎士達が何人も転けてくれる。

人間から逃げるのは大分うまくなってきた。


でも、それが油断につながつたみたいだ。


俺は横から現れたがっちりした手から逃げ切れなかったのだ。


「よし、捕まえぞ」

男が叫び声を上げてくれた。

最悪だ。こんなところで捕まるなんて……あと少しで国王の部屋だったのに!


俺は叫びたくなった。


でも、その男を見ると相手は騎士団長だった。


俺は丁度良かったと騎士団長の目の前にカーラへの手紙を突きつけたのだ。


「なんだ? この手紙は?」

「騎士団長。その手紙はカーラ様への手紙です」

慌てて追いついてきたレイが教えていた。


「なんだ。カーラ様への手紙か」

レイが俺から手紙を取り上げようとした。


「うーーーー」

俺はうなり声を上げて、それを騎士団長の顔の前に突き出したのだ。


「なんだ? 俺は人様の手紙を読む趣味はないぞ」

そう言う騎士団長に俺は再度手紙を突き出す。


「俺が読んだ方が良いのか」

「わん!」

俺は騎士団長に吠えたのだ。


当然手紙が落ちるが騎士団長は俺を捕まえておくようにレイに言うと手紙を拾って開けてくれたのだ。


「なんだ。これは?」

騎士団長は手紙を読んで、レイに聞いていた。


「おおきなガマガエルが持つてきたのです」

レイが報告する。


「ガマガエルがこれを持つてきたというのか?」

騎士団長は考えるように俺を見た。


「わんわん!」

俺はさっさと行動しろと騎士団長に吠えたのだ。


「取りあえず、この手紙は陛下にお見せする。貴様はこの犬を連れて陛下のところに来い」

慌てて騎士団長は国王陛下の部屋に向かってくれたのだ。


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