俺は
年齢は18歳。大学受験に失敗し、今はフリーターをしている。
ニート?無職?勉強?予備校?なにを言っているのか理解できないね。
俺もあいつら……
しかもその能力は
なのに……なのに……。
「なんで俺はモテないんだ!!」
「いや、キモいナルシストだからでしょ?しかも無職」
ハッ!思わず声に出ていたか……。
そしてこいつはあの憎い金木龍也の妹、萌花。
こいつの異能は
対象の任意の記憶を忘れさせたように封印し、その痕跡さえなかったようにしてしまう。しかも対象は意識している範囲全てとか言うとんでも性能。
だが難点がある。自分でも完全に制御しきれていないってとこだ。
だから今、俺が攫ってこれているんだが……。
「え?俺がコイツの異能を詳細に理解している理由が気になるって?」
「誰も言ってないけど?」
「それは俺の異能力、
「だから聞いてないって!」
俺の
だからこいつの暴発した
そうして、この状況に気が付いた俺は妙案を思いついたんだ!
「この状態を利用して、あのクソ野郎を引っ張り出し、人質にすれば目にものを見せてやれるんじゃないかってな!」
「うわあ、人のお兄ちゃんのこと散々ボロクソに言っておいて、やってることは自分の方がクソ野郎ってことに気が付いてない~さすがキモいナルシストは違うね」
「いや、6股とか言う異次元の浮気性と比較するとそうでもなくない!?」
いや、名目上人質ってことにしてるけど、コイツ俺が世話をしてやらなきゃ痕跡が消えたままだったから何もできないんだからな!?
「なんか、恩着せがましいこと考えてそうだけど……お兄ちゃんの
でも実際2か月は思い出してなかったじゃないですか……。
なんてことを口に出したら、殺されそうだ。
「本村戻りました!」
萌花としょうもないやり取りをしているとここへ入ってくる人がいた。
最近、異能力に目覚めその扱いに悩んでいたところへ俺がアドバイスして仲間になってもらった本村美奈さんだ。
この人は悪魔龍也と天使優の担任教師だったらしい。
この人の異能は
異能力者は少なからず異能力に耐性はあるものの、そうでない人は一発で眠らせる。
しかし、この人はリアル多重人格のきらいがある……。
異能力を使うと、もう一人の人格が目覚めてしかもその人格同士で争うこともあるという……正直めっちゃ怖い。
なんでこの人が一緒にいるのか......。
それには深いわけがある。
俺は
一人だけ年齢が離れているから入りずらかったというわけではない!断じて!
……だから一人で奴らを悪として正義のレジスタンスという組織を作り上げた。
まあメンバーは俺一人だったが……。
最初はただの自己満足で構わなかったが、流石に高卒ニート一人でレジスタンスなんて言っているのはイタすぎてやめようと思っていた時にこの本村さんに出会った。
そこで俺は
本村さんは想像以上に働き者で上手く龍也にも接触することが出来た。
あの接触は大いにあいつらを惑わせることが出来るだろう。
そうすれば焦り、判断力が鈍り、優を手放すという選択をしてもおかしくない!
「そうだ!俺の計画は完璧だ!!」
……こいつ本村さんのこと見えてないの?
後ろから見ているだけの私には、どうやってもただの頭おかしい人とその信者というなかなか最悪な状況にしか見えない。
「……ボス!今日は何かやることはありますか?」
おっと、そうだ。
組織のボスたるものいつでも部下のことを忘れてはならない。
「ふむ、そうだな……」
「特にないようなら、龍也くんや優ちゃんにボスのことを紹介したいのですが……どうでしょう?」
何!?
いや、そうか。
この人には
「いや、今日は俺の都合が悪い。それはまたの機会にしてくれ」
「わかりました!では私はこれで!」
そう言うときっちりと一礼し帰っていく本村さん。
優秀だな……間違いなく!
「な〜にが都合がつかないよ!年中暇人のくせに」
おっと、ようやく静かになったと思いきやこれだ。
全くこの兄妹は本当にだめだな。
「何を言っているんだ?俺は見ての通りレジスタンスとして今日も一日業務をこなしているでは無いか!」
「朝からこんな、今にも崩れそうな所有者不明の物件に入り浸って妄想を垂れ流すことが業務だって言うならそうなのかもね」
「ハッ。妄想はどっちだい?金木萌花よ。ああそうか。キミは自分の異能で視覚を封印してしまったんだね?」
「いや、あんたの妄想は聴覚さえ残ってれば誰でも聞こえるっての!」
やれやれ全く何を言っているのか……。
まあだがいつまでもここに居たってこいつに邪魔されるだけだ。
「じゃあ俺ももう帰るよ!」
「さっさと帰れ!てかあたしを帰せ」
「それは出来ない!じゃあまた明日来るよ!」
そう言って鉄格子越しに憎たらしげに俺を睨む萌花を置いて本村さんが出ていった方に向かった。
それにしても、この建物外装は普通なのに部屋の半分が鉄格子で区切られてるなんておかしな作りだよな……しかも見た感じ鉄格子側から出る手段無さそうだし……。
もしかしたらやばい施設だったりして……?
なんて、そんなわけないよな!!
今日も一日いい仕事をしたという達成感を胸に俺は家へ帰った。
◇◇◇
「お兄ちゃん……」
あいつが帰り一人になった空間で呟く。
わけのわからない家?施設?に閉じ込められて……これって……。
「これって、これって、超ヒロイン力高いんじゃない!?」
優ちゃんはまあ……100歩譲っていいとしても、ぽっと出の美夜とかバ先の先輩とか……他の
「う〜ん、どうしよう……主人公に助けてもらうお姫様にも憧れるけど、妹としてほかの女に牽制するのもありだなあ」
誘拐に加え監禁までされているというのに、絶対的な兄への信頼から全く恐れず、もはや状況を楽しんでいる萌花なのであった。