……その後も、人々は協力して街の復興に努めていく。
そこには人間も
皆で力を合わせることで、街は少しずつ、でも確実に、元の姿を取り戻しつつあった。
◇
……それから数ヶ月の月日が流れ、春の暖かさを感じ始めた頃。
以前の美しさを取り戻した街の広場で、とある式典が執り行われようとしていた。
「えー、それでは、ここにカナーレ島とアクロネシア王国の
式演台を挟んで向かい合うのは、モンテメディナ伯爵様とヴェルテリオス王。
威厳たっぷりな両者の前に立つのは、スーツを着て身なりを整えたブリッツさんだった。
経緯はよくわからないけど、島で最も力のある船頭ギルドの重役ということで、司会役に抜擢されたらしい。明らかに緊張していた。
そんな彼の隣には、親善大使としてルィンヴェルの姿もある。
「調印式に先立ち、このたび街の復興に尽力していただいた異海人たちに対し、最大限の敬意と感謝を伝えさせてほしい。また、友好関係を築くにあたり、島民たちの
やがて始まったモンテメディナ伯爵様の口上を聞きながら、ボクは周囲を見渡す。
会場となっている広場だけでなく、目の前に広がる運河にも、調印式の様子を一目見ようと多くの船が出ていた。
中には、海魔法を使って海上で立ち見をしている異海人たちまでいる。
「……ありがとうございました。続きまして、調印式に移らせていただきます。まずはモンテメディナ伯爵様、調印と署名をお願いいたします」
伯爵様の挨拶に続いて、ブリッツさんが粛々と調印式を進める。
ルィンヴェルを立会人として、伯爵様とヴェルテリオス王がそれぞれ書類に記入していく。
これが終われば、正式に友好関係が結ばれることになる。
……といっても、すでに街の復興を通じて、島民たちと異海人たちは強い絆で結ばれている。
だからこれは、あくまで形式的なものだった。
「……ありがとうございます。これをもちまして、カナーレ島とアクロネシア王国は親善都市となりました。双方の都市の発展を、心から願っております」
二人の署名が終わり、モンテメディナ伯爵様とヴェルテリオス王が握手を交わす。
それと同時に、広場を包み込むほどの大歓声と拍手が巻き起こる。
……これから、カナーレ島とアクロネシア王国がどんなふうに変わっていくのか、ボクには想像もできないけれど。
きっと、より一層明るい未来が待っていることは間違いない。
だって、今この場にいる人たちは、その誰もが笑顔でいるのだから。