「まずは簡単に、各フロアの説明をしよう!」
三神の声が響く。晴斗は少し緊張しつつも、前のめりで耳を傾けていた。
「まずは、今我々がいる地下1階だ! ここは来客用の施設で、エントランス、会議室、そして食堂がある!」
晴斗はしっかりと頷きながら、これから何が起こるのか期待感が膨らむ。
「次は地下2階だ! ここには研究施設があり、実験室や特殊実験エリアなんかが揃っている。ここでは、最新技術やアビリティ関連の研究が行われているぞ」
少し圧倒されつつも、晴斗はその壮大な施設の規模に興味を持ち始めた。
「そして地下3階だ! ここにも研究施設があるが、特に重要なのはサーバールームと訓練シュミレーターだ!」
三神は、特に訓練シュミレーターの説明に力を入れる。
「ここでは、最新の仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術を使ったシミュレーションが行われる。リアルな戦闘訓練や、過酷な環境下でのアビリティ発動を、現実のように体験できるんだ!」
「おぉ面白そう!」
ゲーム好きな晴斗にとっては興味の引かれる内容で少し興奮していた。
「地下4階は休憩エリアと倉庫だ! ここには医療室もある。何かあったらお世話になるかもしれないね!」
晴斗はペコっと軽く頭を下げつつ、内心では医療室には世話になりたくないと思っていた。
「次に地下5階だ! ここはインフラ設備が集中している。設備管理やセキュリティセンターがある、いわばこの施設の心臓部だ!」
晴斗はその言葉に、施設の防御力の高さを感じ取り、ますます驚きを隠せなかった。
「さらに地下6階! ここは物資保管庫と設備管理部門が設置されている!」
晴斗は次第にこの施設の規模の大きさに呆れていたが、それでも三神の説明にはじっと耳を傾け続けた。
「そして最後に地下7階だ! ここには演習場がある。晴斗君もそのうちここで本格的な訓練を受けることになるかもね!!」
晴斗は少し緊張しつつも、なんとか冗談で和ませようと微笑んで言った。
「痛いのは無しでお願いします……」
「はっはっは! 冗談だよ……いや、もしかしたら冗談じゃないかもな!」
三神はニヤリと笑いながら晴斗を見た。その冗談混じりの発言に、晴斗は苦笑いしながらも少し緊張した。
「私はこの施設のことを既に知っていたけど、こうやって改めて聞くと、やっぱりすごいですね」
姫凪乃は晴斗の隣で静かに言った。
「そうだろう! 凄いんだよ!! この施設はまさに国家機密級の技術とセキュリティが詰め込まれているんだ!」
三神は、まるで自分の作った施設のように誇らしげに語る。
「例えば訓練シュミレーターだ。これには、様々なシチュエーションを再現できるシミュレーションルームがあって、過酷な状況でも安全に訓練ができるんだ。晴斗君もゲーム感覚で参加できるから、少しは楽しめるかもしれないぞ!」
「はい! 今のところ一番興味があります!」
晴斗は興味津々で目を輝かせ、これまでの緊張が少し和らいだ様子だった。
「さらに、地下の研究施設には特殊な環境を再現できる実験エリアがあるんだ! 極寒の地や、宇宙空間、さらには圧力の変化など、あらゆる過酷な条件下でも実験が行える。特定のアビリティのテストもここで行われている」
「へぇ……そんな場所まであるんですね。本当に凄いなぁ」
「そうさ!この施設のセキュリティも完璧だ!屈強な警備員と、高度なAIが24時間監視している。そして、いざという時には自動で施設全体をロックダウンし、機密データを守る設計になっているんだ!」
三神の声はどんどん大きくなり、その熱量に晴斗は少し圧倒されながらも、同時に心の中で感心していた。
「……えっと、なるほど、とにかく凄い施設だということはよく分かりました!」
晴斗は笑顔を浮かべながら三神のテンションに合わせた。三神は自分の説明に満足げな顔をし、晴斗の反応を喜んだ。