「ごがああああ!」
レオンは残り2本の
「内蔵、ぶちまけろッス!」
レオンは思わず「チッ!」と盛大に舌打ちする。突き刺すことに特化させている
「ぐるるるる……」
醜い姿となりながらも鼻息を荒くしてレオンを太い足で踏み砕こうとした。レオンは素早く
さらにはその木を蹴り飛ばし、別の燃え残った真っ黒な木へと飛び移る。
「しつこいッスね……」
眼下には
その時であった。ドッスンドッスンと焼け焦げた大地を踏み固める音が聞こえてきたのは。
「ん? おれっちの加勢にきてくれたッスか?」
レオンと
「ぐるるるる」
焼け焦げた木に逃げた男よりも、真っ黒なゴーレムの方に注視せざるをなくなる。
「やっべーッスわ……」
木の上でその光景を見ていたレオンは言葉にならなかった。地獄のような光景をただただ顔を引きつらせながら見ていることしかできなかった。
10体以上の
都市ひとつ灰にしてしまいそうな猛炎にあぶられたゴーレムがまったく動けなくなっていた。
炎の勢いに押され、さすがのゴーレムもあとずさりしてしまう。体内にしまい込まれている
「ゴーレム、がんばるッス!」
ゴーレムの両腕から滝汗のように黒い液体が流れだす。みるみるうちにゴーレムの腕がやせ細っていく。
ついにはゴーレムの両腕の腕先が完全に炎で溶かされてしまった。炎は勢いを止めずにゴーレムの身体を覆いつくした。
ゴーレムは土で出来ているというのに、その土が溶けたのだ。
それを木にしがみつきながら見ていたレオンは思わず、ゴクリと喉を鳴らしてしまう。もし、ゴーレムがここにやってきてなかったら、自分はあのゴーレムのように溶かされてしまっていたと戦慄してしまう。
(ゴーレムさまさまッスわ。しかし、どうしたもんッスか……)
レオンは木の上から見下ろした。眼下には、ゴーレムに群がる合成獣たちが火を吐き続ける。レオンが下手に木から動けば、彼らの次の標的になるのは明らかだった。
ゴーレムの身体のあちこちから黒い液体が零れ落ちていく。ゴーレムは身をかがめる。なんとかして
だが、その抵抗もむなしいと言わんばかりに
「脳みそが3つあるくせにクロードよりもアホでッチュウ」
黒いゴーレムのとある一点に白い何かが見え始めていた。ゴーレムの体内に隠れていた者の姿が暴かれようとしていた。
そいつは白い大ネズミであった。コッシロー・ネヅである。彼の身体がゴーレムから剥き出しになった途端、彼の身体は紫色の球体に包み込まれる。
「オレ。ゴシュジンサマ。守ル」
それはゴーレムに刻み込まれた絶対的な命令が発動したからだ。「自身を操る
「おうおう。かわいいやつッチュウ。その身を挺して
コッシローは暗に誰かを示す言葉を吐いていた。もちろん、あのドアホのクロードのことである。コッシローはよーしよしとゴーレムの
「オレ。ウレシイ。ゴシュジンサマ。守レテル」
黒いゴーレムは顔まで溶け始めていたが、その表情は安らかであった。
ついに黒いゴーレムが完全に溶けてしまった。しかし、彼の
コッシローはよくやったとばかりに優しくゴーレムの
「可愛いやつめ。あとで復活させてやるッチュウ。さてと……」
コッシローは菩薩のような笑みを浮かべたあと、
「ぐるるるるる……」
じりじりと
「ごばあああああ!」
まずは山羊の口から酸を吐く。大地が腐る。さらには腐臭が漂う。木の上にいた男はどこかへと立ち去っていた。
それもそうだろう。まともにこの腐臭を肺に吸いこめば、身体が痺れ、肺から腐っていってしまうからだ。
「ぐふぐふ」
この地を腐らせながら腐臭の波が白い大ネズミへと忍び寄っていく。腐臭が白い大ネズミを守っている紫の球体に浸透していく。
しかしながら白い大ネズミは、ふんっと大きく鼻息を鳴らしてみせた。その途端に腐臭はとある一点へと吸い込まれていく。
まるでそこに虚無の穴があるが如くだ。勢いよくその一点へと吸い込まれてしまった。
「
白い大ネズミは前足で水晶玉をかざしていた。その水晶玉の中を赤い
赤い
「おまえたちの創造主の力は素晴らしいッチュウ」
白い大ネズミは恍惚といった表情となっていた。
「ふーふーふー」
こいつは危険だという表情になっていく
いくらその身体に3つの脳みそを持っていようが、所詮、獣である。最後は物理的な力で不気味な白い大ネズミを喰らってしまえばいいと考えた。
「がおおおおおおおん!」
一斉に吼えた。そして、勢いよく白い大ネズミに向かって一直線に走り出す。
「脳みそが足りないやつの最後の手段は力づく。本当にバカでッチュウ」
白い大ネズミはそう言いながら、ふところに水晶玉をしまう。そうした後、前足でゴーレムの
「ゴーレムの
その途端、この地を大地震が襲った。
亀裂のひとつひとつが
そして、またしても大地が震える。今度はその亀裂が閉じ始めた。
「ぐぎゃああああああ!」
だが、大地に空いた口はゆっくりと
その表現が正しいかのように大地は大勢の