同時刻。
森の中を
『ランスロット様、もうすぐ――ガラハッド卿と遭遇します』
「ほう。確か、伝承だとガラハッドはランスロットの息子だったか?」
『そうですね。そして、聖杯を手にした円卓の騎士の一人でもあります』
「聖杯……か。この場所にもあるのか?」
その問いにリーレが答える。
『あります』
「へぇ……それは、興味深いな」
それだけ呟くと満足したのか、彼はリーレとの
しばらくして――彼は現れた。
「お、また見たことのない騎士ですね! 初めまして、ガラハッドです! そちらは?」
興味深げに尋ねるガラハッドもとい
「俺は……ランスロットだ」
「へぇ! じゃあ、自分とは伝承に沿うと親子になるわけですか! 大変興味深いです!」
「そうか? じゃあまぁ……殺し合うとしよう」
「お! 気が合いますね! さぁ、殺し合いましょう!」
二人は武器を構える。聖斗は盾を、彼は両手剣を。そうして睨み合い……動き出した。最初に動いたのは、聖斗だった。
盾を振りかざし、彼に向かって行く。大きな盾の猛攻を、彼は軽やかにかわしていく。
「ねぇ! お兄さんのお名前、教えてくださいよ! 自分は
大振りで盾を振るいながら名乗る聖斗に対し、彼は静かに口を開く。
「名乗り……か。君はなぜ名乗るんだ?」
「それは自分の生きた証を残していくためですよ! 名乗っておけばおくほどいいと思いませんか?」
そう話ながら、飛びあがって盾の尖った部分で突き殺そうとしてくるのを、横に避けてかわし、そのスキを狙い彼は両手剣で突進する。
その間に――彼は名乗った。
「俺は
頼が名乗ったことに満足しながら、聖斗は盾の上部を掴んでひらりとかわす。そして、その勢いのまま頼を蹴ろうとするが、あっさりとかわされた。
「強いですね! さすが伝承では父なだけありますね!」
「それは、今関係ないと思うが?」
楽しげな聖斗に対し、どこまでも冷静な頼。その温度差こそが、彼らの距離そのものにも感じられる。
戦いの最中、頼はリーレに声をかける。
「彼は倒してもいいのか?」
『はい、構いません。あれは、
「そうか。了解した」
静かに答えると、頼は距離を取り能力を解放し始める。
「アロンダイト、フルドライブ」
「お? 能力の解放ですか! じゃあ自分も!
ガラハッドは数多の聖遺物を手にしたとされていることもある。また、その伝承において、この盾はアリマタヤのヨハネの盾と呼称され手にした者の前に黒き騎士が現れ、襲う呪いがあったとされている。
それの再現を……聖斗はしたのだ――。