――戦闘開始より六時間経過、脱落者現在一名のみ。
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幅広の直線状の階段を、黒い長髪の青年が歩いていた。
「リーレ」
自身の魔女に声をかけると、
『はい、
「他の騎士で一番近いところにいるのは誰かわかるかい?」
『この位置ですと……アグラヴェイン卿ですね』
リーレの言葉を聞いた青年は静かに剣を構え、階段を素早く駆け上がる。そして……件の
彼は、上階でどうやら情報を得ようと近くの本棚を物色していたらしい。殺気に遅れて反応する。
「うわぁ!? な、なにをする!」
それでもギリギリでかわしたアグラヴェイン――眼鏡の青年に狙いを定め、一気に畳みかける。
「くっ! 野蛮な! 私も命は惜しいんだ! おい! クリトン!」
『はい、アグラヴェイン殿』
「武器だ! 剣を! 早く!」
『どうぞ、お使い下さい』
クリトンが両手剣へと姿を変える。その剣を慌てて両手で握ると眼鏡の青年が反撃に出た。
「はぁぁぁ! てぃ!」
大声で威嚇しながら剣を振るう眼鏡の青年に対し、黒髪の青年は冷静だ。的確な動きでかわしていく。
その上で、黒髪の青年は剣を一切振るっていない。かわしているだけだ。それがどうにも腑に落ちないが、攻撃の手を緩めるわけにはいかないと眼鏡の青年は必死になる。
だが……。
「な、なんでだ? なんでこんなに当たらないんだ!!」
泣きの入った声で叫びながら、なおも剣を振るう眼鏡の青年。
そんな彼に対し、
「君は……アグラヴェインとランスロットの関係を知っているか? あぁ、勿論伝承でのな? その中でのアグラヴェインの役割は――ただの告げ口野郎なんだ」
「は、はぁ!? それと今! なにが関係あるって言うんだ!?」
「つまるところ、な? 君の剣も、能力も……無能なのさ」
「なっ!? この私が無能だと!? なら今ここで能力を解放して!」
彼の言葉にも、黒髪の青年は動揺することなく静かに告げる。
「それは好きにしたらいい。もっとも、どうせ……そんなに大した能力じゃないだろうしね? それと、さっきの話に戻るけれどアグラヴェインは
そう告げると、
「そういう伝承にはそってみたくならないかい? ……終わりにしよう。アロンダイト、解放。貫く!」
「なっ!? の、能力! クリトン! 解放……を……ってうわぁ!?」
右に左にと、ステップを踏みながら一気に眼鏡の青年へと向かってくる。あまりの速さに能力を発動するスキがない。
「うっ! くっ! くそ!
そんな彼を着ている甲冑ごと腹部を貫き壁にそのまま叩きつけた――黒髪の青年が。
「ぐはぁっ……! う、ぐ……!」
口から血を吐き、彼がかけていた眼鏡がズレて床に落ち、衝撃で割れる。
「さて、最期に君の名前を教えてもらおうか? あぁ、いや……魔女に訊こうか?
魔女、クリトンが冷静に告げた。
『ランスロット殿、この者の名は
クリトンの気配がなくなって行く。撤退したのだと認識した
アグラヴェインもとい昭良の身体が大きな音を立てて床に落下した。ピクリとも動かず死んだのだと確認して、
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戦闘開始から七時間経過、脱落者二名――。