――二時間経過。
****
「お、発見ー! 騎士とようやく会えましたねー?」
声を発したのは
二人は睨み合いながら、互いの距離を測る。
「そっちはなんの騎士なんですかねー? あ、オレは……モルドレッドです、よ!」
霧彦が動く。クラレントを両手に持ち、黒髪の青年に向かって行く。それを受けて青年もアロンダイトを手にし、霧彦の剣を受け止めた。
「へぇー? けっこう強そうですね、アンタ。これは
切っ先が青年に向かって行く。それをいなすと、彼が反撃に出る。
「なんか言ったらどうなんですー?」
そう問われた青年は、静かに口を開いた。
「そうだな。君はなんのために、この戦いに参加してるのかな?」
「え~オレ? そうですね……目的はありますけどー
霧彦の言葉に、青年は眉をひそめる。
「随分と含んでいるな? これは……どうなんだろうね?」
一人呟くと、霧彦の攻撃を受け止めつつ自身の魔女、リーレに小声で話しかける。
「この状況はいかがなものだろうか?」
『非常に
「承知した」
リーレの言葉に小さく答えると、彼はアロンダイトを勢いよく地面に向かって振り下ろし、その勢いで宙を舞う。
そして、そのままの勢いでリーレに向かって声をかけた。
「リーレ。空中移動の
『はい、ランスロット様』
リーレの魔法が発動し、黒髪の青年は空を猛スピードで駆けていく。その姿を見て呆気にとられ、動きが止まった霧彦に対してモルガンが語りかける。
『モルドレッド? 呆けている場合ではありませんよ。どうするのです?』
問われて我に返った霧彦は、しばらく思案した後口を開いた。
「うーん、と。とりあえず殺し損ねたのは残念でしたねー。でもまぁ、どうせ? いつかはぶつかるんですし? 焦ることはないでしょー? というわけで……次の獲物探しと行きますかねー?」
『いいでしょう、モルドレッド。あなたの補佐がワタシの役目なのですから』
そうして、一人と魔女は獲物を求めてその場を後にすることとした。
(それにしても……リーレ、ねぇ。もし、この戦いの目的が|オ《・》|レ《・》|の《・》|考《・》|え《・》|通《・》|り《・》だとしたら――アイツは多分ランスロットだな。と――したら。厄介すぎるかな?)
思考を巡らせ、あの黒髪の青年は後回しとすることに決めた霧彦は、次なる獲物に当たりをつけることにした。
(オレとトリスタンとの戦いを見ていた二人にするか……まだ会っていない奴にするか――さぁて、どちらにしようかな?)
その表情はいたく楽しげで、そして――どこか狂気が感じられるものだった。