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-北①- 百十九話「始まり、決戦



 ※ 午後3時39分、開戦。


 開戦とはどういう言葉か知っているか?


「――――」


 戦争を始める事だ。



――――――――。





「――――」


 始まった。

 みな、心でそう思った。

 ついに、始まってしまったのだ。

 全てを決する戦の火蓋が、そのとき切られた。



 ■:魔法大国グラネイシャ・王都王城、正面外壁フロントランパート



 ゾニー・ジャック視点。



 聞こえるのは騒音、響くのは悲鳴、揺れるのは心。

 視線を正面に向けると、そこはまさに地獄絵図だった。


「くっ、がああああ」

「ガルルルル!!!」


 魔物と騎士たちの戦闘は白熱していた。

 剣の音が聞こえる。魔物の咆哮が聞こえる。

 そんな中、僕は。


「――【装備開示】グレイボール」


 魔道具グレイボールを展開し、一匹の通常種魔物にダメージを与える。

 二個の球体が与えれるダメージなどたかが知れているが、

 目的はダメージを与える事ではない。


 知能がない魔物はグレイボールに殺意を向ける。

 その隙を見逃さなかった僕は。


「――【剣技】火我射・葉月切り」


 魔物の首を切り落とし、現場に黒い血が飛び散る。

 露出した核はグレイボールで潰した。

 グレイボールはある程度ならば僕の視界外でも動かすことが出来る。

 その特性を存分に生かし、出来るだけ時間を節約する。


 時間の節約にはもちろん意味がある。

 まずまず、まだファイトフィールドは収縮しきっていない。

 今戦っている第一軍は、まだ敵の全てとは限らない。

 ファイトフィールドが完全に収縮した瞬間、恐らくこれ以上の魔物が接近してくるだろう。

 だから、今のうちに、時間の節約をしつつ。


「――【剣技】忌避終劇の乱!!」


 衝撃波が二体の魔物のバランスを崩す。

 一体は他の人が、もう一体は僕が一人でとどめを刺した。

 これで通常種の討伐は8体。順調だ。

 しかし、まだ気を抜くことは出来ない。


 序列二位、ノーセル・カートリッジと、

 第一部隊、団長ガーデン・ローガンが。

 現在二人だけで、異形種を3体相手にしており。


 残りの一体は、

 第十四部隊、ライジン・サムルイと、

 第十一部隊、マリン・ラリリアが相手をしている。


 隊長三人と序列一人で異形種を4体抑えている。

 ――だが、討伐には至っていない。

 至っていないという事は、苦戦しているのだ。

 あちらの状態を確認する暇はない。

 僕らの仕事はここで通常種を絶やす事だ。

 第四部隊のシェイプさんと共に、僕らは剣を振る。


 誰一人、犠牲者を出したくない。

 でも、でも。

 ここはそんなことが叶う場所とは思えない。


 ……そんなことを気にしている暇は、無いという事だ。


 今は誰も死なせたくないなんて言う、傲慢な考えは捨てるべきだ。

 僕が集中するべきなのは目の前の事。

 今は決戦だ。

 これが最後の戦いだ。

 悠長なことは言ってられない。

 全力を出そう。

 全力で叩き潰そう。


「――【剣技】」



 僕はゾニー・ジャック。隊長だ。



――――。



 マリン視点。



 この私、マリン・ラリリアがここまで苦戦するとは思わなかった。


「クククク」


 両手を広げ、二本足で直立する一体の魔物は、

 不気味な笑みを浮かべたまま、

 両手に灯した紫の炎を強く揺らす。

 恐らくこの魔物の使う魔法は――『炎』だ。


 先ほど、ついに見せたあの紫の炎。

 その異様さは肌で感じとれた。

 能力が全く分からない。

 炎を出しているからといって、炎を使った単純攻撃ではないはずだ。

 警戒しておくにかぎる。


「……厄介な敵ね、ライジン」

「全くもってそうだと思う。なんてめんどくさい敵なんだ」


 ライジンは猫背のまま、色素がない髪の毛を揺らし。

 その見た目は、簡素な服装で、鎧も着込んでいなかった。

 そんな呆けた姿の彼は、

 虚ろながら鋭い目で魔物を睨む。


 って、めんどくさいって……。


 あぁ、……そうだった。

 忘れていたけど、このライジンと言う男は大のろくでなしで有名な男だ。

 誰かを守るのがめんどくさいから、

 部下を一人も持ってこなかったっていう噂も聞いたことがあるし。


 まさに、一人大好きな陰キャ男子。

 はぁぁぁ。

 こんな状況じゃなきゃ、間違いなく組んでなかったのに。


「あの炎を避けながら距離を詰めるわよ」

「本当に僕も戦わなきゃダメ?」

「当たり前でしょ? 頼むから言う事を聞いてくれる?」


 こんな私でも少し強めな言葉が出てきてしまう。

 本当は嫌なのに。

 もう、ストレスは剣技に綻びを作る。

 だから出来るだけ感じたくないのに。


「私は左、君は右で詰めて。距離を詰めつつ、相手の出方をみるの」

「………御意」


 やる気がない返事だったけど、

 そんな彼も剣を鞘から取り出し、ぶらぶらと力ない手で握る。


「――――」


 ……始めて見るけど、彼の剣どうなっているのかしら。


 彼の剣、ライジンの剣は、

 不思議な事に刀身が『真っ白い石』の様な素材でできていた。

 確かに、武器をカスタマイズする隊長はいると聞くけど。

 あんな刀身、始めて見る。


「行くよ」

「ん……」


「クククク、――クルクルパァアアアアア!!」


 刹那、広がる紫の炎に圧倒されながらも、

 私は左から大回りをして魔物に距離を詰めていく。


 魔物はどうやら私達個人を狙っている様には見えない。

 異形種の中には狡猾な知性を持ち合わせている者もいると聞いていたが。

 どうやらこの異形種は違うようだ。

 でも油断はできない。

 この支離滅裂な言動も演技である可能性がある。


「――【装備開示】桃剣ピーチソード


 不測の事態に備え、私も出来るだけすぐ行動に移せるように準備しなきゃ。

 剣の開示もすんだ。回避魔法の詠唱も済ませている。

 万全だ。


「――クヒッ、キャハハハハ!!」


 魔物は笑った。

 その狼の様な長い口で、ケラケラと笑った。

 ……次の瞬間。


「万全。感ジタ刹那コソ、隙ダ」

「――え」



 炎の色が変わった。

 “緑”だ。


 その瞬間、空気が変わった。

 その炎が音を揺らし始めた瞬間から。

 何故か心が軽くなった。

 というか、なんて言えばいいのだろうか。


「――――」


 大自然の中で川のせせらぎを聞いている様な心地よさを感じた。


 どういう事だろう。

 景色は変わっていない。

 川のせせらぎなんて、ここでは無縁なものが聞こえてきている。

 なのに、なんでか、心が凄く落ち着いている。

 森の匂いがする気がする。

 川の音がする気がする。


「――?」

「森ノセセラギハ心地ガイイ、君ラモドウダイ?」

「……何よこれ」

「混乱シテイルンダナ、無理モナイサ。人間ニハ理解デキナイダロウ。自然ノ美シサヲ」

「だから……これは何なんだって!!」


 気持ちが混乱した。


 頭では理解している。

 今この状況はまさに、相手の術中の中だということ。

 精神系か?

 でも汚染ではない。

 どちらかというと幻術。

 でも、幻術にしてはリアルすぎる。

 ……でも幻術としか言えない。この変な感覚は、幻術の感覚と同じだ。


 ……おかしい、どうしてこんなに落ち着かないの?


「………っ」


 分からない。でも多分、この居心地の良さと頭のギャップが、手の震えになってる。

 震えている。

 怖い訳じゃない。

 理解できないからといって、ここまで体がおかしくなるの?

 どういうここここここここここここここここここ――。


「理解ニ苦シンデイル……クククク、グハハハ。悲シキカナ。ドウシテオ前ラハ、イッツモ」

「きっ、きゃあああ!!」


 手が、足が震える。

 どうして? 私が、この私が。わわわわ。私は。


「――理解デキヌ愚カ者メガ、ソコデ焼ケテ、シネエエエ!!!」


 魔物が右手を振り上げた。

 同時に、私がの目の前の川が盛り上がって、水が溢れて、滝が上って。

 私の方に向かって――。


「一度、頭を冷やすべきだ。ラリリア家のお姉さん」


 小鳥のさえずりの紛れて、そんな声が聞こえて来た。

 同時に私の頬に衝撃が走った。


「最近の貴族ってのは瞑想すらしてこなかったの? びっくりするくらい集中力がない」


 目の前には、ライジンが立っていて。

 私に手を上げてからそう呟いた。

 一瞬、何をされたのか分からなかった。

 いつの間にか私は戦場に戻っていて、目の前にあった滝が無くなって。


「………」


 でも何となく、その光景を見てこれだけは理解できた。


 私はこの男にビンタされたのだと。


「え?」

「もっと単純に考えられないの?」

「……え?」

「どうして君はそんなに複雑に考えるんだ。幻術をかけられた。しかし、動けないわけではない」

「…………どうして平気なの?」

「逆に聞くよ。どうしてそんなの取り乱すんだ。そのくらい、耐えてくれ。隊長だろ」


 そんな言い方しなくても……。


「………」


 ……いや、その通りだと真摯に受け止めよう。

 今後も自らを研鑽していくんだ。

 私はまだ完璧じゃない。

 もっと叩いてもらわないと。

 強くなりたいんだ。


「ありがとうございます。これで、戦える」

「別にいいよ、任せてくれても」

「……いいや、きついでしょう。幻術系を一人では」

「いや……いいよ、僕なら出来るし」

「………」


 …………。

 ……いい感じに消化したのに、この人はまたイライラさせてくるなぁ。


 何だこの人、他人の事考えて生きた事無いでしょ。

 私もやるっつんてんの。

 なのにそんな突き放し方ある?

 人の善意を無下にしてる自覚とかあるのかしら。

 いいや、こういうタイプはどうせないわ。

 あーあ。どうせ貴族上がりのぼんぼんでしょうね。

 全くいいご身分だこと。


「――――」


 もちろん口には出さないわ。

 だって戦闘中ですもん。

 私だってそんな非常識な人間じゃない。この男と違ってね。

 はぁは。全然全力だせないじゃない。


「……いくわよ」

「好きにして」


 私は剣をもう一度構え、魔物をやっと見据える。

 さっきの攻撃は幻術だったらしく。

 魔物は最初の位置から一歩も動いていなかった。


「幻術ガ、解ケタカ。クッ、クククク。面白イ人間ダ」

「そんなに面白いのかい? 君の笑いのツボが見えて来たよ」

「オ前ハ芸人ニデモナリタイノカ?」

「……何を言っているんだい? あぁ、めんどうだ。これだから魔物でも人でも、会話するのが」


 ライジンは己の白い刀身を前に出し、片手の弱い力でそれを魔物に向けた。

 するとその瞬間、その白い刀身に何かが纏わりつき――。


「苦手なんだよね」


 刀身に、赤い炎が宿った。

 激しく宙を切る音を出しながら、その炎は揺れ始め。

 その熱は背後に立っている私にも伝わってくるものだった。


 これは――【装備開示】だ。

 私はすぐそう理解した


「行くよ、村雨刀ムラサメ


 赤い炎が刀身に灯ってから、一気に雰囲気が変わった。

 なんていうのだろうか。これは。

 私あんまり語彙力がないからピッタリなのは言えないけど。そうね――。


 太鼓の音が聞こえる気がする――――。


「……クククク、クククククク。クッハハハハハアアアア!! オ前ハ実ニ面白イナァ、名ヲ聞コウ!!」

「――第十四部隊、隊長。ライジン・サムルイだ。覚えなくても、いいよ」

「ソウカソウカ!! 隊長カ! クククク、クカカカ!! 笑イガ止マランワ!!」

「やっぱりツボ浅いんだね――――」



「「――私の名前は“サミュエル・バリスタン・ローゼンイヤー”。

 ただのしがない、【幻術魔術師】だった者さ」」



 刹那、魔物の声が二重になった。

 それと同時に、今までの禍々しい声色と共に。

 人間の様な声が聞こえてきて、その声で名乗ってきた。


「……前世の名前まで教えてくれるんだ。今の魔物って」

「「名乗ってもらったんだ。名乗り返すのが礼儀だろう? 会話こそがこの1000年間、色褪せなかった文化なのだから」」


 魔物が喋るのは先ほどから見ていたが。

 ここまで自我がはっきりしているとは、流石に予想外だった。

 私だって別に魔物の歴史は知っている。

 だから、元が人間であるのも知っている。

 ……“だからこそ”驚いているのだ。


 本当にこの1000年という長い間、自我を保ち続けて生き永らえていた。

 その事実に、驚きを隠せないのだ。


 どうして長い時間の中、自我を保てていたのか。

 どうして自我があるのに人間を襲うのか。


 魔物とは、人間とは、異形種とは。

 何なんだ?


「名前は憶えない主義だけど、なんか語感がいいから覚えてるかもね」

「「減らず口を叩くなぁ? 隊長というのは、気品があるものではないのかね?」」


 魔物は狼の様に長い口を更に開いて、刺すような視線でそう言うと。

 ライジンはそれに対し、鼻で笑いながら。


「気品? 僕から一番遠い概念だよそれは。僕は怠慢だからさ」

「「根っこから生意気なのか、ククク、それもそれで面白い」」

「ツボあっさ」

「「黙らせてあげよう」」


 魔物の手の炎が、その瞬間――“黄色”に変化した。


 その瞬間、周囲の風景がまた変化した。

 ここはどこだろうかと考えた。

 さらさらの大地、照らす太陽光、そしてこの音は。


「……海?」

「「ここは俺が昔、好きだった海辺さ。もう今じゃどうなってるかしらねぇが」」


 燦燦とした日光、響く海の環境音。

 が、頭に響いていく。


「……」


 私は、今度こそ息を整えた。

 先ほどのライジンの言葉を参考に、

 心を落ち着かせて、瞑想をしているように、ゆっくり。

 目の前を見る。


「……よし」

「――村雨刀ムラサメ、騙せ」


 ――刹那、その海の幻想に亀裂が入り。

 地面が歪み、空が揺れ、太陽が暗転し。


「「……何が起こった?」」

「知らなくてもいいよ。でも、これだけは、知っておくといい」

「「……何をした? 何をしたんだ、ライジン・サムルイ!!」」


 “何をした”

 その言葉でやっと、今起こった異変が、ライジンの仕業と気が付いた。

 私も状況を飲み込めていない。

 あの異形種と同じ感覚だ。


 この男は何者だ?


 王都近衛騎士団でも異質であった第十四部隊は、

 部下合わせ、たったの4人しかメンバーがいない。

 隊長、副隊長、騎士、騎士の4人だが。

 全員、殆ど一人で行動していると聞く。


 群れる事のない孤高の部隊の隊長、ライジン・サムルイの実情は。

 全くといっていいほど他の部隊には入ってこなかった。

 王様くらいだ。この男の素性を知っているのは。


 私たち近衛騎士団でも、みんながみんな仲良しと言う訳じゃない。

 十五も部隊があるんだ。

 仲がいい隊や、仲が悪い隊があるのだ。

 その中でもその十四部隊は、どの部隊とも仲が良くない。


「君は知る権利がある。教えようか、僕の【剣技】を。めんどいけど」


 ライジンは白い刀身の剣で円を書き一周させ、元の位置へ刀身が戻った時。


「……え?」


 剣の刀身が無くなり。

 その手には、剣の持ち手らしきものだけがあった。


「僕の【剣技】村雨刀ムラサメは、“幻術系”だ」

「「……は?」」

「確か……サメールみたいな名前だったよね君。君にもこのラリリアのお姉さんにも、この剣の刀身が見えていたんだろうね?」

「「………」」


 異形種はそのことを聞いた瞬間、戦慄したように目を開いて、

 「まさか……」と小さく呟いた。


 私もその説明を聞いてやっと理解した。

 彼を知らなかった。だから私も、騙されたんだ。


 ――白い刀身なんて最初から無かった。


「異形種との戦闘において、相性がどれほど大事なのかは報告で受けている」


 北側から来た報告で、そういう物があったのを私も覚えている。

 異形種は相性次第で勝てると。

 それは逆に言えば、相性次第でどれだけ強くても“負ける可能性”があるという事だが。


「君の魔法は『幻術』を使うこと。でもさ、それってわざわざ言ってしまったら、あんまり意味がないよね?」

「「………」」

「幻術って騙すものだろう? ってことは言わない方が有利に戦えるんだ。でも君はそれを言った。その時点でナンセンスだ」

「「――――貴様」」

「ねぇ、騙された気分はどうだい? 幻術使いさん」

「「貴様ぁぁぁあああああ!!!!」」

「だからもう遅いって。僕の刀身が今どこにあるか、まだ気が付いてないの?」

「うっ!?」


 その言葉と同時に体に電撃が走った。

 私はその衝撃に両目を閉じ、頭を抱えうずくまった。

 ……そして、数秒して目を開けると。


「………すごい」


 もうすでに、異形種の体は、切り刻まれていた。


「ガ、ガアガア、アアアアアアアア」


 肉塊がそこにあった。

 ずっと魔物が最初の場所から動いていなかったのは、まさか。なんて思った。

 その肉塊に右足を立て、

 右手に握った剣の、黒い刀身を魔物に見せるライジンが、口を開く。


「実は、痛覚も幻術で麻痺させることができる。幻術の元は薬物なんだから、麻痺させる事なんて容易い」

「ク、グゾッゥゥ」

「分からなかっただろう? ずっとお前はぺちゃくちゃ喋りながら、体を切られている事に気づいていなかったんだ」

「グググ、ググググウウウウウウウゥゥゥゥウウウウ!!!」

「滑稽だな。もういいよ。踏んでいるのも疲れた」




「――【剣技】村雨刀ムラサメ




 魔物の首が切れた。

 断面が良く見える。

 それほど、切れ味がいい剣を使ったのだろうか。

 なんて思うほど、断面が綺麗だった。


 首を切る瞬間でさえ、私は捕らえることが出来なかった。

 早い訳じゃない。ただ、視界にノイズが走って。

 次の瞬間には切れていたのだ。


 異形種の死に際でさえ見届けることを許してくれなかった。

 この男、ライジン・サムルイという男は。

 怠慢であり冷徹であり。

 慈悲も無く心も無い。

 冷たい、まさに孤高の人間であった。


 そんな彼に、私は。






「……かっこいい」


 ……結構、私にどストライクだった。



――――。



 ゾニー視点。



 雷鳴が轟いた。

 地鳴りが怒鳴った。

 揺れるその場所で、地形が変わる大戦闘が勃発していた。

 通常種を片付け、駆けつけたその場所は。


「……手が出せない」


 既に僕の手では、加勢もおそか足手まといにすらならないほど。

 熾烈な戦いが繰り広げられていた。






 余命まで【残り●▲■日】


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