その頃。
日差しの中を歩きながら、
(うーん、|忠義《ただよし》くんと歩いてた時も思ったけど……こんなに高い壁の中で、|よ《・》|く《・》|日《・》|差《・》|し《・》|届《・》|く《・》|よ《・》|ね《・》?)
それは……太陽がこの場所で、能力について魔女から説明を受けた瞬間から、抱いていた疑問だった。
(日陰になるところは確かにあったよ? だけどさぁ……いくら土地が大きくたって、日本なんでしょ? おかしくないかなぁ?)
日本は土地が狭い。いくら過疎化が進んでいるとはいえ、地形の関係もある。ここまで広い場所を確保できるとは到底思えなかった。
ましてや――殺し合いの舞台としての土地なんて。
その疑問を、魔女・グリテンに尋ねてみようかとも思った。だが、それより先に気づけば身体が動いており、戦闘体勢に入り
(忠義くんの言う通り……魔女の言いなりになってたっぽい? でも、さ)
そこで、もう一つの疑問へと立ち返る。
(忠義くんはなんで――魔女の言いなりにならなかったのかな?)
彼は自ら、戦いを拒んでいる……ように見えたし、少なくとも太陽からはとても自律した思考をしていると感じさせられた。
だからこそ、太陽も魔女の
だが。
もし、それすら魔女の誘導なのだとしたら……。
(そうだとしたら、自分が本当に|杜《やまなし》太陽なのかどうかも怪しくなるね?)
己を疑うことほど、滑稽なことはない。
そう結論付けた太陽は、探索を再開する。
陽射しが眩しい。それが自分にとって好条件なことに皮肉を覚えながら、太陽は歩く。
「……あれ?」
警戒はしていた。
だが、気配が感じ取れらなかった。思わず呆気にとられる太陽の前に――彼は現れた。
黒髪をなびかせる……ランスロットこと、
「君は……ふむ。日陰を避けて歩いているところを見るに、ガウェインと言ったところか? あぁ、一応名乗ろう。ランスロットの座に就いた者だ」
冷静に語りかけてくる頼に、太陽は思わず冷や汗を流す。まさか、こんなにもあっさりと自分の騎士の座を当てられるとは思わなかったのだ。
「……せ~かい~。いや~当てられるとは思わなかったなー。それで……さ。やっぱり?」
尋ねれば、頼は静かに剣を構え戦闘体勢に入った。
「……です、よね~? はぁ、じゃあ――
太陽も剣を構える。そして、二人は向かい合う。
「日光がある場所で、不利だとは思わないの~?」
そう語りかければ、頼は無言のまま突進してきた。その勢いは凄まじく、日光の力の恩恵を受けているはずの太陽がギリギリかわせたほどだった。
またしても冷や汗が伝う。
(なんだろーな? すっごく……|嫌《・》|な《・》|感《・》|じ《・》がするね?)
その感覚の正体を掴めないまま、戦闘は始まったのだった――。