「おや? 貴方とは初めて会いましたね!」
声をかけたのはガラハッドこと
「そうですねー? 君は……盾ってことはガラハッドってとこですかねー?」
そう言って彼の呼びかけに答えたのはモルドレッドもとい
「えぇ! 正解ですよ――
「……へぇ? オレの名前を知っているのはなんでですかねー? そこ
「勿論ですよ! 戦いの中で、語り合いましょう!」
楽しげな聖斗の様子を訝しむ霧彦は、クラレントを構えつつ距離を取る。聖斗の動きを見極めるためだ。
「では、殺し合いましょう、か!」
そう告げると、聖斗が盾で突進して来る。それをギリギリでかわすと、霧彦がクラレントを聖斗に向け、斬りに行く。
「せいっ!」
振りかぶった剣を盾で防がれる。その盾を足蹴にし、霧彦は一端聖斗から距離を取った。
「ねぇ? そっちだけ名前知っているのってズルくないですー? オレにも教えてくださいよー」
「いいですよ! 自分は
「うっわー中々サイコパスですね? アンタ。まぁいっか……
含んだ言い方をすると、霧彦が再度攻撃体勢に入った。それを見て、聖斗は嬉しそうにする。
「いやー嬉しいですね! つまり同胞みたいなものというわけですか! これはますます気合が入りますね!」
「それはどーも? そんじゃま、ちゃちゃっと
そう告げると、霧彦が能力を解放し始める。それを見て、聖斗はさらに嬉しそうに微笑んだ。
「お! 能力の解放ですか! いいですね!」
霧彦の能力解放の動作を見ても微笑みを絶やさない聖斗の様子に、霧彦はハッキリとした違和感を覚えた。
(コイツもしかして……この殺し合いゲームについて何かを知っている? いや、もしかしたら……)
日が暮れてきて、辺りは闇に染まり始めている。今二人がいるのは城内の長廊下だ。灯りはあるが、場所が狭すぎる。
「盾相手に、この場所は不利でしょー? というわけで、追いかけっこスタート? なんっつってー!」
そう言うや否や、霧彦は猛スピードで聖斗から距離を取って行く。目指すは、城内でももっとも広い……ホールだ。
霧彦の狙いに気づいていないのか、聖斗は素直に後を追いかけてくる。
(随分と素直ですねー? 怪しい、これは怪しい……どーしよっかなー?)
急に走るのを止めると、霧彦が自身の魔女・モルガンに声をかける。
「モルガン」
『なんでしょう、モルドレッド』
「アイツ、関係者でしょー? そいで、
『そうですね……それは
(難しい……ねぇ。そう来ちゃうかー。じゃ、まぁここは言うこと聞いておくかな?)
「じゃあモルガン、逃げるためのルート確保、よろしくお願いしますよ?」
『イエス、モルドレッド』
モルガンが半透明な女性の姿を取り、霧彦の背後へと回る。そして、彼の翼となったモルガンの力により、霧彦は空を飛び、窓を強引に割って外へと逃げた。
それを見た聖斗が、がっかりした顔で自身の魔女・ティロノエに声をかける。
「逃げられちゃいました! モルドレッドの魔女はモルガンでしたね! どうやらだいぶ――原典の関係に引っ張られているみたいでしたけど、大丈夫なんですか?」
そう尋ねれば、ティロノエが少し沈黙した後静かに答えた。
『そうですね、計画外です。これは……厄介なことになったかもしれません』
「あーやっぱりですか! どうするんです?」
『王を決める選定式が始まっている以上、ワタクシではどうしようもありません。全ては――選定式の流れのままに』
ティロノエの回答に、聖斗はゆっくりと盾を床に突き刺すと、右手を顎に当て考え始めた。
「でしたら……そろそろケイ卿にお会いしたいですね! なにせ、我らの王、アーサー王の兄君なのですから! あ、伝承では義兄でしたっけ? まぁそんな違いは些細なことです! さぁ、あんなにをお願いしますよ!」
『承知しました、