朝岡の通夜は六時半から、家族葬と聞いた葬儀はひっそりと人目を避けるかのように行われていた。
吉継を伴い現れた私に、朝岡の両親のみならず祖父母までが再び土下座しそうな勢いで頭を下げた。私が黙ったところで、もう警察が全てを伝えてしまったあとだ。
我が子をただ純粋に悼むことができない親心を思うと、それだけで泣けた。朝岡は加害者ではないと言いたくても、なんの証拠もない。吉継は、隣で黙って俯いていた。
遺影の朝岡は、記憶にあるままの姿だった。歯を見せる笑顔は懐かしいのに、棺の中では青ざめた見覚えのない顔で横たわっていた。
誤解されたまま葬られてしまうやりきれなさを、どうすれば良かったのだろう。
通夜が終わるやいなや私の元へ赤い目で駆け寄って来たのは、高校時代の後輩達だった。あの、喫煙冤罪事件の被害者だった二人だ。朝岡とは高校卒業後も連絡を取り合い、仲良くしていたらしい。
赤い目で繰り返し謝る二人にたまらなくなって、悪いのは守れなかった私だと告げた。それが事実だ。私には分かっていたのに、寺本の悪意からも幻覚からも守ることができなかった。でもそんな事実を、二人が察せるわけはない。
――やっぱり、先輩は変わりませんね。
泣き笑いの表情で言われた言葉に何も言えなくなって、俯いた。