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第4話 見極めろ

「なんだ?」


『恐らく、他の円卓の騎士が近くで戦闘を行っているのかと思われます』


 モノロエの言葉に、景梧けいごの表情が険しくなるのと同時に、近くにいた純汰じゅんたが不安げな顔をする。

 思わず視線が交わった後、純汰がとんでもないことを言い出した。


「僕! 喧嘩を止めてきます!」


「やめとけガキ、死ぬぞ……って、あーあ行っちっまった」


 景梧の言葉を半分も聞かずに、純汰は走り出してしまった。その後を追うか迷って……景梧も純汰を追った。


 ****


「でぃぃや!」


「はぁ!」


 轟音がした方へ向かうと、そこには二人の青年が剣同士での小競り合いをしていた。一人は、片目を髪で隠した青髪の青年、もう一人は桃色の髪の青年だ。


 その戦いを、比較的近い建物内の窓から見つめながら景梧があることに気づく。

 二人の内の一人、桃色の髪の青年に景梧は見覚えがあったのだ。


「アイツは確か……百瀬川霧彦ももせがわきりひこか?」


「お知り合いですか!?」


 なぜか嬉しそうな純汰の声に、思わず景梧が声を漏らす。


「アイツの……弟のダチだ。そいつがなんでここに……?」


「お兄さんには弟さんがいらっしゃるんですね! そのお友達のかた……!」


 霧彦と青髪の青年は、なおも譲り合うことなく剣を振るい合う。その勢いは凄まじく、割りいるスキが全く見えなかった。だが――。


「僕、止めてきます!」


 純汰の言葉に、景梧が声を荒げる。


「馬鹿か!? 状況を観ろ! どう考えたって入れねぇだろうが!」


「うっ……で、でも! 止めない……と! それに一人はお兄さんの弟さんのお友達なんでしょう!?」


「んなこと今は関係ねぇ……それに止められんならなぁ、あんな死と死の争いなんざしてねぇんだよ。殺し合いの場だって言われてんだろうが? それに……俺が今……ここでお前を殺さないって保証がどこにあると思ってんだ?」


 景梧のその言葉で、純汰の表情が恐怖に染まっていくのがわかった。どうやら、ようやく正しく状況を認識したらしい。今さらになって怯えを見せた純汰に口角を上げながら景梧が告げる。


「いいか? 俺は生き残りてぇ。いや、生き残らなければならん理由がある。そしてお前は誰も殺したくない。なら、考えのできない能無し君のかわりに俺が考えてやる。だからかわりに俺を手伝え。お互いや?」


 ある意味挑発とも取れる言葉に、純汰は顔を伏せ静かに息を吐く。そして、決意したようにゆっくりと口を開いた。


「僕……どうしてこういうことになっているのか、知りたいです!」


「そうか。なら……まずは見物させてもらうとしよう。何が俺達に起こるのか、させられるのかを見極めるためにな?」


 静かな口調とは裏腹に、景梧の目つきは鋭く殺気すら感じられた。それにまた、純汰は怯えるが……景梧は気づいていないようだった。

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