「……想定外って……! 人が! 実際に死んでるんですよ!?」
声を張りあげる
『こちらとしても、殺し合いにゲームが設定され……プログラムを書き換えられていることに気づいた時には、すでにゲームが始まってしばらく経っていました』
(ん? どこか日本語がおかしいな? なるほど……いよいよ、|崩《・》|壊《・》ってわけか)
「てめぇらが壊れてんのは理解した。んで? 結局のところ、王にしたかった野郎も死んで、その浮気女ももうじき死ぬんだろう? そこでだ。……取引しようじゃねぇか」
「ようやく名乗るが、俺の名前は
「えぇー!! お、お兄さん、お医者さんだったんですか!?」
純汰が驚きの声を上げる。それに対し、暦が声をあげた。
「ヒュー! 確か、若き天才ドクター! って一部記事に書かれてなかったー? なるほどね? だから、こんなにも死にドライだったわけかー!」
「うるせーよ。……とにかくだ。そこの浮気女を助けてやる。ついでにてめぇら魔女も、存在が維持できるように……
「え? 純汰君。この人工知能をなんとかできるんですか?」
尋ねる忠義に、純汰が遠慮がちに答える。
「じ、実は……僕大学生と言っても……その、一度アメリカで飛び級してまして……。プログラミングなら、なんとか……」
あまりにも都合がよすぎる展開に、忠義は閉口するしかない。それに気づいた景梧が彼に向かって声をかける。
「おそらく、こうなることも考えていたんじゃねぇか? そうだろう?
『さすが、兄さんだ。やっぱり……敵わないな』
若い男の声が響く。暦の近くのモニターに映し出されたのは……朝春だった。
彼は静かに答えた。
『このプログラムが動いているということは、本体は死んでいて……いや、殺されているんだね。そうだよ。死が間近に迫っていると理解したからこそ、ぼくは円卓の騎士をシミュレーションしたものを用意していたんだ。死のゲームに改変されたとしても、兄さんならたどり着けると信じて』
朝春が残した人工知能の答えに、景梧が舌打ちをして静かに告げる。
「お前も本当の意味で、そろそろ死ぬんだろう? どこまでも振り回しやがって」
二人のやり取りを聞いていた忠義が尋ねる。
「……結局のところ。ここはどこだったんです?」