戦闘開始から九時間経過がした。その間に
「そういえば、ここって日本であってるんですよね? 明け方近くから戦いは始まりましたけど……もう
「さぁな? まぁ
「あの……あの方の魔女であるモルガンが凄い魔女だって言うのは、そのわかりましたけども……そんなに警戒することなんでしょうか?」
その言葉に景梧が呆れた表情で答える。ただし、目つきは鋭かったが。
「あのなお花畑君? モルガンはどうやらアーサー王伝説じゃかなり重要度が高いらしい。それを加味した上で、あの戦いを思い出してみろよ? おそらくトリスタンは能力をフルで使っていた。なのに、ほぼ百瀬川は無傷だった。普通に考えてもやべぇだろ?」
「普通に? すみません、理解が……」
「だから考え無しなんだろてめぇは。大人しく脳内花畑しとくか、女のことでも考えてろ」
そう言われ、純汰の顔が一気に真っ赤に染まる。
「な!? なんでこんなところで女性のことを考える必要性が!?」
「お?
「ふ、
顔を更に赤くし抗議する純汰に対し、からかうような表情で景梧が続ける。
「はっ、だからてめぇはガキなんだよ。何事も経験だ、経験。それに……初夜で
「も、もういいです! それ以上聞きたくありません!」
「はぁ……近頃のガキは草食系だねぇ……。っと、ここらでいいか?」
怒っている純汰を軽くいなすと、景梧がある一室に入ってみることにした。勿論、臨戦態勢で。
そこは最初に景梧が目を覚ました部屋よりは狭い、両側の壁にベッドが二つ置かれたシンプルなデザインの部屋だった。
その室内を探索し、安全であることを確認した二人はようやく一呼吸置く。
「はぁ……ずっと警戒しているのはキツイですね……。僕、疲れました……」
「てめぇはただ歩いて逃げてただけだろうに……。戦ってたのはむしろ俺なんだがな? ねぎらいの言葉もないとは哀しいねぇ。あぁ、なんて可哀そうな俺なのやら。考え無しの脳内お花畑君のかわりに、色々考えたりもしてるのになぁ?」
言われてみればその通りのため、純汰は一切の反論ができず……黙り込んでしまう。感謝を述べても気に障りそうな感覚がしたのだ。
「おいガキ。感謝の念が少しでもあるなら、明日に備えろ。少しでも体力を回復させろ。そして、ちったぁ役に立て」
「……はい」
そうして、二人は甲冑を脱ぐことなく、互いに目だけを閉じる。景梧は警戒し、純汰は慣れない環境のせいで寝付ける気がしなかったからだ。
こうして――脱落者を二人出して、一日目が終わったのだった。