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第30話 二の試練/氷水


[ムッコロ:なんかすいすい戻ってきた様に見えたんですけど、何か新しいスキルでも貰ったんですか?]


 目敏いね。私の帰還に「お帰り」よりも先に質問をぶつけてくるなんて。でも、おおよそムッコロ氏の思ってるとおりのものだからね。


[アキカゼ・ハヤテ:称号をね、貰ったんだ。これはきっと君たちが一番欲しいやつだよ]

[バン・ゴハン:さっきまでの話を聞いてスキル上げ頑張らなきゃなーって言ってる側から爆弾落とす! 気になって気になってしょうがないじゃん!]

[アキカゼ・ハヤテ:はっはっは。ゆっくりと頑張りなさい。クリアすれば誰にでも手に入れられるのが称号だからね]

[ムッコロ:それだけが唯一の救いですかねー]


 どこか乾いた声色でムッコロ氏は項垂れたように頭を竦めた。

 燕もこうしてみると表情豊かで面白いね。

 プレイヤーが操ってるからと言うのもあるのかもしれないが。


「帰ってきた様じゃの」

「おババ様」

「何か進展はあったかの?」


 この人、知ってて聞いてきてるよね?

 さっき仲間内ではしゃいでいた所もこれは見られたな。

 それで何もないとは言い切れないよね。

 暗号解読の件は秘匿して、後で攻略パーティを組んだ時に公開すべきだな。


「ええ、スキルを手に入れまして。お陰様で空中で姿勢制御が撮れる様になりました」

「ほう、空中での。我ら天空人でさえも巫女様以外で空中を泳ぐ様に舞える者は居ない。あっという間に地上人に追い抜かれてしまった様で悔しいぞ」


 そう言いながら、あなたも空飛べますよね?

 魔法陣越しとは言え、背中の翼広げてるの見ましたからね?


 喉まで出かかった言葉を飲み込み、次の場所へと進路を変える。次に向かう場所はここから近い場所。


 しかし滞空時に映し出された古代文字は[六の試練:ここから先は漆黒の闇、足元の見えぬ場所で抗え]と出てくる。

 いきなり地雷ゾーンはやめて下さい!

 現段階で攻略出来る見込みがないのでムッコロ氏達に上空マッピングして貰いつつ、次の場所に移って貰った。


 そこに映し出された古代文字は[九の試練:ここにあるのは極光、白に塗りつぶされた空間から抜け出せ]と出た。

 これ、眩しすぎて遮蔽物が見えなくなってるやつでしょ!

 バン・ゴハン氏がお手上げだと言って上空から戻ってきた。

 眩しすぎて撮影ができないらしい。

 ムッコロ氏が撤退宣言をしなければ網膜に甚大な被害が出る所だったよ。


 そしてようやく辿り着く[二の試練:そこにあるのは水氷、漆黒の雲より出し雷雲に抗え]。


 そう、雲関連なんだね。しかし雨雲を通り越して雷雲が来るか! 一の試練から竜巻が来てたから別におかしくはないんだが、雷は厄介だ。水中で浴びたら感電死間違いない。


[ムッコロ:行かれます?]

[バン・ゴハン:雷雲とか俺らが一番避ける奴じゃん。台風もあれだけど]

[アキカゼ・ハヤテ:私は挑戦してみる価値はあると思うんだよ]

[ムッコロ:その心は?]

[アキカゼ・ハヤテ:私の得意分野に水中関連があるんだが、そっちが使えるかなって]

[バン・ゴハン:空以前に水中も制覇してた!]

[アキカゼ・ハヤテ:制覇と言うほどでもないよ。ちょっと魚人のお友達が居てね。その人から泳ぎとかコツを教わったんだ]

[ムッコロ:へー、でも教わった程度で覚えられるのはアキカゼさんくらいじゃ? 普通そこまで自分の得意エリア以外に進出する事って無いじゃないですか]

[アキカゼ・ハヤテ:でも出来たら凄いでしょ? そりゃ何度もロストしそうになったけど、その努力は無駄じゃなかった。全部スキルに反映して戻ってきた。今では良い思い出だよ]


「降りられますかな?」


 二の試練を前に足踏みをする私におババ様が問いかけてくる。


「ええ。ダメ元で行ってきます。もし戻れない場合、友人のこの子達が騒ぎますのでそれで判断して下さい。最初の停留所までお返し頂ければ幸いです。

「左様か。死してでも得られるものがあると?」

「そこに求めている物があればどこにだって行く。それが探検家というものです」

「ふむ、地上人でその様な者と出会ったのは久しぶりじゃわい。では行ってまいれ」

「行ってきます!」



 ザパーン!

 降り立った側から水中へ。そこで鍛えたスキルが覚つく事なく手足に力を与える。


 うん、視界は良好だ。これは『海の目』のおかげだな。

 その上でスイスイと泳げる。

 障害物の氷の粒など物ともせずに水のエリアを突破後、何もない空間へと飛び出る。

 足元には雲すらなく、APを消費して風の道を作り出す。


「このエリア、一の試練をクリアしてる前提か!」


 なんとか姿勢制御しつつ、少し下にある水氷のプールへとダイブする。今度は氷の規模が大きくなっている。

 普通だったら何も出来ずに圧死してしまうだろう。しかし水中時限定で私の腕力は二倍になる。これがどざえもんさんから教えてもらった強化ポイント点で得た能力『海の手』だ。


 押し寄せる氷の中から障害物を退かしながら一気に進む。

 水、氷と来て次はいよいよ雷だ。

 なので出る前に頭だけゴールから出して、次のポイントを目視。そこに氷の塊を持ち上げて投げていく。

 命中率は良い方だと自負してるが、空中に浮くこのエリアでは横風に流される恐れが多いので、一応風の道を作ってその上に氷の塊を乗せて運んだ。


 すると次のエリアからバチバチと電気が迸り、1分、2分したら完全に沈黙してしまった。

 そう言えば聞いたことがある。雷は水蒸気と氷がぶつかり合って作られると。

 念のためで投げた氷の塊だったが、まさかぶつかり合ったまではよかったが、エリアごと水蒸気を押しつぶしてしまったのだろうか? 少し不安になった。

 案の定、次のエリアは真上に分厚い氷の壁ができており、その下で渦を巻く水がゴールまで導いてくれた。

 本来ならきっと相当苦労する道のりだったと思うんだが……


「まぁ、結果オーライだ」


 ポーンと心地良い電子音と共に、新しい称号が手に入る。


<称号:水の支配者を獲得しました>


 水の支配者:特殊スキル『水操作★』

 空導力/APとスキルポイント/SPを徐々に消費して水の道を自由に作り出せる。

 水面に接してる場所から氷塊を精製可能。

 水面に接してる場所から雷を精製可能。


 能力は要相談! ついでに暗号も獲得!


[ロイの中央に座する、暗黒……]


 中途半端だが繋がってきた。


[我は鍵にして門。天空のお膝元、かの大地エルメロイの中央に座する、暗黒__]


 これはきっと場所だな。

 そしておババ様が設定していると言った様に、これらの暗号をあの場所で読み上げる事で最終エリアに着くのだろう。

 私は風操作で皆の元に戻り、そして時間の経過見計ってログアウトする事にした。


 オクト君や金狼氏にはビッグニュースになるな。

 カネミツ氏は嬉々として床を転がってくれるだろうけど、他のメンバーはどう思うかね?


 まぁ、そこは深く考えないで行こうか。なる様になる。


[アキカゼ・ハヤテ:二の試練の空撮はうまく撮れたかい?]

[バン・ゴハン:目視が容易でしたからね。バッチリです]

[ムッコロ:相手は雷だと聞いたんですが、よく無事でしたね?]

[アキカゼ・ハヤテ:運が良かっただけさ。またスキルに助けられてしまったよ]

[ムッコロ:もう突っ込みませんよ?]

[バン・ゴハン:激しく同意するっす]


 みんなして酷いんだ。


 おババ様にマナの大木まで送って貰い、そこで解散した。

 二羽はそのまま飛び立ち、私は水の道を一番下まで流して平泳ぎして降り立った。


 道中木登りしているプレイヤーからギョッとした目で見られたけど、無視してセカンドルナへと帰る。

 これはまた噂されてしまうかな?

 まぁ、後の事はカネミツ氏が上手くやってくれるだろう。



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【アキカゼ・ハヤテ】

LP:100%

SP:100%

 ★水操作:5%消費で氷、雷製作可能

 リフトボード:10%

ST:200%【30秒間消費なし】【消費コスト2%カット】【10秒置きに消費】

 早歩・全走:5%【消費−10%】

 垂直・木登:5%【消費−50%】【回復毎秒3%】【移動+15】

 水泳・深海:5%【消費−20%】【回復毎秒3%】【移動+25】

 壁登・登山:5%【消費−30%】

 空中・雲上:5%【消費−10%】【回復毎秒6%】

 火中・火山:5%【回復毎秒3%】

 真空・宇宙:5%【回復毎秒3%】

  輸送  :10%【消費−10%】

  空歩  :10%消費で3秒間足場を作る

EN:100%【30秒間消費なし】【消費コスト2%カット】【10秒置きに消費】

 スカイウォーク【息を止めてる間毎秒1%消費】【消費−10%】

AP:100%

 ★風操作:10%【消費ー10%】

 ★水操作:5%【消費−10%】

<アタックスキル:0>

ーー

<サポートスキル:0>

ーー

<パッシブスキル:42>

【持久力UP】ST上限+20%

【持久力UP中】ST上限+30%

【持久力UP大】ST上限+50%

【持久力維持】STが消費される感覚毎秒→10秒毎

【ST維持】消費コストが2%減少

【ST消費維持】30秒間ST消費なし

【ST消費軽減】ST消費−10%

【EN維持】消費コストが2%減少

【EN消費維持】30秒間EN消費なし

【EN消費軽減】EN消費−10%

【AP消費軽減】AP消費−10%

【木登り補正】木登り時ST消費−10%

【クライミング】垂直時移動力+5

【壁上り補正】壁を登る時のST消費−10%

【垂直移動】垂直移動時ST消費−30%

【重力無視】落下ダメージ無効

【スカイウォーク】息を止めてる間、空中に足場を作る【EN毎秒1消費】

【影踏み】影を足場として3秒間固定化できる

【移送】特定対象者一名に重力無視と同様の効果を付与

【輸送】パーティメンバーに重力無視、落下速度軽減を付与【ST消費二倍】

【リフトボード】空に浮くボードを出現【一度の出現でSP10%】

【★水中内活動】水中内で陸と同様に活動できる

【水泳補正】水中内の移動力+5

【潜水】水中内のST消費に−10%

【古代泳法】水中内の移動力+20

【水圧耐性】深海へと侵入が可能になる

【海底歩法】海底を地面と同様に歩ける

【海の眼】水中内の視界がクリアになる

【海の手】水中内で無限の腕力を得る

【海の意志】水中内で敵感知拡大

【低酸素内活動】登山時、ST消費−10%

【木の呼吸】木登時、ST回復毎秒3%

【水の呼吸】水中時、ST回復毎秒3%

【雲の呼吸】雲上時、ST回復毎秒+3%

【石の呼吸】登山時、ST回復毎秒+3%

【火の呼吸】火中時、ST回復毎秒+3%

【空の呼吸】空中時、ST回復毎秒+3%

【無の呼吸】真空時、ST回復毎秒3%

【命中率UP】命中、クリティカル+10%

【必中】一回だけ命中率100%

【クリティカル】クリティカル発生確率+30%

【ハイクリティカル】クリティカル発生率+50%


【未確定】3

<ショートワープ【500/3000】目視圏内への即時移動【ST10%消費】

<ST無視移動【500/5000】STゲージが消滅する>

<妖精眼【500/1000】:目に見えないものが見えるようになる>


【称号】8

【妖精の加護】妖精の目視が可能

【木登りマスター】木登り時移動力+10

【古代の代弁者】★古代言語理解

【セカンドルナの代理許可人】私有地内を散策可能

【空中戦闘の心得】★空歩:3秒間空中に足場を発生【ST消費10%】

【妖精邂逅者】★真ナビゲートフェアリー:超強力版ナビゲートフェアリー

【風の支配者】★風操作:突風無効、風属性ダメージ50%カット【AP消費10%】

【水の支配者】★水操作【AP+SP消費】水の道を作り、そこから氷、雷を発生可

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