5.
その辺りはダンウィッチと食い違っている部分で、ダンウィッチは負けることを『良し』とはしない。
あらゆる状況において『負けること』は許されないと考えている。
ひとつの敗北は、すべての敗北になる。
崩れ落ちるように
ダンウィッチの持つ異能は『
それはかつてダンウィッチに『ダンウィッチ・ダンバース』という名前が与えられておらず、『
七人の兵器には、それぞれの性質が与えられていた。
ダンウィッチの性質は『変換』である。
周囲に存在している力を『泡』に変換するという代物である。極彩色の泡は無限に増殖しているわけではない。周囲に存在しているエネルギーを『泡』に変換している。
さっき、オリオンの一撃を顔面で受け止めたのも、これで変換して緩和したからだった。
鳩原には、
「もしも、オリオンと対峙することがあってもギリギリまで『泡』を使わないように」
と言われていた。
だから、『泡』を直接の戦闘では使わず、周囲にある『遺物』を使った。
「だけど、一度でも使ったら、オリオンが『泡』への対応に慣れる前に勝て」
とも言われている。
既に極彩色の泡は使っている。
だから、ここからは『泡』を使う。
(それに、きっと近くに『鍵』がある)
周囲に充満していた
さっきまでは瘴気の気配で、どうにもわかりづらかったが、少しずつ鮮明になってくる。
西暦以前。
二十万年前にこの地に辿り着いた先史文明の『遺物』は、この通路のどこかにある。
そこに辿り着くためには――今はオリオン・サイダーの撃破が優先だ。
彼女がいる限り、そこに辿り着けない。
ダンウィッチ・ダンバースとオリオン・サイダー。
ふたりの覚悟は決まった。