ノアの方舟、というものをご存知だろうか?
かつて
その際敬虔な信徒であったノアという老人にこの事を伝え、全ての動物のつがいを乗せるための巨大な方舟を作るよう頼んだ
その方舟こそがノアの方舟と呼ばれるものである
私は
好きな食べ物はレタスで、嫌いな食べ物はラディッシュ
まわりからは少し天然入ってるって言われるけど自分ではそうは思わない
特技は裁縫でぬいぐるみを一から作ったことだってある
顔? 中の中くらいの普通じゃないかな?
ショートカットで目の色は薄茶色。なんでもひいひいひいおばあちゃんがロシア人だったらしい
そんな特になんの変哲もない私は、今真っ白な部屋に閉じ込められていた
ここに連れてこられた記憶はない
スマホやかばんも取り上げられてるみたいで何も持っていなかった
覚えているのは学校の帰り道、友達のハルちゃんにまた明日って言って別れたところまで
多分その後に誰かに攫われたんだと思う
「ここ、どこなんだろう? 扉もないし、窓もない…。うちに帰りたいよぉ…」
泣きそうになりながら、ううん、泣きながらどこかから外に出られないか探ってみてるけど、隙間もスイッチもない
こういう感じって最近アプリでやってた脱出ゲームに似てると思う
だからスイッチなんかないかな?って調べたんだけど
唯一ここと外を繋いでるって思われるのは私の届かない位置にある空気穴みたいな小さな穴
あそこから外の空気が送られてきてるから私は窒息しないんだ
「もう、何なのよ、これ」
クゥ~
お腹が鳴った
目が覚めてから一時間くらいかな? 攫われてどのくらいたってるのか分からないけど、お腹がすごくすいたよ
せめてスマホがあれば助けも呼べそうなのに
疲れ果てて私は何もない地面に転がって上を見た
照明器具がないのに壁や天井全体が光ってるから明るい
その天井を見ていると、私は段々と眠たくなってきて目をつむった
その時
ビービービービー
と、途轍もなく大きな音で警報音のような物が鳴った
「なになになになに!?」
びっくりして飛び起きると、何もなかった壁が四角く開いていて外に出れるようになっていた
「これ、出ろってこと?」
恐る恐る外に一歩踏み出すと、薄暗い廊下が右と左にまっすぐ伸びていた
「どっち行けばいいのよ」
怖いけど、進むしかない
右利きだから左に行こう
この時点でかなり混乱しているのが分かるかと思うけど、とにかく私は外に出たくて出口を探し彷徨った
しばらく歩くと大きな部屋が見えてきた
明るくて広くて、そして私が求めていた人の姿があった
そこにいたのは男性が3人と私と同じくらいの女の子が一人、大人の、30代くらいの気の強そうな女性が一人、小学生くらいの男の子と女の子の、多分兄妹がいた
兄妹は震えて怖がっているけど、他の人は落ち着いて部屋のあちこちを調べてるみたいだった
「あの」
「やあ、君も訳も分からずここに閉じ込められたのかい?」
「えっと」
「ああごめん、僕は田代修一、一応警官だよ」
「その、私は古賀叶です。女子高生で、気づいたらこんなところで」
あれ? 警官だって聞いてなんだか安心して涙が止まらなくなった
「ご、ごめんね。僕たちが必ず外に出してあげるから!」
田代さんはそう言ってまた他の男性と一緒に調べ始めた
田代さん以外の男性は、木戸明人さんという44歳のカフェ経営者の人と、加藤将司さんという38歳のインターネット会社経営者の人
その三人を中心に、大人の人達は壁を調べているみたい
小学生の二人は木山才人くんと、木山命子ちゃんという双子の兄妹で、この子達はとりあえず気の強そうな女性、東川梅子さんという28歳の女性が面倒を見ているみたい
この東川さん、気が強そうに見えて子供好きで、職業は保育士なんだって。適材適所だ
それからもう一人の女子高生の天海ライカちゃん。ハーフらしくて、金髪碧眼の美少女
でも性格は内気みたいで、目を合わせようとしない子
私を含めたこの八人で全員みたい
と言うのもこの部屋には八つの通路が繋がっていて、私が出て来たところ以外からはそれぞれ一人ずつ出て来たって最初にこの部屋に来た才人君が言っていた
私も三人の男性と同じように部屋を調べてみたけど、私が最初にいた部屋みたいに何もなかった
何もないって言うのはもしかしたら、最初の部屋みたいにぴっちりと閉じてて見つけれないってだけなのかもしれないけどね
時計が無いから体感で二時間ほど調べたけど、結局何も見つけることができなかった
ちなみにここに来るまでにあった分かれ道、行かなかった右の方は行き止まりになってて、何もなかった
疲れた私達はいったん休憩を挟むことにする
ここで重大なことに気づいた
トイレが無い、食料が無い、水すらない
一番の問題は乙女が四人もいるのにトイレが無いってことよね
部屋に戻ってするってわけにもいかないし…
そう思っているとふいに部屋の一部が動き出してそこに扉が開いた
中に入るとちょうどいい感じのトイレになっていて、さらに人数分の個室まで作られていた
「なんでトイレなんだよ。食料とか水とかもっと出るものあるだろうが」
木戸さんがそう言うと、後ろの方でまた音がして扉が開いた
そこにはたくさんの、この人数が有に数年は暮らせそうな食料と飲料水、さらにはお菓子屋ジュースという嗜好品まで!
「これで、ここから出れなくてもなんとかなりそうだけど、ここに閉じ込めた奴らは一体何を考えているんだ? 僕達を殺そうとしてる?訳ではなさそうだけど」
「何でもいいさ、私はちょうど喉が渇いていたんだ。水を一本貰うよ」
加藤さんが水の入ったペットボトルを持つ
「冷えている…。ついさっき冷蔵庫から出されたばかりのように冷えているぞ」
私達も触ってみると、気持ちのいい冷たさが手に伝わって来た
それから私はトイレに、皆は食料を食べ始めた
才人君と命子ちゃんはよっぽどお腹がすいてたのか、必死におにぎりを頬張ってる
で、食料を食べ始めて分かったんだけど、どんな技術かは知らないけど、食料は減った分だけ、まるで転送されるように補填されるみたい
どういうわけかこの空間は私達を生かそうとしてるみたいだ
私もご飯を食べていると、一つ思い出したことがあった
皆この大部屋に来るとき一本道って言ってたけど、なんで私の通り道だけ分かれ道になってたんだろう?
何もなかったから話てなかった
ひとまずみんなが落ち着いたところでそのことについて話してみた
「なるほど、もしかしたら危険があるかもしれない。ここは僕と・・・、木戸さん、ついて来てもらえますか?」
「あ、ああ」
田代さんと木戸さんは二人連れ立って私が来た通路に入って行った
私も気になったけど、もし何か変なもの、化け物とか出てきたら私じゃどうしようもない
ここは警官で武術もできる田代さんと、一応空手を習ってたって言う木戸さんに任せよう
心配しながら待っていると30分くらいして二人が戻って来た
特に怪我もしてないみたいでよかった
「通路、行ってみたんだけどすごいよ。皆来てみて」
何やら田代さんが興奮しているので、私達は八人全員で分かれ道の右側に行くことに
才人君は冒険心をくすぐられたのか先頭に立ってはしゃいでる
その後ろを命子ちゃんが嬉しそうについて行ってるのが可愛い
田代さんが言うには危険はないそうなので子供が先に行っても大丈夫かな
通路の先には私達がさっきまでいた場所よりもさらに広い空間になっていて、ガラス張りの区切られた部屋がそれこそ無数と言っていいくらいあった
その部屋の一つ一つに違う種類の動物が入っていて、まるで動物園みたい
目を奪われる衝撃の光景に私達は言葉を失った
だって、そこには、絶滅したって言われる動物までいたんだもの
名札が付いてるからわかった
ニホンオオカミにニホントキ、ニホンカワウソに果てはフタバスズキリュウとかいう恐竜まで!
一体ここは何なの?
動物たちは一日で見て回れないほどの数で、さらにその奥は数キロはあるんじゃないかな?
とりあえずはさっきの部屋に戻った
「この場所、この施設と言った方がいいかもしれない。ここはもしかして生物を保存する施設なのではないだろうか?」
唐突に加藤さんがそう言った
「確かに、それならあの絶滅したはずの生物がいると言うのも、合点がいくわ。でも、そんなニュース聞いたことないわよね?」
「政府が秘密裏に進めてたんじゃないか? 地球が滅びそうになったときとかに、動物たちと人間をこの場所に避難させて、みたいな」
「聞いたこと、あ、あります。ニュー、グランドオーダーっていう話、なんですけど、えっと、世界が新しい時代に、突入したときに、選ばれた人間が、その、次の時代で、生き残れる、みたいな話、なんですけど」
ライカちゃんの話、私もテレビで見たことある
それが、今のこの状況ってこと?
でも私はもう一つ、別のことを考えていた
ちょうどなんとなく図書館で借りた本、暇つぶしに読んだだけなんだけど、それが“ノアの方舟”って話
神様が驕った人間を洗い流すために、ノアという信心深い老人に作らせた方舟
ノアの家族以外には全ての動物のつがいだけがその方舟に詰められ、神様の起こした大洪水を乗り切ったって言うお話
今では実際にあった話なんて言われてるけど、多分世間はそれを話半分にしか思っていない
私だってそうなんだもの
それから私達は恐らく一か月半くらい、この大部屋で外に出る方法を模索した
あの動物たちのいる部屋も一番奥まで行こうとしたんだけど、動物から魚に変わった時点で断念した
動物、魚と続けば絶対にその先は虫、植物って繋がるんじゃないかって加藤さんが予想したから
だって動物の場所が終わるまでもすでに数十キロくらい歩いてきたんだもの
それも途中休憩を挟んで一泊したりして、ようやくだった
ここからさらに続くとなると、数十キロどころじゃないと思う、それこそ数百、ううん、数千キロはあるんじゃまいかしら
そんなの、奥まで行くのにどれだけかかるかわかったもんじゃない
食料にしたって途中で尽きちゃうだろうし、戻ってくるのだって大変だもの
私達があそこの本格的な調査をするには、どう考えたって人手が足りない
「あーあ、自転車とか、車があればなぁ」
私がつぶやくと、またしても扉が開いた
「おいこれって! すげぇ、バイクに車にトラック、ほら叶ちゃん、言ってた自転車もあるよ」
びっくり、今ので確信したよ。ここって、私達が欲しいものを出してくれる仕組みになってるんだ
この前だってお風呂に入りたいや、ふかふかのベットが欲しい、個人で使える部屋が欲しいって願いも叶ったもの
「ともかくこれで調査が行えそうだね。ん? あれってセスナじゃないか?」
「ふむ、車やトラックより早くあの奥へ行けそうだ。しかし、問題は操縦できる者が」
「あ、俺出来る。なんかノリで取ったんだけどさ、まさかこんな場面で役立つとは思わなかったわ」
なんと意外なことに木戸さんはセスナを操縦できるみたいで、すぐにあの場所の調査に向かうことになった
このセスナは二人乗りで、木戸さんが操縦、後ろにはここ最近木戸さんといい感じの東川さんが乗りこむ
一応荷物を積めるスペースもあったのでそこに食料やら着替えやらを詰め込めるだけ詰め込んで、二人は飛んで行った
ここは天井も高いし通路も広いから十分にセスナが飛べるんだよね
二人の飛行機が見えなくなったところで私達は見送りをやめた
それから数日たっても二人は一向に戻ってこなくて、そろそろ探しに行こうと田代さんが言い出した丁度その頃になって、二人は満身創痍と言った表情で戻って来た
「どうしたんだ? 何があったんだ二人とも」
「あ、ああ、ダメだ。外になんて出られるわけないんだ。俺たちは一生ここで…」
「何で!? 何でこんなことになってるのよ! 子供達は? 私の大好きなあの子たちにもう会えないなんて」
二人は相当取り乱してるみたいで、落ち着くまで時間がかかったけどようやく口を開いてくれた
「セスナでさ、順調に行けたんだよ。最奥まで」
「そこには大きな扉があってね。見上げても上が見えないくらいの大きな扉。私達はその扉の下をいろいろと調べたの」
「まさか外があんなことになってるなんて…。俺は目を疑った。小さい窓がいくつかその扉についててさ。そこから外が見えたんだよ」
「どうだったんだ?」
「どうもこうも、水没してたんだよ街が! 全部、全部だ! 遠くにスカイツリーが見えてよ。ここが東京だってわかったんだ」
「そ、そんな、じゃあ私達は本当に、ノアの方舟に乗ってるってことなんですか?」
私が大きな声をあげたことで寝ていた才人君と命子ちゃんが起きて来た
「どうしたのお姉ちゃん」
「う、ううん、何でもないの、ほら、寝てようね」
「私が寝かせるわ。今は、ちょっとでも、子供達に触れていたいの」
「お願いします」
東川さんは二人を連れて行くとそのまま皆就寝することになった
私が思ってたことが、本当になってしまった
ノアの方舟、この私達が乗っているものこそ、ノアの方舟で、私達は地球最後の人類なのかもしれない
どうして、どうしてこんなことになったの?
お父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、親友のハルちゃんも、この世界の人達は皆、みんな死んじゃったんだ
私は暗い気持ちのまま眠れない夜を過ごした
翌日
みんなが暗い空気の中、小学生二人だけが一緒に少し前に出て来たボードゲームで遊んでいた
無邪気で微笑ましいけど、今はそれを見て笑える余裕なんてない
ここで、ずっとこんな生活が続くのかと思うと憂鬱で、心がどんどん沈んで行った
そんな中でも田代さんは必死にみんなを励まして生きる気力をつけようとしてくれている
田代さんだって、たった一人の肉親だった妹さんを亡くして、平気なはずなんてないのに
暗くなった私達は、それでも生きるために毎日を生きた
そして互いに打ち解けて、気分も上向きになってきたある日
ビービービービー
と、聞き覚えのある警報音が大部屋全体に響いた
寝ている時だったため皆慌てて飛び起きてくる
「な、何事なの!? 才人君、命子ちゃん、大丈夫!?」
今ではすっかり二人のお母さんになった東川さんが二人を守るように抱きしめる
警報音はすぐに治まって、今までなかったことが起こった
「人間の皆さま、まもなく到着いたしますので、服をお着換えになり広場にお集まりください」
それは女性のような声で、まるでロボットが出しているかのような声だった
あの有名な電子の歌姫の声に似ているかも
混乱してたから聞き逃してたけど、人間の皆さまってどういうことなの?
ひとまず皆その指示に従うことにした。だって、それしかやることがないんだもの
「こ、これって、どういうこと、なのかな?」
「分かんないでも、外を見てないから何とも言えないよ」
着替え終わった皆は広場、つまりいつも皆が活動している部屋に集まった
すると突然才人君と命子ちゃんが広場の中央に立って、つま先でそこをトーンとつついた
そのとたん地面がせりあがり、二人が嬉しそうにこちらを向く
「ハーイ人間の皆さん注もーく!」
「さて、地球は滅んでしまったわけなのですが、あなた達は運よく生き残った最後の人類!」
なに、を、言ってるの? この子達、は
「才人君、命子ちゃん、どうしたの? ほ、ほら、私をお母さんだと思っていいって、言ったわよね?」
「ああ、僕らは別に人間ってわけじゃないから。その家族ごっこは終わりでーっす」
みんなが混乱する中、二人は楽しそうに話を続ける
「私達ー、一応あなたたちが言うところの宇宙人? 異世界人? まあ呼び名なんてどうでもいいんだけど、つまりあなた達を助けた人間ではないもの、高次元意識生命体とでも思ってくれればいいかな?」
「生き残ったのは日本では君たちだけ。他国はもう少し生き残ってるよ」
「そんなあなた達を絶滅させないために私達の管理する星へ連れて行くことにしました~。パチパチ~拍手~」
何も分からないし考えれない
それよりなにより、なんで、地球は滅んだの?
「はいそこのあなた! いい質問です!」
頭の中で思っただけなのに、読まれた!?
「何で地球が滅びたか…。悪化する世界情勢に国家間でのいざこざ、戦争、とうとう世界は大戦争、世界大戦を股始めたのでした~。そして起こるのは、核保有国による核戦争」
「もうわかるよね。国のリーダーたちは一斉に誤った選択をしてしまった」
「世界各国で核が発射され」
「一瞬で地球は人の住めない環境になった」
「非核宣言をしていた日本としてはとんだとばっちりだよね」
「私達は常にあなた達地球人を観察し、より良い方向へと導こうとしていたの」
「無駄みたいだったけどね」
「さて、君たち生き残った人間達には」
「これから地球とよく似た環境の星で一からやり直してもらいます」
「ま、待て! 子供のイタズラなら容赦せんぞ! 地球が滅びただと? 馬鹿馬鹿しい!」
加藤さんの言うことも最もだけど、私は気づいてしまった
才人君も命子ちゃんも、目が、黒目が広がって白目が無くなっていることに
あんなのいつかテレビで見た、宇宙人そのもの?
「あーそう言う人もいると思ったのでこんなものを用意してまーす」
才人君がパチンと指を鳴らすと、上から大きな薄いモニターが降りて来た
「君たちに合わせてこんな風にしたけど、どうかな? 見える?」
そのモニターには、恐ろしい情景が映っていた
世界中で発射された核によって、世界が滅びる阿鼻叫喚の映像
私達はあまりの恐怖に言葉を失った
「これって、CG?じゃ、無い…」
人が燃え、家が燃え、街が燃え、全てが燃える地獄のような、こんな、こんなのもう、見るに耐えられない
「分かってもらえたかな?」
加藤さんはトイレに駆け込み吐き始めた
「もうすぐ着くから。そこで暮らして、考えて。これから、
「でも私達はもう手助けはできない」
「ここからは君たちの手で切り開いていくんだ」
「他国の人達と交流できるよう、言葉は
「それじゃあみんな元気で。それと東川、少しの間だけだったけど、家族ごっこも楽しかったよ」
二人は、消えた
消えたと同時に広場が変形して、外への扉が開いた
そこはまったく見知らぬ景色で、月が二つもある地球とは明らかに違う星だった
「そっか、もう帰れないんだ」
私を含め、みんなそう理解して、そして悟ったようにここでの生活を…
そこでなぜか私は意識を失った
目が覚めると私の前に双子の少女が立っていた
「というわけ。分かる? このままいけば今の末路。あの方舟に乗るのはあなたじゃないかもしれないし、あなたかもしれない。数年後かもしれないし数百年後かもしれないの」
「私達にできるのはあなたのように波長の合う人にメッセージを伝えることだけなの」
「そのメッセージを受け取ってどう動くかはあんた次第ってことよ」
「いかなる世界にも私達は直接干渉はできないの」
「いろんな人にメッセージを送ってるけど、ここまではっきり送れたのはあんたが初めてね」
双子の少女は私の手を握る
「お願い、私達のメッセージを忘れないで」
「どうするかはあんた次第よ」
それで双子は私の夢から消えた
今でもそれが夢なのか現実なのか分からないけど、私は双子から受け取ったメッセージを胸に、今出来ることをやりながら日々を生きている
どこかであの夢の中で出会った人たちとすれ違った気もするけれど、その彼らがあのメッセージをどう思ったかなんてわからない
私は向き合いたい。ただそれだけ
「まったく、地球までこんな状態じゃ先が思いやられるわよ」
「まぁまぁそう言わないで、地球は私達にとっても重要な世界。滅んでもらっちゃ困るわ」
「そうだけど、お姉ちゃんも大変じゃないの?」
「やりがいはあるわ。心配してくれてありがとう。貴方も担当している世界が大変なのに」
「いいのよ、私にはお姉ちゃんが一番大切なんだもの」
双子の女神は幾度となく地球の危機を人々に発していた
より良い世界に導くのが神の仕事だ
双子は自分達の仕事を誇りながらまた世界を救う作業に戻って行った